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23話、葵と団長さんと初酒場





「早いですね!すみませんお待たせしましたか?」

結構焦りながら近寄っていったら

「今来たばかりだから気にしなくていい」

笑顔で言ってくれる団長さん。

イケメンさんだから慣れてるのかな?

「スノーにこの串焼き、渡したいんだが従魔小屋はどこだろうか?」

「本当に買ってきたんですか?ありがとうございます!従魔小屋はここの裏にあります。案内しますね!」

連れ立ってスノーのところまで行ったら

キラキラした目をしながらおすわりして待ってた。

……匂いに釣られたな?

アイテムボックスからお皿を3枚取り出して…

「…本当に300本買ってきたんですか?」

「いや、流石に一気には持って来れなかったから、残りはジルが持ってきてくれる事になってる」

おっふ。隊長さんがパシリになってる。

「わざわざすみません。大丈夫なんですか?」

色々と…。

「ジルは元々非番だったし、俺も部下たちからさっさと帰れってせっつかれたんだ。よほどの「早く串焼きをよこせ!」事がない限り大丈夫だ」

「ちょっとスノー!」

「ははっ!すまん、すまん。串から外した方がいいよな?」

って嫌な顔せずにテキパキ外してお皿に盛ってくれる。

盛った(1皿に50本くらいを綺麗に山盛りにした)串焼きのお皿をスノーの前に出して

「今日はミノタウロスらしい。少し冷めてるけど大丈夫か?」

とか聞いてくれてるのにスノーはフル無視でがっついてる。

あんまりな態度だと思う。うん。

「買ってきてくださった団長さんに失礼でしょ!明日のご飯お肉抜きにしようかなぁ〜」

一瞬固まったスノーが捨てられた子犬みたいな顔するから

撤回しそうになるけど我慢我慢。

「この串焼きは冷めても美味い。礼を言うぞ。だから主!明日の食事も肉を!」

必死だね。はぁぁ。

いつの間にか団長さんの串外し終わってるし。

「ふっ!あははっ!いや、笑ってしまってすまない。」

「いえ、大丈夫です。ふふふっ!」

笑いながら手を洗うための水を井戸で汲んで差し出してると

「あ、居た居たぁ〜。残りの串焼き持ってきたっすよぉ」

軽いノリの隊長さんが現れた。

「お休みの日なのに、すみません!」

「ん〜?大丈夫だよぉ。どうせ暇してたしねぇ〜」

とこれまた軽ーく返された。しかも

「後はやっとくし皿は宿の人に渡しとくから、2人はさっさと行ってらっしゃーい!」

ぽいぽいって感じで即座に送り出されましま。


話の流れ的に2人っぽいけど誰か来てくれないかなぁ

とか希望的観測を思ってた時期もありましたよねー。

「……マジの2人………」

「ん?何か言ったか??」

声に出てたっ!?聞き取れてたわけじゃなさげだけど。

「っ!なんでもないです!」

「そうか?まぁいい。何か食べたい物とか、行きたい場所とかあるか?誘っといてなんだが、あまり女性が好むような事した事ないんだ」

チャラくはないけどイケメンでモテそうなのに意外だ。

「めちゃくちゃお誘いされてそうな見た目してますけど?」

「声を掛けられなくはないが、あの目が…苦手でな…」

「あぁ、なんとなく凄そうですね。行きたい所…酒場に行った事ないので行ってみたいです!」

ガツガツしてる人怖い的な事よく聞くよね。

経験ないからわかんないけども。

あれ?でもそれ今私、なんかやばくない?

「酒場か、いいぞ!女性1人で入るのは少し危ないからな!俺に近づいて来るのは地位目当てのやつばかりだ」

あ、その話続けますか!?

「やった!騎士団所属で団長さんって役職付きですもんね」

酒場OKもらえてテンション爆上がり!したけど団長さんがモテるなら周りが怖い。そーっと目だけ動かして周りを見てみる。

うん。綺麗なお姉様方からガン見されてるぞ!

ヒソヒソしてる人も居るぞ!

なんか心の平穏が本気でどっかに行きそう。

スノーの特訓は仕方ない。私強くなりたいもん!でも、これはアカンやつや。絶対!怖い!

でも行ってみたかったから異世界の酒場には行く!樽みたいなジョッキでエール?飲んでみたい!!

「役職付きと言ったって、俺は孤児でたまたま視察に来た侯爵家の第一騎士団長に拾われて騎士になって、運良くここまでこれただけで他には何もない。勿論、訓練は誰よりもやったと思ってるが…ここに入ろう」

「!?叩き上げ!尚更、凄いじゃないですか!」

貴族じゃないのに団長なれるって凄いやないかーい!貴族の子息とかじゃないと団長までは上がれないイメージだったわ。

会話しながらお店の中へ普通に入るから着いて行く。

想像してた酒場より陽気で楽しそうなお店だなぁ。

「空いてる席に自由に座って!」

今の私より少し上くらいの女の人が元気に言ってくれて

団長さんもサクサク進んで一つのテーブルへ座った。

ので、若干戸惑ったけど前に座る。その間も会話は続いてて

「そうかな…」

「その話聞いたら誰でも言いそうですけど、違うんですか?」

「うーん、どうだろう。第三騎師団の部下達は慕ってくれるが、他からはあまりよく思われていないんだよな。生まれ的に」

やっぱどこの世界も権力とコネなんだろうか。

「私は実力のある人が上に立っててくれたら安心出来ると思いますけどね。権力もコネもないよりあった方がいいのは確かですけど、それで上に立ってもうまく行くかは本人の実力とやる気次第ですし」

「なるほど…。君はそう思うのか。立場が上がるにつれて色々言われるのにはだいぶ慣れたがそれでも堪える時があるんだ」

……どうしましょう。こっちの世界に来て初めて人と飲むのに、陽気な場所で団長さんがなかなかに沈んでる。

てかこの話そこまで関わらない人には重くない?

なんでこの話になった。持ち上げたつもりだったのに!

「注文はお決まりました?」

「初めてでわからないので団長さんにお任せします!」

「あ〜、じゃあエールを2つと今日のオススメで」

「エールはすぐに持ってきますね!」

このまま別の話に……って何聞けばよろしい?






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