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討魔戦鬼ブランク〜手名芽市神魔討伐譚〜  作者: 九頭龍
第六話 戦慄! 獣将戦鬼ブライの脅威
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6-6


「花? 何の話だ」


「俺はよ、こうなる以前の記憶を持ってねえ。だから、花を育てた事があるかはわからねえが……」


 喋りながらブライの体が大きく膨れ上がっていく。膨れながら、形を変え、サイともカバとも象とも似た、デュラハンを超える巨大な怪物が姿を現した。


「せっかく植えて根付き芽が出た花を、片っ端から喰われる気持ち……それが今のお前に対する俺の感情だ、ブランクッ! べへモスのブライ、行くぞ!!」


 巨獣べへモスとなったブライが吼える。それだけでコンクリートにヒビが入り、大気が震える。

 次の瞬間、その巨体からは想像もつかないスピードで、ブライがブランクに接近する。


「チャージッ!」


 捕らえようと伸ばされた手から逃げるブランク。しかし、チャージしたブランクよりも素早く動いたブライが、その手でガシリとブランクの胴体を掴み上げる。


「っ! しまった!」


「お前は何か勘違いしているかもしれないがな、ブランク」


 もがくブランクを目の前に持ち上げ、ブライが獣の顔で笑う。


「俺達、虹枝の幹部からすれば、お前なんてこの通り、いつでも潰せる取るに足りない存在に過ぎない。そのお前が、俺達の邪魔を何度も何度も何度も……」


 ブライの手に力がこもる。万力のような怪力でギリギリと締め上げられ、ブランクの装甲が悲鳴をあげる。


『新っ!』


「く……わかってる! サラマンダー・ソウルコネクト! エクセス・チャージッ!!」


 ブライの手の中、ブランクが膨大な熱量を発しながら白い光を放つ。その熱量に、さすがのブライも顔をしかめブランクを放り投げた。


「グッ……ちっ!」


『新、奴の力は予想以上だ。出し惜しみしては勝てんぞっ!』


「みたいだな……やるぞ、八葉。 セーフティデバイス・リリース! アンリミテッド・コネクトッ!!」


 閃光の中、ブランクがアンリミテッドフォームへと姿を変える。一気に飛び出したブランクは、ブライ目掛けて攻撃を仕掛けた。


「ハッ!」


 短い気合いの声と共に、右拳を放つ。ブライは先の繰り返しだとばかりに、その拳に自身の右拳を合わせる。

 激しい衝突音、拮抗する両者の力、ここまでは同じだった。


「な、何!?」


 ブライが狼狽の声をあげる。拮抗していたはずの拳は、徐々に押され始め、遂には自身の腕を弾き、完全に振り抜かれた。


「まだだ! チャージッ!!」


 ブランクの両腕、装甲間を流れるように輝く白い光が、速度を増し膨れ上がる。輝く両拳を構え、ブランクがブライへ連続パンチを打つ。


「ハァッ!!」


「うぐっ!」


 打つ度に更に速度を増していくブランクの連撃に、ブライが両腕での防御を余儀無くされる。だが、その分厚い肉で出来た二つの壁も、雨のようなブランクの攻撃に、遂には千切れ飛び灰になって崩れ去った。

 それを見たブランクが、距離を取り呼吸を整える。


「はぁはぁ……いけるぞ!」


『どうやら、そのようだ。しかし、そう悠長に構えてはいられぬぞ、新』


「そうだな、次で終わりに……んん?」


 ブランクの目の前で、ブライの姿が変化する。巨体が萎み、先の逆再生のようにべへモスから人の姿へと戻っていく。千切れた両腕は再生され、元々異形化されていた右腕も人のそれへと変わった。


「ふぅ、今のは良かったぜ、ブランク」


 完全に人に戻ったブライが、再生した両腕を確かめるようにぐるりと回しながら笑う。


「だったらなんだ? 元の姿に戻って、どうするつもりだ。言っておくが、俺はお前が仮に本当に人間だったとしても、その姿のままでも、容赦するつもりはないぞ」


「ふははは、容赦しねえか。大丈夫、ちゃんと相手してやるよ……こいつでだ」


 ブライがポケットからブラックギアを取り出し、左腕に巻き付ける。


「それはっ……」


「俺がただの人間じゃない。そう言ったろう? 教えてやる。俺は……いや、俺達はアイツの依代同様に、虹魔石を埋め込まれて、その身に神魔を宿した。神魔は依代の魂を喰らい、喰らえば喰らう程、強大に育っていく」


 ブライが背後のデュラハンを振り返った後、自分の額を、その太い指でトントンと叩く。


「だがな、俺達の魂は、その神魔すらも凌駕したのさ。身の内の神魔に抗い、互いに喰い合いながらも、最後に勝ち、神魔の全てを己が内に取り込んだ存在……それが俺達、魔人だよ」


「神魔を、人の魂が喰ったのか!?」


『そのような事……まさか、有り得るのか……』


 驚きを隠せないブランクと八葉。ブライは笑い、左腕に巻いたブラックギアを見せ付けた。


「話はそれで終わりじゃねえ。お前も既に知っているコレ、並の神魔が使えば、ただ魂量を増やし強化するだけだが、比較にならない魂を、力を持つ俺が使えばどうなるか……想像出来るか?」


「何っ!?」


「ふふん、こうなるんだよ! 業魔ごうま転変てんぺん!!」


 その時、黒い閃光が全てを包み込んだ。

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