アデールの心の闇。
アデールさんが大変な事になってます。
<<クーン城・駐機場>>
2日後、後発隊としてインテンスに出撃するタイラーはローレンスに乗り込みデルタに向かい飛び立つと、それと入れ違うようにハミングバードがクーン城の駐機場に降りてくる。
「おかえりなさいアデール、久しぶりだね」
「ただいまアーレイひゃん(喜」
久しぶりに見たアデールは子育て中のおかあさんの様な落ち着いたオーラを纏い、《《軽く》》抱き合いチュっと《《軽く》》キスするとスルスルと城の中へと入り、アーレイ成分を補給しに来たのかと思われたが違うらしく肩透かしを食らってしまう。
<<数時間後・フィリーサの私室>>
「アデールの気持ちはわかったけど・・アーレイが何ていうかな(困」
「だって立場は愛人だし、中途半端な気持ちが一番良くないでしょ(困」
朝だろうが昼間だろうがアデールがアーレイを専有できる日になると、欲望を叶えるために手を引き消えるのが常だし、今日みたいに長らく不在で戻ってきた当日などは皆譲ってくれたりす。しかし何故かフィリーサの私室に閉じ籠もり長時間相談を行っていた・・。
「今夜は私の予定の日だけど、床を共に肌を触れ合って答えを出しなさい」
「うん・・わかった。ありがとうフィー」
切羽詰まった表情を浮かべるアデールに対してフィリーサは肌を重ねいっぱい愛をもらった後に子宮で考え、答えを出しなさいと送り出す。それだけ悩みが深いということだろう。その後は昼食を取りながら近況を報告しつつ、食べ終えるとそそくさと2人の洋服を買いに行くと言い、街に出向いたアデールは結局夕方まで戻らなかった・・。
「ウフフ、この可愛らしいフリルはティアナに似合うかな?この短パンはサイラスだね(喜」
大量の荷物と共に夕食前に戻って来たアデールは私室に入ると買ってきたばかりの洋服を広げ、着た時の姿を想像しているのかニコニコと微笑み、その様はまるで若いお母さんそのものだった・・。
ーー
「嗚呼。。アーレイまた逝きそう・・・」
夜の帳が下りた頃アーレイとアデールは久しぶりに交わっていたが・・。
<<夜・アーレイの私室>>
「アーレイ、凄く良かったありがと」
「アデール悩み事が有るんだって、聞かせてくれないか」
久しぶりだと激しく燃えるのが通常のアデールだけど、今夜の愛の行為はキスをしながらゆっくりと味わい尽くすような速度を望み、長い時間をかけて何度も絶頂を迎え、まるで今宵が今生の別であるかのような雰囲気を醸し出していた。
「いっぱい愛してくれてありがとうアーレイ、けどねあのねあの2人が可愛すぎて貴方の事を忘れていたの・・ごめんね(泣」
「便りが無いのは良い便りって地球の言葉があるんだよ、それと同じだろ、だから気にするな」
「ううう・・優しいねアーレイひゃん、あのね聞いてこのままだと(泣」
急に泣き出したアデールは今の自分の心情や心境を話してくれた。アーレイの子が産めない事で悩んでいると闇の力が心を侵食し始め心が廃れていくと感じ、幸せそうに子供を世話する女性を見ると殺意が沸きそうになっていたと語る。その気持ちを打ち消す為にサイラスとティアナの面倒をみる事を志願して、いざ始めてみるとアーレイを愛する気持ちとは違う慈愛というか愛でたい気持ちが溢れ始めて来たという。
「あの2人が可愛らしすぎて、心の底から愛し育てたいと思い始めたの・・」
そして締めくくりにアーレイの事を忘れるようなポンコツ《《愛人》》は側に置いたら駄目だよねと言い終え、ズンと暗い表情へと変わり口が一文字にギュッと閉じ思い詰めた表情に変わる。
「アデール、俺は君を愛しているから別れるつもりは無いよ、だから好きなだけ、気が済むまでインテンスで過ごすといいよ」
フィリーサやフローレンスが子育ての最中に母性本能に目覚め、頻繁に求めて来なくなった時の事を思いだしたアーレイはアデールも同じ状況に陥り、責任感の強い彼女は愛人として用を足さない自分は不必要だと考え、別れを言い出す前に先手を打った。
「もう、私が別れ話を切り出す前にそれは狡いよ~」
「君の事を愛しているから待つ事は問題じゃない、アデールが幸せになる事の方が重要なんだ」
全てを受け入れてくれる心の広さと”愛している”を感じたアデールは一気に後ろめたい気持ちが吹き飛び、ただただ嬉しくなり抜群の笑顔を見せるが感極まったのかボロボロと泣きだしてしまう。
「ありがとうアーレイ以前言ったわよね”私を愛し尽くす”って、私もそうよ愛してる・・もう迷わないわ」
愛されているを再認識したアデールは”私はアーレイの絶対的な愛に守られている”と強く感じ、心の奥底に潜んでいたモヤモヤとした闇の力が霧散すると清々しい気持ちと入れ替わり、急に愛おしくなったのか”抱いて”と呟き目を瞑り唇を重ねた。
ーー
<<娼館の村パラディス・近くの森の中>>
「フェリクスってキモイよね~」
「絶対アイツ病気よ、子供とチョメチョメなんて!(オコ」
パラディス村にほど近い森の中にデルタ魔法部隊の先発隊は一足先に野営地を設置すると、斥候を出して偵察を行い娼館の村の大まかな状況を確認していた。準備が着々と整う中、光の粒子がテントの中に現れローレンスから転送されたタイラーが姿を現す。
「どうみんな、状況は確認できた」
「はい勿論です。洋介様が先ほど到着したところです」
昨日、エルフ城に戻ったアルテミシアと洋介は急いで法律書の改定を行い、作戦発動に合わせて出来たばかりの条例文を携え現地に飛び今に至る。
「洋介様、いきなり襲っては来ないと思いますが十分注意してください」
「タイラー様、事前情報ありがとうございます。取り敢えず交渉に行ってきます」
作戦の第1段階となる法改正に伴い、この村はゲームマスターの管理下に置かれる事を宣言するために洋介はステルス化した隊員3名の護衛を引き連れフェリクスの娼館へと向かう。
<<娼館・お好きなだけ逝って>>
「いらっしゃいませお客様」
「フェリクスに会いたいんだが案内してくれるかな(笑」
「喜んで!」
魔法部隊の支援を受け何ら邪魔されること無く洋介はフェリクスの娼館に入り、そのまま事務所に向かい対峙することに・・。
「あんたがフェリクスだね(笑」
「黒髪の人間、誰だお前は曲者だ!出会え出会え」
因みに洋介の顔はゲーム準備期間に案内状を送って知っているくせにカッコつけたくて曲者扱いをして手下を呼ぶが、そもそも魔法部隊が既にあの小さな子供を含めて黙らせているので誰も来やしない。
「俺の事を知らないのか、新しい世界を作ったインテンスゲームマスターだぞ」
「くっそ忌々しい世界を作りやがる《《洋介》》め、ふざけるな!(汗」
よく聞けばすでに洋介の事を知っている前提で話していた。なのでジト目でフェリクスを見ると睨み返されるが、口が滑った事に気が付いたのか汗をかいていたのは見逃さない・・。
「俺の事を知ってるし、ほんとアルテミシアが言う通り間抜けだな~」
「えっ?アルテミシアと仲が良いの?」
もう口が滑るのにも程がある。こいつの情報網はそれだけ使えないという事だ。なので潮時と感じた洋介はクククと笑いながら一枚の紙を取り出しフェリクスの目の前でヒラヒラとさせる。
「良く聞けフェリクス、今後従業員を性奴隷として働かさせるのは違法だ。これを見ろ」
アルテミシアがガルーダの法律を元に新たな法律を制定した文章をフェリクスに見せると、王国の割印が押され偽物だとは言えず黙って条文を読み始めた。
「なん・だと(汗」
新しく制定された法律を読み、目を丸くするフェリクスは怒りが湧いたのかワナワナと体を震わせていた。その内容は性を生業として働く人々は今後、厳格な労働基準法の元で働き報酬は物々交換ではなく、I・F・G王国が発行する通貨インテを使用し最低基本給が決められ、更にサービスを行った人数に合わせて歩合制を取り入れる新法が制定されていた。
「要するにインテンスは現金取引になって、働かせる人々を管理し適性な対価を支払うってことだよ」
勿論ビギンでは当たり前に行われている商法なのでこの基準に合わせて貰うつもりだ。しかしフェリクスがそう簡単にハイそうですか、とはいかないだろう。
「嘘だ、そ、そんなことは認めない!(汗」
贖うフェリクスだったが新たに制定された風俗営業法は今まで重要視していなかった労働に関する法律に区分され、女王にも変更の権限が与えられているので《《この場》》でいくら喚こうが覆る事はないし、変更したければ城に出向き原本の記載変更しなければならない。
「あっそ、じゃ城に行こうか」
「・・・・」
事を荒立てることなくずっと帰りを待っていたアルテミシアが心変わりをしてしまった今、離縁を認めろと迫るのは必至だ。もし出向いて頑なに拒否すれば理由を述べなければならず、王権を乱用している事が公になれば国民の叛乱が起きてもおかしくは無い、なので黙るしか無かった。
「ふーん、最近この村に客が来なくなっただろ」
「煩い煩い帰れ、お前の指図など受けない」
ビギンの娼館はその道のプロが運営しているのでとても質が高く、感動すら覚える事もありリピート率が凄く高めだ。逆にパラディスは素人が素人を強制的に従事させているのでとても質が低く、常連客すら徐々に向こうに流れている程だった。
「フェリクス新しい時代が来たんだよ、従わないなら取り残されるだけ」
「・・・」
結局この後、フェリクスは洋介がいくら提案しようが拒否するばかりで従うことはなく、転移魔法陣を壊すと脅しても頑なに態度を変える事は無く物別れに終わってしまう。
「また出直すよ」
フェリクスと決別した事でもう容赦はしないと決めた洋介は、第2段階に進む決意を胸に抱き、タイラーの元に戻ると厳しい表情を作り作戦続行の指示を出すのだった・・。
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