34話、葵と従魔と隊長さん
団長さんの話が落ち着いた後は、侯爵様が子どもの頃からフェンリルに憧れてたって話だったり雑談をして、次の予定の時間が来たからお暇した。
侯爵様にかっこいいっていっぱい言われたスノーが嬉しそうに尻尾フリフリしてて可愛かった。
最初も紅茶は出てたんだけど、おかわりの紅茶とケーキ出てきて美味しく頂きました。
砂糖だけじゃなく乳製品も小麦粉もなかなか高価だから、クリームたっぷりのケーキとかは貴族か商家とか裕福なお家しか食べれないらしい。納得。
隊長さんも一緒に食べられて幸せそうでした。
帰りはまた馬車に揺られて宿まで送ってもらう。
緊張が解けて気づいたけど、スノーは馬車と並走してた!
乗り込むには狭かったみたい。
「アオイちゃんに着いてったおかげでケーキ食べれて良かったぁ!ラッキー!」
「1人と1匹でで謁見にならなくて良かったです。ありがとうございます!」
「団長の事も言えたしよかったよかったぁ!」
「それなんですけど、言っちゃって良かったんですか?」
「大丈夫だよぉ!団長とスノーを連れてるアオイちゃんどっち取るかって言われたら街的には後者でしょ。スノーが居てくれるだけでどんな魔物が来ても絶対大丈夫って余裕が持るしねぇ。」
「最近来たばっかのスノーの存在感?強くないですか!?」
「伝説持ってるSSランクだからねぇ、ワイバーンの群れを一撃で落とすの見て実感したんだよなぁ。団長の事は尊敬してるんだけど、アオイちゃんに対しての態度は納得出来ないってのもあるしねぇ」
「本当に私にだけなんですか?」
「俺が知ってる限りはアオイちゃんだけだねぇ。今まで身の上話し聞いて号泣しても、上手くやってるかって気にはしても後の生活には何も干渉した事ないんだよぉ」
だからなんでなのか不思議だねぇ。って言ってから宿に着くまで2人でうんうん唸ってた。
馬車から降りて挨拶しようと振り返ったら
「俺も今日はこれで仕事終わりなんだよねぇ〜」
とか言いながら隊長さんが降りて来て、空っぽの馬車はそのまま何処かに走り去ってった。
仕事終わったならそのまま乗って帰れば良くない!?
「何か他にご用事が?」
「特にないねぇ〜」
じゃあなんで帰らないでこっち見てるの!?
馬車は100歩譲って使えないって言われてたとして、帰らない理由はなんなの?
「ジルは領主からの仕事を主に伝える役目なのだろう?」
それまで毛繕いしてたスノーくんが話に入って来た。
また、私を置いてけぼりにして話決めちゃう感じじゃ…
「そうだよぉ〜」
「ならば主、トランクを見せてやれ」
「トランク?…ってもしかしてあの魔道具のトランク持ってるのぉ!?」
そう!魔法のトランクなんだけどね、魔道具店に置いてはなかったけど、あるのはお店の人が教えてくれたの!
なんと、ダンジョンの最下層でボスを倒すとごく稀に出てくるんだって!最後に出て来たのは300年前。ダンジョン踏破も300年前。
ダンジョンは色々あるけど、トランクがドロップされるのは30階層はある大きなダンジョンだそうで、トランクの値段も白金貨1000枚と普通の人は買えない。王侯貴族ですらそうそう手が出せないって言ってた。
「あの、えーっと…」
「ジル。トランクの事は誰にも喋るでないぞ?そうそう見つからんみたいだからな、誰かに取られてはいかんからな!」
コクコクッ!隊長さん高速で頷いてる。
「ほれ主、トランクを出して中に連れてってやれ」
そんな簡単に教えていいのかなぁ。
もう言っちゃってるから後の祭りか!
「はぁぁ。…これです。中へどうぞっ」
アイテムボックスからトランクを出して、中に入る。その後ろを隊長さんがスノーに押されながら入って来た。
「ひぇ!白金貨1000枚はするトランクに入っちゃった!」
とかなんとかぶつぶつ言ってる。怖いわ!
障子の前でブーツを脱いで、開けて入る。
隊長さんも、見様見真似みたいにブーツを脱いで入って来た。
長い廊下と日本庭園を見て
「ほぇー!生まれて初めてのトランクの中…下手したら王族も持ってないトランクに入ってる……。」
長い廊下はロの字になってるからダイニングに案内する。
街にいる時にトランクの中で過ごすのはダイニングが多いし。
「我らが日中街にいる時はこの中にいる事が多い。これからは通りに出る時は店主に言付けをしておこう」
「スノーくん、隊長さん聞こえてないっぽい!」
「むむ?」
後ろをついて来てたけどキョロキョロしてて、話は右から左に流れてるっぽいんだよね。
話聞いてない事に拗ねたのかスノーが
「うぎゃっ!」
隊長さんの背中どついてた。
とりあえずダイニングのテーブルに座ってもらってマグカップでペットボトルの紅茶を出した。んだけど、
「なんでこの紅茶冷たいの!?」
やっちまったー!
この世界、熱い紅茶しかないじゃん!!
私のばかぁー!
「そ、外はまだ暑いので冷たいの飲みたいなぁーとか思ったりしたり、す、スノーの魔法で冷ましてもらいました!!」
「そっかぁ。紅茶を冷ますのに魔法を…そんな使い方もあるんだねぇ」
「そ、そうなんですぅ!」
ふぅー。なんとか誤魔化せたかな?




