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71話、葵の奔走の結果




翌朝、ショックを引きずったままのジルは朝食をほとんど食べずに依頼へと出かけて行った。

スノーが呆れたような顔で

「我が一晩一緒に居てやったのにまだ機嫌が治らんとは」

それで治る事もあるかもだけど、

「それくらい大事にしてって事でしょ!!ジルにそんな事口が裂けても言っちゃダメだよ!?絶対に!!」

「ふん。人間の感情はよく分からん!」

「これからも一緒に居るんだからわかんないなら少しずつでも理解していけばいいじゃん。私のはだいたい八つ当たりに近いからそれは無くせるように努力する」

「八つ当たり!?それは我の飯の時のことか!?」

ご飯の事しか浮かばないんかい!!

「そうは言っても怖かったからとかだから、スノーに原因がないわけじゃないよ??」

「アレくらいで怖がるとは…」

「怖いのは怖いわ!!最初の気遣いはどこ行った!?」

「あれは創造神様から最初だからゆっくり行けと言われていたからそうしたまでだ!軟弱者め!」

「スピードをいきなり上げすぎなんだよー!!おまけに今の主人はわ・た・し!!」

もう!なんかまたムカついてきた。今回は耐える。

耐えて、普通の日常を送る。どこかでムカつきが消えるかもしれない。

ネットのなんかで見たやつ、えっと、何秒間か頭の中を無にする。そしたら忘れてる。

無、無、無、無、無、無、無、無、無…

いーやムカつき消えない。無になれない。私、瞑想とか昔から苦手だもんなぁ。そう言えば中学生の頃にはちょっと暇な時とかもう妄想してたっけ??

好きだったアニメの世界に入ってたなぁ。

なんのアニメでしてたっけなぁ〜。

「主は何をしている。ジルのシャツを直しに行くのだろう?さっさと行くぞっ!」

『あるじー?』

「んえ??あぁ、行こう!出来るお店が分からないから片っ端から聞いてみよう!」

ん?違う事考えてたらイラつきどこか行ったよ!やったね!




街に出て探す事すでに5軒目。ここも

「ここまで破れたら難しいですね」

って断られてる。

そんな気はしてた。だって破れてるとこ肩の縫い目だけじゃなく、背中の方もざっくりいってるもん。

「はぁー。やっぱ無理なのかなぁ」

『あるじー!まだおみせあるよー!』

ノアがキョロキョロしながら教えてくれる。

「そうだね!まだ始めたばっかりだから諦めるのは早いね」

スノーはちょっと反省してるのかな?心なしか耳も尻尾も下がってる気がする。

6軒目………ここもだめ。シャツ見せた瞬間

「これは無理だろう。諦めな?」って。

でもまだお店はある!!きっと見つかる!!



スノーもノアもお腹すいたっても言わずに、お店回りしてくれて、30軒ほど回っただろうか。

「最悪だぁー!どこも無理だなんて!厳しいとは思ってたけどここまでとは!!」

「……………」

「繊維業で栄えてて洋服屋さんいっぱいあるからどこかに凄腕の人いるかと思ったのに…」

「……………」

はぁぁぁぁ。デカいため息吐いたら、スノーも一緒に吐いてた途中からスノーを気にしてる余裕も無くなってたから気付かなかったけど、耳も尻尾もぺったり下がってた。

ノアもどことなく元気ない。って思ったらパッと顔を上げてキョロキョロ。

「ノア?どうしたの??」

『ジルちかくいるー!』

言うが早いかピョーンって飛び降りて通りに駆け出した。

「…いや、勝手にどこ行くの!待ちなさい!」

慌てて追いかけようとしたけど、スノーが動かない。

あーもう!!とりあえスノーにここで待ってるように声変えようとしたら

「ただいま!!ノアお迎えありがとな!」

ってノアを抱っこしたジルが居た。

「ノアを捕まえてくれてありがとうございます!」

ジルからノアを受け取って

「勝手に飛び出しちゃダメだよ!!悪い人が居て、どっかに連れ去られたらどうするの!?人に蹴られて怪我してたかも!それにいきなり現れたノアにびっくりして、誰かが怪我してたかもしれないじゃん!」

怒りながら抱き上げた。見た目高い高いだね。

『ジルがいたからうれしくて。ごめんなさい』

うっ!可愛い!!がしかし、ここは鬼にならねば。

「もう次はしちゃダメだよ!?」

『はぁーい』

「あははっ!アオイの顔百面相みたいで面白いな!ところで、スノーが落ち込んでるように見えるけどどうした?」

落ち込んだままおすわりしてるスノーの横にしゃがんでジルは覗き込んでる。

すすーっと顔を逸らすスノーを追いかけて覗き込んでる。

「あの、シャツなんですけど……えっと……」

どう言えばいいのか分からない。

「あー!もしかして無理だったから落ち込んでる?」

ジルの言葉にピクッと反応したスノーが

「ジル、戻せないそうだ。その、なんだすまんかった」

って謝った。おお!!…感動してる場合じゃないや!

「多分、全部のお店回ったとは思うんですけど、どこも断られてしまって…」

「あの破れ方じゃ無理だろうな!いいよ、いいよ!気にするな!依頼こなしながら考えてたけど、騎士辞めたのに記念のシャツっていつまでも着るのは未練あるみたいで変かなって思ったし!それに代わりに冒険者になった記念でシャツ買えばいいじゃん?って思ってんだよな!」

いいや、もっと怒ってよくない??

思い出の記念品って大事じゃん?初めて買ったアクセを取っとくとか、昔のプリクラ捨てれないとか、私あっちの世界で結構あったよ??

スノーは落ち込んだままで、私ポカーンとしてたら、そのまま続けてジルは

「今度の狩りで稼いだ金で、スノーからって事で新しいやつ買ってくれたらチャラにしよう!」

って交互に顔を見ながら言いおった。いい人や〜!!

ガバっと顔を上げたスノーは

「それならいくらでも買えるだけ魔物を狩ってやる!」

って意気込んだ。





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