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戦国時代に冒険ギルド設立します  作者: 不思議な人
第一章 近畿中部 乱戦編
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第十六話 信頼は必要か

目の前の男たちの正体がわかった。


だからなんだ


「一回行ってみたかったんだよ。これ」


男たちが何か言っている


だからなんだ


ご同行?


殺してくれないのか?


「ころせよ」


「あ?」


「殺せって言ってんだよ」


「それはできない決まりなんだ。残念だったな」


「じゃあこれはなんだよ」


殺しができないなら、何故璃奈は死んだのだ


「……」


男は璃奈を渋そうな顔で見るが何も答えなかった。

答えを出さなかった。


「そうかよ。いいさ。わかった」


猫影は倒れた璃奈からもう一本の刀を抜き出し。


「おい。やめとけって、おまえ、しぬz」


目の前の男の首を跳ね飛ばした。


「おまえらは救世主じゃないのか」


猫影は理性を忘れた。


だから記憶が曖昧だ。


ただハッキリと覚え、実感したことは

何かを 目の前にいる何かを斬り続けたことだ。


右手に自身の刀を握り。

左手に璃奈の刀を握る。


それはまるで手を繋いでいるかのような感覚だった。

それはまるで隣に璃奈がいるかのような感覚だった。


が、本当はいない。なぜなら彼女は死んだから。


なぜ死んだ。

なぜまた自分だけ助かってしまった。


なぜ現代人である彼らは、

適当な不殺を掲げるクソ野郎どもは璃奈だけ殺した?

見殺しにできた?


なぜ、猫影は助けようとして、璃奈は殺した?


あぁ腹立たしい。

本当はこの両手を止めたい。

止めたかったはずなのに、それができない

なぜなら彼女は死んだからだ。


あぁ。血が舞い 血が付き 血が垂れる


斬られても、傷つけられても、お構いなしだ。


そもそも斬られるつもりもない。


なんで?なぜ?


自分は死にたいのに?


「あぁ…まだ死にたくないのか。このクソは」


そう呟き、あたりを見渡した。

気づいた頃には、あたり一面には100人程の死体と

27個の生首 

そして、血飛沫を身に纏いさらに美しくなった璃奈の姿があった。


「かえろう」


帰ろう。みんなの元へ。


どうせまだ死にたくないのだろう?

―――――――――――――

一方鶴賀視点


「猫影殿らは大丈夫でしょうか…」


そう呟きながら馬を走らせる

彼らの無事を祈りながら。


すると


「ちょっと待ちなさい」


「んぁ?」


「あんた。鶴賀だわよね」


「んん?その声がもしや」


「そう、あたしよ。久しぶりね鶴賀」


篠原(しのはら) 虎子(とらこ)

前回の事件において、猫影に最後まで、忠義を誓った鶴賀の仲間である。


「して、主。ここで何を?」


「それはこっちのセリフ。銃声で駆けつけたけど、まさかあんたがね」


鶴賀には不安がよぎった


ここに篠原が居ることと

そして、街中で会った原口との関係を


「おまえ。原口と繋がってるじゃないだろうな」


「はぁ!?んなわけないじゃない。そもそも、あのクソデブも来てるわけ?」


「…あぁ」


「チッ、死ねデブ」


この感じは繋がりはなさそうだ


「ねぇ。あんたがいるって事は春くんも?」


「えぇ。猫影殿もおりますぞ」


「どこ?」


「今は別行動中で武田から逃げております。我々も逃げなくては、そのクソデブに追いつかれますぞ」


「最悪。あいつ、また春くん傷つけたら、マジぶっ殺す」


「ですな。行きましょう!」


「えぇ」


そして、また鶴賀は馬を走らせる。


そして聞いてしまった。

自分以外での銃声を。


「無事でいてくだされよ。猫影殿…」


そう祈るばかりである


―――――――――――――

場面は猫影へ戻る


猫影は歩き 歩き 歩き続けた。


ただ森の中を ただ山の中を


織田領へ直進した。


道中の人を斬りつけて

邪魔な人を片っ端から殺して


何人殺したか

何人斬ったか

もう数えられない


今も、その数は増えているのだからだ。


すると

一人の青年が見えた。


走っている。

走って、織田領とは逆の方向、璃奈の死んだ所へ向かっている。


顔は見えない

なぜなら、猫影の目についた血でほぼ見えないからだ。

それでも背丈は見えた


「餅蔵か。なんでまだ居るんだ」


まぁいい。関係ない

彼の選んだ道だ。ただそれだけだ。


猫影が、無意識に走る青年に焦点を当てていると。

不意に目の前に人が出て来た。


いや。本当はずっと後ろにいたのかもしれない。


まぁいい。関係ない


「おまえはどっちだ」


「お前の言うどっちとはなんのことだ?今この状況が面白いか面白くないか、の話か?」


聞いたことのある声だ。

根は真面目

だが、中身はどこか腐っている。

20半ばの男。


「槍真倉さんか」


「そうだ。」


「援護か?ならもう遅いぞ。みんな殺してきた。おまえの仲間かもしれないやつもみーんな」


「ふ、ふふふ。ははははは!面白い……面白いではないか!」


「ぁ?」


何がだ。

何が面白いというのだよ。

あぁ。そうだそういえばコイツはこんな奴だ。

あぁ。


「随分と落ちたな、猫影照春。気味が良いことだ」


「ぁ?」


そうだな。今の俺は滑稽だ 醜い ただの肉塊


「この世界で初めて俺と会った時、おまえは覚えてないようだったが、俺は覚えていたぞ?

織田家 元筆頭 猫影照春」


「……」


もう驚きはしなかった。

だがそれは、前回の事件を知ってる者しか知らない情報。

いや、そうか。

知ってて当たり前だ。


「あぁ。おまえ三好の筆頭か」


「そうだ。ようやっと思い出せたようで何よりだ」


おまえか。原口を寝返らせたのは

おまえか。俺の仲間を殺したのは

おまえか。璃奈をこんな目に合わせたのは


謎が解けた。でも、怒りも殺意も湧かない

だから


「謎が解けたよ。ありがとう。じゃ俺はいく」


「チッ…面白くないことを言うなよ。また何も守れない醜い子猫」


何も守れない醜い子猫

いい響きだ

笑いと共に反吐が出る

それに


「はん、ぶっ殺す!!」


「そうでなくては」


彼の言葉で我に返れた。

感謝を述べよう 「ありがとう(ぶっ殺す)と」


彼のおかげで、生きる気力ができた

感謝を述べたい 「ありがとう(ぶっ殺す)と」


彼のおかげで、

璃奈が死んだ。

仲間は裏切った。

旬は殺された。

未来は閉ざされた。

希望は消された。


だからそのすべての恨みを 憎しみをぶつけながら

感謝もしたい。ここまで俺を苦しめてくれて「ありがとう」と

それともう一つ。


「二度と出てくんじゃねぇ!!」


「いやぁ。危ない危ない」


だが、叶わない

どの攻撃も意味をなさない

当たらないのだから すべて受けられるのだから


「今回の武田の偵察もこれが狙い!全部裏で原口と繋がってんだろ!」


「そうだ!なんと素晴らしきショーだろうか」


「しねぇ!!」


それは願いなどではなく、ただの雄叫びや悲鳴に近しい叫びだった。


悔しい

こんな奴に璃奈を

悔しい

こんな奴に仲間を

悔しい

こんな奴に旬を


「下手くそが」


「はぁ…はぁ…何が狙いだよ!」


「狙い?そんなのこの世界を面白おかしくすることに決まってるではないか!」


「ざけるな!テメェも現代人なら」


「現代には飽き飽きだ」


「っなぁ!?」


0.1秒もない間に、遠のいていた約30メートルの距離は縮まった。


そして何が起きたかもわからないまま首の筋を叩かれ、全身の神経が痺れた。


そのまま猫影は地面に倒れ込む

そして


「クソがァ………」


「弱くて醜い奴だ。」


「テメェ、こんな世界面白くして何する気だ」


「まずは天下を取らねばな?」


「何言ってr」


「理解の足らない奴は嫌いだ」


槍真倉から手刀で重たい一撃をくらい、

その場で意識を失った。


―――――――――――


死んだ?


「…るくん!」


やっと死ねた?


「…はるくん!」


こんな腐りきった世界からやっと解放された?


「春くん!」


否、死んだらこんな声するはずがない


「はぁ!はぁ…はぁ…」


目が覚めた。

目の前には男四人、女二人が見えた。もちろん名前は知っている。

その時点で現代じゃない事は明白だ。


「猫影殿!」


「猫さん!」


「春くん…よかった……」


「………」


「春くん?」


まず猫影は目の前の女のことより、先に懐にしまった大切なものがあるかを確認した。

が、


「ない…」


あぁ。そうか俺は貰ったものすら


「ここです」


すると鶴賀が、猫影が懐にしまっていた大切なものを、両手に持ち見せびらかせて来た。


「触んな…」


「春くん?」


「さわんじゃねぇ!」


「きゃっ!」


言葉と共に振り払った手は確かに音を立てて何かに当たったが、気にも止められない


「猫さん!」


「あぁ!?」


「………」


そこで状況を見つめ直す。

左から 森田 鶴賀 天宮 愛菜 餅蔵 そして、


「虎子か……すまん。今は、やめてくれ」


「ごめん…」


「鶴賀、その髪返せ。お守りもだ。そして二度と俺から取りあげるな」


「申し訳ないです。着替える際に」


「いいから!」


言い訳なんて聞くつもりはない。

それと、まだ気になることだってある。


「餅蔵、」


「は、はい…」


「猫さん呼び、なんか…たすかるよ」


「へ?」


本当になぜだかはわからない


「あと、おまえ…山の中で、織田とは逆の方向へ走ってなかったか?」


前、山の中で見たことを話したが、


「うぇ?いや知らないですが…」


「そうかよ。なら良いんだ。見間違いだ。多分」


「………」


「なぁ猫さん」


「なぁ森田さん。笑えないよ」


「……すまない……その…なにが、あった」


「槍真倉が、武田に寝返ってた。多分織田を内部からぶっ壊す気だったんだ。へ、やられたやられた」


苦笑いをして、あえて元気に見せて

部屋の雰囲気をよくしようとした。

が、限界だ。


なぜかいつの間にか居る虎子に当たり出した時点で結構限界だ


「春くん…その、一人の方がいい?」


「そうだな…そうしてくれ。さっきはすまなかった。鶴賀も…」


「いえ、私も無礼を」


「……」


全員が静かに出ていく。


よかったこれで一人だ。


「もう、人と関わるのは疲れたな」


やっぱり、槍真倉は裏切った。

それをわかっていてなお、多少の信頼を置いていた。

なぜなら強いからだ。

だが、それが命取りだった。

やはり誰も信じてはならない

それがたとえどれほどの友でも、仲間でも


だから

もう誰一人も猫影が信頼することはない

鶴賀も

虎子も

餅蔵も

天宮も

森田も


いつかは裏切る

いつかは猫影を罵り、裏切る


「璃奈…」


璃奈の髪を掴み顔に擦り付ける。

あぁ最低だ。


「顔を持ってくればよかった」

――――――――――――――

天宮視点


廊下は地獄の雰囲気だった。


篠原さんという人は泣き

鶴賀さんもあの森田さんも何一つ言わない


「愛菜、本当に来てよかったのか。やっぱおまえも」


「…辛いことぐらいわかってるわよ!でも、ダメじゃない私らが行ってあげないと…」


「だがおまえまでこんな雰囲気に」


「私らが彼のそばにいてあげないと、誰が彼を慰めるのよ!」


「……」


………

言葉は出ない

頭は回らない


愛すべき人を失った気持ち…


想像するだけで吐き気がする。


もし愛菜が同じことになると思っただけで、涙が出そうになる。


それを、そんな思いを19の彼に背負わされてしまった


「猫影殿は強いです…が…今回ばかりは……」


「バカ言わないでよ!まだ私たちが」


「……」


「何度も言いますが、彼は友を失い 恩人は自分らのために死に 仲間からは二度裏切られ、その上、璃奈さんを亡くしてます……」


到底無理だ。

19歳には重すぎる。


「すまん。気分が」


「森田殿、エスコートしますぞ…」


「………」


その最悪な雰囲気のところへ

ガラガラと扉を開けて 猫影照春が入って来た。


「あれ、鶴賀は?」


「鶴賀はトイレへ行ったわ」


「そう。じゃ、帰ってきたら中へ入らせて、今後の話をするから」


「…わかった」


猫影のその頼みに、篠原は頷く。

そして数分後、顔色の悪い森田と共に鶴賀が帰って来た。


「鶴賀さん、猫影さんが」


「うむ…みな。覚悟はしとけよ」


そう言い。鶴賀は部屋に入って行った

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