↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦国時代に冒険ギルド設立します  作者: 不思議な人
第一章 近畿中部 乱戦編
6/25

第五話 裏の裏

亀倉さんと色々話し合っているうちに、石山攻略の作戦会議は終わったらしい。

猫影さんらが来たことで会議が円滑に進んだのか、森田さんはすごく調子の良さそうな顔をして出てきた。

そこまで楽しいものなのか? と少し疑問には思ったが、何はともあれ作戦は決まったらしい。


「よし、全員集まったな。作戦は至って簡単、俺らと騒乱一門で正面突破だ。堂々とな」


ざわつく一同。


ここにいる人は全員、石山の堅さを知らされている。なにせ、数でなんとかなる感じではなさそうだと言ったのは、他でもない森田さん自身だ。


「その策は建前とかでは……」


「いや、ない。本気だ」


「ですが!」


「作戦決行は6日後、各々準備しておくように」


今は従うしかないのだろう。

森田さんを信じて。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


5日後の夕方。


炎楽と天下騒乱は、石山御坊の真正面に堂々と陣を構えた。

もうここまで来ると怪しいレベルだ。

もっと言えば、いつからだろうか。途中から猫影さんらが姿を消している。


「とすると、こっちは囮で……」


「何考えてるの?」


「うぇ!?」


「ずいぶんと驚くじゃない」


「あ、え。あぁ、すまん。考え事を」


「そんなの見たらわかる。んで、何考えてたの? 現代に戻った後のスローライフ?」


「そんなお気楽なものじゃないよ。作戦のこと」


「へぇ。あなたが考えたところで、なんにもなんないのに?」


確かに、それはそうだ。

でも――。


「愛菜は少しくらい考えたりしないのか? こういうこと」


「昔はしてたわ。でも、もう意味ないって割り切ってやめたの。考え事を増やしても仕方がないでしょ」


ど正論である。


この際、こういうことを考えるのは自分もやめておこうと思った。

自分は悩みだすとトコトン悩む人間だ。変にいらないことに首を突っ込んで、死ぬのはごめん被る。


「スッキリした顔ね」


「毎回思うんだけど、よく顔だけで人の思考がわかるな」


「毎回言うけど、あんたとは長い付き合いなだけなのと、あんた以外はさっぱりわかんないわ」


「そんなに顔に出るタイプなのか……俺」


「そういうことかもね?」


「なんで疑問形?」


「さぁ。それこそ考えてなさい」


そう言って、愛菜はため息をつきながらどこかへ行ってしまった。


「はぁ……気づきましょうよ」


「へ?」


突如、誰かに肩を軽く叩かれた。

その直後、後ろから若い声が聞こえる。

この声は、あまり聞き覚えがない。

声のした方向へ振り向くと、布で目から下を隠した青年が立っていた。


「はぁ、なんだ。猫影さんですか。驚かさないでくださいよ」


「なんだとは失礼ですねぇ。まぁ、いいですよ」


「何か御用ですか? というか、今までどこにいたんですか? あと、なんでマスク?」


「質問が多いですね。これは……単に最近風邪気味なだけなのと、あの数日間は偵察っすよ。それと、天宮さんに声をかけたのはたまたまです。では」


そう言って手を振ると、青年もそそくさとどこかへ行ってしまった。


気づく……?


一体、なんのことなのか。

心当たりがあるようで、ないような。そんなもどかしい気持ちになった。

ふと下を見ると、腰の帯に何か紙が挟まっている。


内容は――。


『今夜20時に北東に見える丘へ来てくれ』


「……なんだこれ」


なんだか怪しい。


だが、さっき習ったように、今は考えても仕方がない。いや、こう言う時こそ考えるべきか?

まぁ行ってみるとしよう。


時刻が20時を回る頃、天宮は多分、集合地点に着いた。

北東と言われても方角が曖昧なのと、場所の指定も結構大雑把なので、本当にここなのかわからない。


「あれ、天宮さん。まさか本当に来るとは」


「僕、どういう経緯で呼ばれたんです?」


「あ、えーと。僕の気まぐれです」


僕は気まぐれで呼ばれたのか。

少し怒りを覚えた。


「冗談ですよ。まぁ、30%ぐらいはそうなんですけど。この人、戦場で戦えるタイプじゃないだろうなぁと」


「そんなことは! ……そんなことは……」


本当は「ない」と言いたいところだが、事実なので言葉が出てこない。


「そう。だから、より安全な僕のパーティに招待したんすよ」


猫影さんと話していると、別の声が聞こえてきた。


「あれ、天宮さん」


「亀倉さん! それに大山(おおやま)さんも」


「天宮さんも呼ばれたんでっか」


「はい、一応そのようで」


聞かれていたとしても、言えない。

猫影さんの気まぐれで呼ばれたなんて。


「さて、全員集いましたかな」


すると、暗い林から鶴賀さんの声が聞こえてきた。


「では、これから明日の作戦の概要について話しまするぞ」


作戦の概要?

なんだか、とてもめんどくさいところに首を突っ込んでしまったようである。


「概要なんですが、僕らは攻めの本命に見せかけた陽動、要は裏の裏を取りまする。明らかに怪しく設置した陣、あまりに堂々とした構え、そして多分紛れてるスパイ。敵には我らの存在はバレてるでしょうな。そこで、信用できそうな人たちをここに集めた訳です」


「なるほど。それで、明日はどうするんです?」


「僕ら5人で、ここから見えるあの門から侵入を試みまする」


「ま……待ってください。5人で!? 兵は?」


「森田さんらの方へ預けまする。だから言ったでしょう? 裏の裏をしますよって」


「ぁぁ……」


口は顎が痛くなるほど開き、閉まる気配はない


「敵は、どっからか本命の部隊が来ることをわかっているはず。ですが、向こうの不安点は左右前後どこからそれが来るかわからないこと。だから敵は、防衛を満遍なく散らすはずでする。というか、その動きは偵察済み。だから多少は正面は抜けやすくなってると言うことです。うまく行かないなら、最悪我らでこっそり敵将を討ち取れに行けばよい」


「なるほど……でも、何故そんな周りくどいことを?」


「同じことを岸和田でもやったからですよ。岸和田の北と南に防衛が固まってたから、抜けやすそうな東から数日ずらして攻めたんじゃけど、結果は影武者。城内はほぼもぬけの殻だったんですよ。だからスパイの可能性を考えたのと、同じ攻撃は二度通じる相手じゃないと思った故」


「…了解です」


「明日、朝5時集合」


「はは」


他のメンバーもそれに同意

揺らいでるのは天宮のみである。が


「あ、天宮さんはどっちでもいいっすよ」


「へ? いや、行きますよ! 行きますとも!」


「今度は3日寝たりしないでくださいね?」


「あはは……善処します……」


どこまで広がってるんだ。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


次の日の朝。


5人は集合し、開戦の合図を待つ。


そして5時間後。


ようやく開戦の合図が平野に鳴り響いく。

そしてその30分後、我々5人は動き出すことにした。

丘から石山の東門を目指し、馬を走らせようとした時――。


「残念だなぁ。筒抜けだよ」


正面から5人の人影と共に、声が聞こえた。


「……そうですか…」


鶴賀はそう吐き捨てながら声のした方へ向き


「……ちなみに質問しまする。追加で味方とかは?」


「居ないと言えば嘘になるが、せいぜい100人程度だよ」


「なるほど、モロバレか……ちなみに、経路を聞いても……?」


「裏切りが心配か? それならハズレだ。君らの中には居ないよ。ただ、忍びから聞いただけだ」


「う、嘘でしょ?」


作戦は聞かれていた。


そもそも、なんであんな所で作戦会議なんてしていたんだ。


「天宮さん。気持ちはわかりまするが、ここは耐えですぞ」


「いやぁ。鶴賀さんの場合、見越してそうですけど」


などと軽口を叩き合う大山さんと鶴賀さん。


確実に、そんなことをしている暇ではない。


「はぁ、そうすか……僕は猫影っす。織田家中老」


「北崖良一(きたがけ りょういち)。三好の筆頭」


両者の挨拶が終わる。


その次の瞬間だった。


二人が瞬く間に駆け寄り――。


「ガキィンッ!!」


大きな音を鳴らして、激しくぶつかり合う。

そして、それを合図に、この丘での小さな戦が火蓋を切った。


「さぁ! 天宮殿! 僕らは逃げ惑いますぞ!」


「へ?」


鶴賀は開戦早々、ものすごい勢いで馬を走らせる。


「ちょ、待ってください鶴賀さん!?」


しかし天宮は、馬の練習こそしているものの、まだまだ初心者。当然、ついていけない。


「……くっ! 例え現代人でも敵は敵……ご容赦を!」


5人のうちの一人が、馬の操縦に戸惑う天宮へと襲いかかる。


「ひぃぃぃ!?」


天宮は馬のような声を出しながら、反射的に馬を動かし、間一髪で攻撃をかわす!


……が。


「ヒィィン!!」


「うぉ! あ、まっ!!」


攻撃は天宮ではなく、馬に命中した。


「ちょっ! まずい! 馬が! 馬が言うことをぉお!」


馬は完全にパニックになってしまった。

そして――。


「ぬおぉ!! ふがっ!」


天宮は振り落とされてしまった。

これはマズい。


「ぐ、これじゃ逃げれねぇ……」


ならば。


「戦うしかない……!」


天宮は、この世界に来てすぐにもらった、まだ一度も鞘から抜いたことのない刀を取り出す。


一応、使い方は森田から習っている。


だが、練習歴は浅い。


つまり――。


「ぶっつけ本番かよ……!」


「何をごちゃごちゃと……うらぁ!」


敵の一撃が、天宮の命を奪おうと迫る。


こういうのは受けるべきか、避けるべきか……。

冷静に考えるんだ。


体格差的に、受け止めるのは無理。

かといって、避けられる保証もない。


痛いのは嫌だ。

死ぬのはもっと嫌だ。


「どうする……どうする……どうすれば――」


「……あ」


いつの間にか、刃が目の前まで迫っていた。


「「バァァン!!」」


次の瞬間。


鈍く、重たい銃声が丘に響き渡る。

敵は横っ腹から血を吹き出しながら倒れていた。


「え?」


煙を吐く火縄銃。

それを構えていたのは――。


「鶴賀さぁん」


「よく、今まで生きられましたな……」


完全に呆れ顔の鶴賀さんだった。


「いや、ほんとに! ありがとうございます!!」


「礼は後ですぞ。さ、次が来る」


「へ?」


「くそぉっ! 山本のカタキぃぃぃ!!!」


「ぬおおおおお!!!」


今度は別の敵が突っ込んでくる。

天宮は刀を強く握りしめ――。


「やっぱ無理ぃ!!」


180度右へ回れと、悲鳴を上げながら逃げ惑うのであった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


場面は変わり、北崖との戦い。


両者、一歩も引かない。


踏み込む足が大地を踏みしめ、振り抜かれた刀が空気を斬り裂く。

何度も「ガキィィンッ!!」という鈍い音が響き、刃と刃が正面から激突する。

凄まじい衝撃に火花が爆ぜ、二人の顔を一瞬だけ激しく照らした。


「……っ!」


押し切ろうと力を込める。

だが、相手も退かない。

刀身が軋み、腕が震える。


互いの力は、完全に拮抗していた。


「へっ!」


男の口元が吊り上がった。


「若いのになかなかやるじゃねぇか」


「そちらこそ!」


鍔迫り合いを弾き飛ばし、二人同時に後方へ跳ぶ。

が、敵が着地した瞬間――。


「ッ!」


「おらァッ!!」


敵は再び地面を蹴り、こちらへ距離を詰めてくる。


それを刀で受け流し、身を守りながら反撃を試みるも、受け流され、今度は敵の反撃を喰らう。


これは防げない。


そう咄嗟に判断し、紙一重で躱す。

頬を掠めた刀が、今度は火花ではなく髪を数本散らした。


「危ねぇっすよ!」


「お見事。つぎぃ!」


いつの間にか、二人とも笑っていた。


斬って。

受けて。

弾いて。

踏み込む。


刀と刀がぶつかるたび、甲高い音を響かせ、衝撃が大気を震わせて火花が散る。


そんな中、青年は全力で素早く、大きく刀を振りかぶった。


「ドラァ!」


次の瞬間、渾身の一撃が振り下ろされた。

だが、そううまくはいかない。

もちろん敵も迎え撃ってくる。

また大きな音を立てて激突する。

衝撃波のような風が周囲へ吹き荒れ、砂埃が一気に巻き上がる。


それでも二人は止まらない。


否、止まらないはずだった。


二人が間を取り、北崖が次の行動をしようとした瞬間――。


青年は、刀を投げ捨てた。


それはなぜか


「ぁ…」


青年は見たのだ。

見えたのだ。

刀を投げ捨てた理由。


この戦が終わりを迎えたのだという証を。


刀を投げ捨てるという訳のわからない行動に、北崖はもちろん困惑していた。


だが、青年の目線を追うと、その理由は明白だ。

その光景に目を見開いていると――。


「へっはは」


「何がおかしい…ぁ?」


「僕の本当の名前は、餅蔵佐江丸(もちくら さえまる)。北崖さん、あなたの負けっすよ!」


兜もマスクも外した青年は、燃える石山御坊を背景に、自身の正体を北崖へ告白した。

石山御坊 盛りに盛りまくってる気がしますが、たぶん気のせいですよね!

また来月お会いしましょう

裏の裏は表

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。