マネージャー登場
莉子からラブレターを差し出され俺は困惑した。
「え~とコレを誰かに渡せばいいのかな?」
ちょっと冷静になれば分かる事、莉子はきっと俺にラブレターを好きな人に代わりに渡してほしいのだと。
「違うわよ!稔に見てほしいの!」
そう言ってラブレターを俺に押し付けた。
莉子とは小学校入学からの付き合いだ、初めて会った時は髪も短く女の子ぽくなくどちらかと言うと美少年って感じで男友達と同じように接してきた。
だけど中学上がってからはモデルや女優の仕事をし始めどんどん女性らしく綺麗になった。
そんな中俺は野球部でレギュラーどころかベンチ入りすら出来ず莉子の活躍を応援しつつも何も結果の出せない自分が情けなくなっていた。
今だってこんな失敗してこの学校にいる自分がこのまま莉子の彼氏になって良いものかと思ってしまう。
「なんか勘違いしてるみたいだけど私から稔宛のラブレターじゃないからね!」
そう言って莉子は封筒を裏返すとそこには滝川莉子様と書いてあった、どうやらこのラブレターは莉子宛になっている、それが分かったとたん恥ずかしくなった今すぐこの場から逃げ出した。
「私好きな人出来たら手紙じゃなくてハッキリ言うし!」
とりあえず恥ずかしさを誤魔化すためにもラブレターを開封した。
するとそこには多くの莉子の写真があり一言書かれた手紙があった。
『テレビや雑誌のあなたも素敵ですが日常生活のあなたも素敵です』
それを読み再び写真を見直すと隠し撮りした写真に見えて来る。
「コレってやっぱり」
「うん盗撮それで今私ストーカーに合ってるの」
これも芸能人になったからの宿命みたいなものか。
「警察には掛け合ったのか?」
「行ったんだけど実害が無いから捜査は出来ないから付近のパトロール強化をしてくれたぐらい」
被害が無いならヤッパそんなもんか。
「でもこの前もゴミ捨て場に捨てた私のゴミの袋が開いて漁られていた形跡もあって怖くなって、だから丁度地元の方が撮影現場近いし仕事あったしストーカーから逃げるのもあってこの学校に転校したの」
中学時代はテレビや雑誌に出てるような格好のままでいたのにメガネに髪を前に垂らす格好してたのはそのためでもあったのか、てっきりこの学校の連中らに纏わりつかれないためだと思っていた。
「でも何で俺だけにストーカーの事を話したんだ?」
正直他のみんなにも聞いてもらった方が良い案が出ると思う。
「誰がストーカーか分からないし、みんなにストーカー被害にあってるって言った事をストーカーが知って逆上して襲って来るかもしれないから」
莉子は身体を振るわせながら言った。
中学時代は今みたいにメガネとか掛けずにテレビや雑誌に出てる姿でいたのに逆高校デビューした訳はそう言う理由か。
「稔だけに話した理由は稔はストーカーなんてしないだろうと思ってるから話したの」
その通り俺はストーカーじゃない、だって莉子の実家は知ってるけど芸能活動と学校生活のために借りてる部屋知らないし、そんな事してる暇なんてない。
「それで俺に話したって事はストーカーを捕まえてくれって事だな」
「ううん!単に私の現状を知ってもらいたかっただけ」
莉子はあっけからんと言った。
確かに俺にストーカー探し何て出来ないから頼まれても難しい、これがアレか女性の共感して欲しいから話しているだけってやつか、俺は男だから解決策を考える本当に男と女じゃ脳の構造が違うんだなと思った。
「まぁいいやとりあえず莉子に害なそうとする怪しいヤツが出たら取り押さえるよ」
俺はケガしても自動回復があるから直ぐ治る、さっきも眼球潰れたけど治ってるしね。
「そこまでしなくていいよ!そうなったら逃げて!」
稔の身を身を案じ莉子は釘を刺す。
でも自分を守ってくれると言ってくれて内心喜んでいる莉子だった。
莉子からの話しも終わり2人は帰宅する事にした。
ストーカーに狙われてるのもあり稔は莉子を家まで送る事にした。
「こうして2人だけで帰るの昔からあんまり無かったよね」
そう言えばそうだ小学生時代は門出たらまた明日って言ってたしリトルチームでの練習終わりも大和とか他に人居たしで莉子と2人きりで帰るってあんまり無かった。
「じゃあ今2人きりだからストーカーが俺を彼氏だと勘違いして俺を刺し殺し、莉子もそのストーカーに裏切り者!!とか言われて刺し殺ろされるかもな」
ストーカー物の定番の展開だから今から起きるかもしれない、冗談交じりで莉子に言った。
「やめてよ本当に」
体を振るわせうつむく莉子、悪い事したと稔は反省した。
プップー!!
突然後ろから車のクラクションが鳴った、別に道路に飛び出している訳でも無いのに鳴らすのは良くないと思い後ろの方向を振り返ると女性が窓から手を出し振っていた。
「関都さん!」
どうやら莉子の知り合いみたいだ。
「私の担当マネージャーをやってる関都要さんだよ」
莉子のマネージャーをやってる関都さんは車から降りてこっちにやって来た。
「莉子、今帰り?」
「はいそうです、関都さんが来たって事は急なお仕事が入ったんですか?」
「いいえ、例の件が有るから家まで送ってあげようと思って」
例の件ってストーカーの事かな?莉子に聞こうと莉子を見ると俺の言いたい事を察して頷かれた流石長年の幼なじみだ。
「あなた!」
そんなやり取りしてると関都さんが鋭く俺を睨んで来たかなりの美人なので迫力がある。
やっぱりコレはあれかな?莉子は売れっ子事務所の商品、そんな女の子が変装してるとは言え男と一緒に居たらイメージ悪くなるから「莉子には近付かないで!」とか言われてしまうのかな?そんな事を考えてると関都さんはスーツの内側に手を入れた、まさか手切れ金を渡すつもりなのか?
「私、芸能事務所で働いてる者なのですが、あなた芸能界に興味ありませんか?」
関都さんは俺に名刺を出して来た、芸能界に興味?もしかしてスカウトされてる?
「関都さんどうしたんですか?普段スカウト何てしないのに」
「だってこの人は持ってる!捕まえておかないと!」
そうなの!いつも町歩いていても英里とか翔馬とかがいつもスカウトされてたから気づかなかった。
「関都さん残念だけど稔は芸能界に興味無いよ」
「まぁな、莉子せっかく関都さんがわざわざ来て送ってくれるって言ってるし甘えたら」
徒歩で帰るよりも車で帰った方が安全だろ。
「いいよ稔に悪いし」
「ここで断ったら来てくれた関都さんに悪いだろ」
「…それもそっか」
莉子は納得し関都さんの車に乗った。
「あなたは良いの?送ってあげるよ」
「大丈夫ですよ家近いので」
俺も送ってくれると言ってくれるが初めて会った人にそこまで甘えるのは失礼だろ。
「そお?それじゃ芸能界の事だけど気が変わったら連絡してね!」
「じゃあ稔また明日学校で」
「うんまた明日」
そう言って2人は行ってしまった。
それにしても初めてスカウトなんてされた、芸能界には興味無いし莉子がストーカー被害にあってるけど。
「やっぱりスカウトされるって嬉しいものがあるな!」
莉子が大変な目にあってるけどスカウトされた事に喜びながら稔は帰宅した。




