隠滅と処罰。
いよいよフェリクスが追い込まれます。
<<パラディス村・シールド外>>
シールドの外周部ではアデールとタイラーが印を結び真剣な眼差しで術式を発動中で、その周りを魔法部隊が取り囲み絶賛見学中だ。
「タイラー、そろそろ終わりにしましょう」
「そうね、仕上げに吹き飛ばしてあげましょう(笑」
シールドを通り越して現れたタイラーを見たフェリクス一味はアデールとの共同術式によって強力な幻想に囚われ、娼館の中で妄想を炸裂させ幻影タイラーの爆乳を楽しんでいる最中だったりする。
「うっわ〜星団最強の魔道士とたいちょうはえげつないわ〜あれだけの人数は私達には到底無理よ」
「うんうん、1人2人でも苦労するのにね〜」
初めて大規模な幻影の世界を目にした部下達は、その圧倒的な能力の差に驚き信じられない表情を浮かべていた。
「それじゃみんな、最後は爆裂魔法で証拠隠滅を頼むね〜」
「はい喜んで!」
仕上げはもちろん爆裂魔法しかないだろう。だって木っ端微塵に吹き飛ばしてパラディスは無かった事にしなければならないのだ。因みにフェリクス達は幻影は解除され正気に戻りベッドの上で佇んでいると思われる。そしてシールドを解除した後、魔法娘たちは一斉に詠唱を始めた。
298人「古より伝わる凶悪な地獄の業火よこの村を跡形も無く吹き飛ばし給え、エクスプロージョン!」
そして298個もの爆裂魔法が炸裂するば娼館を含む全ての建物はバラバラに吹き飛び瞬時に荒地へと変わる。フェリクス一味はまるでピンボールのようにあちらこちらに吹き飛ばされ、真っクロクロスケに早変わりするのだった。
「あぁぁ〜酷い・・」
「はいはいおバカちゃん、直撃を受けずに死ななくて良かったね〜たいほ〜」
タイラーは上機嫌でフェリクスらを逮捕すると同時にマーカーを張り付け即座に翠雨の独房へと送り、忌々しい娼館の村パラディスはいきなり降り注いだ隕石の爆発によって消滅してしまったと歴史書に記されるのだった・・。
ーー
<<支援艦翠雨・独房>>
フェリクスを含む数十名は尋問を行うために翠雨に転送された後に独房にぶち込まれ、デルタ魔法部隊によって取り調べを受ける事になる。
「それじゃ同じ質問をしてね」
「はーい」
<ケース1>
手下A「オレは何もやっていない、無罪だ!」
「コンフェッション!貴方は誘拐もして味見もしたよね」
「はいそうです!」
<ケース2>
手下C「オレは優しく取り扱ったぞ」
「コンフェッション!どうやって働かせたの?嫌がったでしょ」
「そりゃ痣にならないように水攻めで拷問したのさ、死にたくないから働いてたわ(ドヤ」
※コンフェッション=自供魔法。
「結果を報告します。全員誘拐に加担し性的暴行を行い、強制従事させるために水攻めによる拷問が日常的に行われていました」
「ほんと救いようのないバカどもね・・・」
手始めに無作為に選んだ2名に魔法を使い自供させると話し方は異なるものの同じ答えに行き着き、念の為に残りの全ての手下に尋問を行うがやはり同じ結果となってしまう。さらに調べを進めると病気を放置して死なせた事実も浮き上がり極刑は免れないだろう。
<<フェリクスが入っている独房>>
一方、首謀者フェリクスは他の連中と隔離してタイラーが直々に個別に質問を行う事になるが・・。
タイラー「王権が欲しいだけでアルテミシアと結婚したんだね、酷いと思わないんだ」
フェリクス「適当に遊んで暮らせると思ったがそれは大きな誤算だった。何よりアルテの嫉妬が凄いんだ」
手下と同じ質問をすると予想通りの答えを語り、逃げたことを聞くと王様の仕事が想像より細かく大変で嫌気が差し、発散するために侍女に手を出すとアルテが烈火の如く怒ってしまい全てが嫌になって逃亡したそうな。
「ハァ〜無責任で小さい奴だね〜あんた馬鹿でしょ!」
「煩いな、顔が良ければ何でも許される。どうだ逃がしてくれたら恋人になってもいいぞ(ドヤ」
「マジで死ねばいいのに(呆」
フェリクスはルックスだけが取り柄でチヤホヤされ大した努力もせずに今まで生きてきたのだろう。タイラーが魔法で心情を吐露させたことで薄っぺらい男だと判明してしまう。流石にアルテミシアに逃げ出した本当の理由など報告は出来ないだろう。
ーー
<<エルフ城・大広間>>
翠雨の独房から場所をエルフ城へと移し裁判長をアルテミシアとし、不測の事態に備えるためと真意を見抜く為にアデールを隣の席に据え、壇上の下には被告人席が設けられ順次沙汰が言い渡される予定だ。
傍聴人「人で溢れかえっているな」
フェリクス王を含む数十人に裁きを出すと広報されれば、インテンス史上初の公開裁判になるとあって一目見ようと傍聴人が大挙して押し寄せていた。
「只今より裁判を始める。先ず初めに此方の映像をご覧下さい」
タイラーが進行役になり大広間には複数台のモニターが設置され初めて映像装置を見る人々は興味津々で、手下の自供シーンが流れると食い入るように見ていた。
「この映像を見て何か言うことはあるか、無言のままなら認めることになる」
「・・・・(黙」
アルテミシアが自供内容を問うと流石に弁明は出来ないと思ったのか全員が素直に頷く。ここで拒否したとしても斥候が記録した暴行映像を証拠として流すつもりなので贖っても無駄だろう。
「さてフェリクスに付き従っていたお前たちは全員極刑に処する。強制労働所で死ぬまで働け」
「なん・だと!」
もう少し軽い刑になると踏んでいたのか驚いた手下たちは一斉に立ち上がり不満を露わにする。だが使い捨てられ病死した被害者が複数人存在する以上この程度ではまだ軽い方だろう。そして反省しない態度を見て傍観者の怒気が伝わり始めてしまう。
「お前ら酷い事をしたんだから一生かけて償え!(オコ」
「おまえら病人を放置して殺したんだ、死刑があるなら縛り首だぞ!(檄オコ
出された沙汰を素直に受け入れれば、大岡捌きでは無いけれど痛快な判決が下り胸が空く感覚になり満足したはずだ。しかし贖う連中を見れば不機嫌になるのは当然だろう。柵が無ければ飛びかかって殴られそうな勢いだ。
手下A「ワワワ、皆が怒っているわ(慌」
手下B「この中にも利用した奴はいるんだろ、ふざけるな(オコ」
アルテミシア「履き違えるな、お前らが全ての元区であって何かしらの対価を払った利用者に罰は及ばない。いい加減受け入れないと奴隷に落としてやる(激オコ」
以前、洋介が性娯楽はプロが管理する事で被害者を産まないようにすると話したことを思いだし、道徳的に多少不満が残るものの利用者に対しアルテミシアは罰を与え無いつもりだ。要は提供した奴が一番の悪人として裁きこの場を収めるつもりだ。
「申し訳ございません、奴隷は勘弁してください」
「よしわかった、大罪人を引っ立てよ!」
最後だけ激昂したものの厳しい目つきのまま淡々と沙汰を言い渡し恙無く終わることになる。次にフェリクスが連れてこられるとアルテミシアの表情が一変し目は見開き顔は怒りで真っ赤に染まる。
「アルテミシア、どういう事だ。被告人席に座らせるとは何事だ。おれはインテンスの王だぞ!(ドヤ」
「被告人席に座るまでは確かに王だな(激オコ」
連れて来られたフェリクスは開口一番茶番だと言い放ち反省するどころか権利を主張し無罪だと言い張りドヤ顔をするが、既に王籍は破棄と決めているアルテミシアは表情を微塵も崩さずジッと睨んでいる。
「王が決めた事に従うのが領民の義務だ。即刻解放するんだ」
「そうだそうだ、フェリクス陛下は王様だ!一刻も早く開放しろ」
ここでめんどくさい連中が顔を出し始め、そいつらはスネイプの手下でフェリクスを崇拝する支援者たちだ。まあ文句を言い放ち減刑するような事態になれば何かしら要求してくることは見え見えで、フェリクスは内心嬉しくなったのかニヒヒと笑みを浮かべ口角が上がる。しかしアデールが自己欺瞞と言う文字が顔に書いてあると呟くとアルテミシアはコクリと頷く。
「フェリクス残念だが法を犯したにも程がある。みなこれを見よ年端も行かぬ子供と交じり合う王など論外だ(檄オコ」
ここで、フェリクスがあの小さな女の子と交じり合う映像を流すと、一瞬大広間がシンと静まり返り、厳しい目線や軽蔑の眼差しが被告人席に突き刺さる。
手下A「ここまで小さい子供とは、これは流石に・・(驚」
傍聴人「ペドフィリアの王などあり得ない。気持ち悪すぎる」
フェリクスが少女相手に悦に浸り満足そうな表情を伺うと、流石の支援者達も余りの非道に口を噤んでしまう。
「俺は王だ!好きにして何が悪い」
「うわぁ最悪だ〜開き直ったわ」
場を読まない一言で一気に雰囲気が悪くなり、手下ですら軽蔑の眼差しに変わろうとしていた。この状態が一番効果があると踏んだアルテミシアがレイモンを一瞥すると1枚の条文を目の前に広げる。
「フェリクス、これを見よ貴様の王権などもう役に立たぬわ(檄オコ」
ここでアルテミシアは新たに制定された少年法の条文を見せる。そこには王族を有する者が罰せられた場合「王籍並びに王権を剥奪する」と明記してあった。
「なんだと、俺は一般人になるのか、嘘だろ・・(呆」
軽蔑の眼差しを送る傍聴人達、手下すら引き気味の最悪な状況の中フェリクスは釈明すればする程、批判が高まるであろう。もしここで無罪など出そうものなら暴動が起きてもおかしくないそんな雰囲気に溢れていた。
「ああそうだ、これから後ろ指をさされながら生きて行くのがお前の役目だ」
「許してくれアルテミシア俺は深く反省する、城に戻るし仕事もする。だからチャンスを与えてくれ」
急に情けない表情を作り温情を期待してお願いの態度を取り始めるが「この場限りの戯言」ですと、隣の席でフェリクスの思考を読んだアデールがそっと耳打ちをする。そしてアルテミシアは静かに語りだす。
「遠い昔、其方を愛した事に後悔は無い、だがロズリーヌを無碍にして一度も会わず父親としての責務を果たさない貴様だけは許す事は出来ない。今更反省してもそれはもう遅すぎる決断だ」
アルテミシアは今の自分の気持ちを素直に表現していた。もちろんロズリーヌを我が子のように可愛がってくれる洋介が一番影響しているのは間違いないが、上辺だけのフェリクスの愛に惑わされた自分を反省しつつ切り捨てる決断を今この場で決めた。
「そんな殺生な、今からでもやり直せないかアルテミシア」
「フェリクスやお前はもう一介のインテンスの領民だ。これ以上の私語は慎んでくれ、さらばだ」
沙汰を出し終えたアルテミシアは立ち上がり踵を返すと城の奥に消え、被告人席で呆然とするフェリクスはレイモンが引きずるように連れ去られ城外へと放り出されるのだった。




