73話、葵と御一行 ジルの自業自得
ズルズルと1匹のワイバーンを引き摺りながら、スノーとジルが戻ってきた。
スノーはジルを降ろしたら、もう1匹のワイバーンを取りに走ってったけど。
「お疲れ様でした!あの雷魔法は打ったのは??」
「俺だよ…最大で打てってスノーが言うから、頑張った…」
グッタリ。疲労感漂わせたジルはそのまま座り込んだ。
『ジルつかれた??』
ノアはジルの周りをうろちょろしながら時々顔を覗き込んでる。あ、捕まってジタバタしてる。
「疲れたぁー!!ノアは癒しだなぁ〜…」
抜け出そうと頑張ってるノアには申し訳ないけど、ジルのお疲れ感が可哀想だから
「ノアちゃんしばらくジルに抱っこされてて?」
って言ってみるけど
『ノアはうごきたいの!はなして!はなしてー!』
自由な子猫は捕まりたくなかったらしい。
「ジル、ノアは動きたいそうです…」
「もうちょっとだけ…頼むよぉーノアぁー」
尚更ぎゅっとしながらお願いするジル。
暴れ続けるノアちゃんは
『うごくのー!くるしいのもやだぁー!!はなしてくれないならかんじゃうんだもん!』
「っ!?え?あ!ノアちゃん噛むのは「ガブッ!」…あぁ。間に合わなかった…」
「いってぇーーーーーっ!!!」
ジルが噛まれた腕を押さえながら揉んだら打ってたら、ワイバーンを引きずってきたスノーが呆れてた。
「ジルは何をしておるのだ」はぁぁぁ。
起き上がって涙目になったジルはスノーを見ながら
「疲れたから癒してもらおうとしたら、噛まれた…」
『ノアはなしてっていってもはなしてくれなかったからかんだだけだもん!ノアわるくないもん!』
ジルの説明に被せ気味でノアが言ったら
「ふむ。それは嫌がるノアを離さなかったジルが悪いな」
って、当たり前のようにノアの肩を持つスノー。
「そうだけど!ここまで酷く噛まなくても良くない!?」
って見せられた腕は、血だらけでした。
………ってめっちゃ血出てるじゃん!!!!
「早く止血して、手当しないと!!」
慌ててジルに駆け寄って腕を見る。
うっ!こっち来てからまともに怪我した人見てなかったから忘れてたけど、私人の怪我と血見るの苦手だった!
ちょっと顔を背けながらシャツを割いて結んでってしてたら
「その怪我は自業自得だ。そんな事より主、ワイバーンをアイテムボックスに入れるのを忘れるな!」
スノーが平然と言ってきた。
「普通に魔物より怪我の応急処置が先でしょう!」
って私の言葉と
「自業自得なのは分かってるけど、そんな事って言うな!」
ってジルの文句がきれいに重なった。
「ふん!自業自得な怪我より魔物を優先して何が悪い!」
ぷいってそっぽ向いたスノーはほっといて、バッグに入れてた中級ポーションを振りかける。この傷がかすり傷に入るのかわからないから初級にはしなかった。
傷が綺麗になくなって安心、安心!
ほっとしながら顔を上げたら、驚愕したジルと目があった。
「このくらいの傷に何中級ポーション使ってんの!?使うにしても初級で十分でしょ!?」
「…どの程度にどれがとか分からなかったので中級にしたんですけど……ダメでした??」
「ダメじゃないし、ありがたいけど普通はポーションも使わないと思う」
「そうなんですか…?」
「うん……でも、心配してくれたって事だろうしありがとう。ポーション代払うよ!いくらで買ったの?」
「買ったもののスノーのおかげで、私使わないですし代金とかは大丈夫ですよ。なんと言ってもスノーに強制参加させられた事が怪我の理由ですし…」
強制参加後の癒しを求めた結果のケガだからね。
スノーもノアも私の従魔なのに止める暇も無かった。てか止めても聞いてくれないし。
じーっと私を見てたジルは
「ポーション代押し付けても意味なさそうだから、今回はアオイの厚意に甘えさせてもらうよ」
そうしてください。ほんとうちの従魔がすみません。
さっとワイバーンをアイテムボックスに入れて、ギルドに行くべく門に行こうとして思い出した。
門の方向いて騎士の人達を見たから思い出したって言った方が正しいかも。
「君たちがアティスから来た冒険者達だな?ワイバーンの討伐感謝する。先程の雷魔法は君とそちらの従魔どちらが??」
代表で話しかけて来た。1人だけ全く鎧の色が違うから多分隊長さんだろう人。
質問された事にジルが答えようとして
「それは「我ではなく、ジルが打ったものだ」……」
横取りされてがっくりしてた。
だから小声で「これでランク一気に上がるかもですね!」って言ったら尚更、がっくりしてた。
「そうか。Fランクだと聞いていたが、かなりの腕をしているようだな!この事はしかと、伯爵様に報告しておく!」
ありがとう!って言いながらそのまま街に入れてくれた。
「さっきの魔法凄かったな!」
「俺もあのくらい打てるようになりてぇー!」
とかコソコソ聞こえてくるし、視界に入る顔は全部キラキラしてた。
騎士の間を抜けながらチラッと見たジルはがっくり俯いたままだったけど、顔がニヤけてるのしっかり見えてるぜ!




