転校生
本日は朝から生憎の雨、でも午前中には止む予報となっている。
梅雨入り前なのに良く降る、まぁ梅雨じゃなくても日本だとそれなりに降るもの、そうじゃなきゃあっという間に水問題が発生してしまう、そんな事を考えながらも教壇の前にいる女の子を見る。
「今日からこのクラスの一員となります滝川莉子です、よろしくお願いします」
季節外れの転校生は今売り出し中の女優・椿リコで我が幼なじみの1人の莉子だった。
「なんだ折角女子が転校して来るって聞いたのに地味だな」
メガネで髪をシュシュでまとめ肩から前に垂らしてる莉子を見てクラスのほとんどのヤツがダサい地味と言う。
メガネと髪型違うだけでこんなにも言われるんだな、ここしいつもテレビ出ている格好したらきっとコイツらは騒ぐんだろうな、それが嫌だから莉子はそんな格好したのだろ。
「それじゃ滝川は後ろの席に」
「待って下さい先生!私の席あそこの人の席が良いです」
莉子がそう言って指差した場所は俺の横の席だった。
「それだと小林が後ろの席に行かないといけないから…」
「私は良いですよ、この席嫌でしたから」
そう言って小林はチラッと俺を見る、どうやら俺が隣の席ってのは嫌だったらしい。
「そうか?だったら小林は後ろ行って滝川がその席に座るように」
小林が後ろに行きその席に莉子が座った。
「久しぶだね」
「久しぶりってほどでもないだろ同窓会終わって数日しかたってないんだから」
俺は笑いながら答えた。
それにしても莉子が転校生か、9年間クラスメートやってたから変な感じだ。
「転校生してまたクラスメートになるなんて辺な感じだね」
莉子も同じ事を考えてみたいだ。
「去年1年間は違和感ばかり有ったけど、またクラス同じになって何かその違和感無くなったかんじするの」
「分かる!」
俺もこの1年違和感だらけだったから莉子の気持ちは良く分かる。
「莉子、これからは学校でも宜しくね」
「ええ宜しく」
俺のもう隣にいるユーリも莉子に挨拶し莉子も答えた。
席が離れているので広司達は手を振って莉子に挨拶した
「ん!?」
何か変な感じが後ろからしたので振り向くと、後ろの席のクラスの中心人物カースト上位の男子の新島が鋭く怒りを込めて俺を睨んでいた。
俺アイツに何かしたけ?疑問になったが授業が始まったので新島は無視して、危険物取扱者甲種の参考書を開いた。
「稔?今歴史だけど何見てるの?」
「資格の参考書」
最近乙3・5・6に合格して危険物の甲種の受験資格を得たので勉強中だ。
この学校の授業は遅れてるし歴史は大学受験に意味ないから基本的俺は別の勉強をする。
「義務教育終わっているから自由だけど稔って英語苦手だから重点的に頑張るって言ってなかったけ?」
そう言われて稔の手が止まる。
「いや千樹また乙4落ちたみたいだから一緒に勉強しようかなって思って」
稔は目をそらし莉子を見ずに答える。
「そうやって苦手な事から逃げてばかりじゃ社長どころか大学受験失敗するよ」
「うるさいなぁ!」
莉子の注意に稔は口を尖らせ反論する。
「うるさいって何よ!人が親切で言ってるのに!」
「ほら今もうるさい!」
稔と莉子は口喧嘩がヒートアップし始めたのだが。
「お前達!義務教育は終わっているんだ!!そんな事するなら出ていけ!」
「「すいませんでした」」
別に出て行っても良いが、出席日数が足りなくて進級や卒業出来なかったりしたら大学行けないくなるのは困るので俺達に直ぐ様謝った。
今日は雨なので体育は体育館で自習となった。
ネットで男子と女子の使うスペースを分けて男子はバスケ女子はバレーをやっていた。
そんな中、稔はバレーボールを持った莉子に追いかけ回されてた。
「またあの2人やってるよ」
「そうだね」
莉子が稔を追いかけ回しているところを休んでいた広司と英里が懐かしいそうに見ていた。
「またっていつもああなの?」
懐かしんでる2人にユーリは休憩ついでに聞いてみた。
「そうだね、小学校の頃からあんな感じだったよ」
「あの頃は時々大和も混じって稔を追いかけ回していたよ」
また稔と莉子の方を見ると、莉子が稔の足下にバレーボールを投げそれを稔が踏み大転倒した。
稔は素早く立ち上がろうとしたが莉子がすかさず稔の背中を踏みつけて起き上がれないようにする。
稔はジタバタと逃れようとするが脱出は出来ず、そして莉子は稔の後頭部にボールを思い切りぶつけた。
そんなやり取りをしている楽しそうな2人の姿を見てユーリは何だかヤキモキした。
「ゴメン!ボール取って!」
そんな気持ちがわき上がって来た時、ユーリの足下にバスケットボールが転がって来た。
それをユーリは拾うと大きく振りかぶってゴールまで思い切り投げ、そしてボールはバックボードに命中し見事にゴールした。
「「お~!!」」
コートの中じゃないから得点にはならないが、みんな今の遠投シュートに拍手喝采する。
稔を踏んづけてる莉子も踏まれてる稔も拍手した。
そんな拍手喝采する中、新島と奥山達は不機嫌な顔をして稔と莉子を睨んでいた。




