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戦国時代に冒険ギルド設立します  作者: 不思議な人
第一章 近畿中部 乱戦編
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第十一話 最悪な再会

出発の前日。


鶴賀と、青年と中年くらいの男が猫影の部屋にやって来た。もちろん、2人の名前は覚えていない。


「んで、要件は?」


「伊賀の偵察に向かおうかと」


「明日出発なのに間に合うのか?」


「間に合わせまする。集合は現地になりそうですがな」


「後ろの2人も?」


「いえす」


「えーと、その名前を聞かせてもらえたり……」


青年は少し緊張しながら答えた。


青年の名前は、餅蔵佐江丸。顔は猫影とそれなりに似ていて、好青年って感じだ。唯一の違いは、歳下なのと、目が死んでいないことぐらいである。


男はため息をつきながら答えた。


男の名前は、真鱈泰介(まだら たいすけ)。鶴賀の話を聞くに、鶴賀の知り合いでゲーム仲間だそうだ。


ちなみに2人とも、オフ会でたっぷり飲んで、気づいたらここに居たらしい。


「なるほど、真鱈さんの馬で先に行くと……」


「と言うことでござる」


「まぁいいんじゃない? 鶴賀いるならなんとかなるでしょ」


「なぜか、重みのある信頼が……」


「まぁ頑張りたまえ」


「……では、行ってまいりまする」


そう言い、3人は部屋から出て行った。


「フゥ……今回の作戦は何人来るだろうなぁ」


今回の作戦において、一番の懸念点である人数問題。


鶴賀の予測が当たっていれば、最悪、鶴賀と自分の2人でも攻略できるだろうが、外れていた時がとても怖い。


「まぁ偵察に行ってくれてるし、なんとかなるか」


そうやって思考に区切りをつけ、布団に潜ろうとした時、襖がまたノックされた。


「どうぞ」


ノックをした相手に入室の許可を出す。

すると――


「「バン!!」」


と音を立てて、思いっきり襖を開けられた。


「私が、キタァ!!」


そう叫びながら、目を輝かせる璃奈がズカズカと部屋に入ってくる。


「そのテンションで襖を開ける時って、基本ノックしないんじゃ?」


「そう? でもほら、年頃の男の子の部屋に入る時はノックしろってよく言うじゃない?」


「まぁ、よく聞きはしますけど…言いはしないんじゃ…?」


「ふーん」


あまり納得してなさそうな相槌をしながら、璃奈は猫影の隣に座った。


「で、なんでそんなにテンションが高いので?」


「なんか、こう……ワクワクしちゃって」


「出陣に?」


「そうよ! ほら、やっと弟の役に立てると思うと、心高まらない!?」


「いや、高まりませんけども」


「そう?」


一人っ子の自分には、やはりそんな気持ちはわからない。


多分、一人っ子じゃなくても、今の自分ではそんな気持ちにはなれないだろう。


「にしても、ほぼ毎日会ってるのによく話題が尽きないですねぇ」


「それ、よく言われる。友達からとか、アンタと居ると飽きないって」


「それ、悪い意味じゃなく?」


「知らない。考えないようにしてるから」


確かに、考えない方がよさそうである。


「ねぇ……ネコちゃんは向こうの世界に友達いるの?」


「友達……は、いますよ?」


「これ、いない奴だ」


別に、いないわけじゃない。

ただ、中学の時はかなり気まずかった覚えがある。


前回の事件から帰ってきた時、1週間も行方不明になり、不登校もしていた。当然、周囲からは何があったのか聞かれる。


それに対して、どれだけ真実を話しても信じてもらえず、クラスでは異端者扱いをされる日々だった。


「あれは、キツかったな……」


「ねぇ」


「なんです?」


「私たちって、友達なのかな」


「それ、璃奈さんが言います?」


「どうしてよ」


「いやほら、弟役をさせるんじゃないのかなと」


「うーん。だってさっき断らなかったじゃん」


「え? いつ?」


「ほら、役に立てるからって話の時」


『弟の役に』的な言葉を聞いたが、確かに否定した覚えがない。


「気づいてないってことは、薄々その役にハマりつつあるってこと」


なんだか、とても嫌である。


「だから、両方認めたって事にして、その話は終わり! 次のステージに入るの!」


「それで、友達?」


「そう!」


兄弟関係的なのになった後に友達になるのは、聞いててなんともはちゃめちゃな順番である。


「まぁ、どこで友達を定義するのかは知らないですけど、いいんじゃないですか? 友達で」


「ほんと!?」


「それ、驚くの?」


「いや、否定するのかなぁって……」


「僕は兄弟関係になろうとする事に否定してたんですよ」


「ふーん。認めたくせに」


「認めてないですよ?」


「いいもん! 勝手に私の中で認めた事にするから!」


「えぇ……」


「じゃ。今日から改めてよろしくね! 弟役であり友達のネコちゃん」


「はぁ……わかりましたよ。弟役はごめんですけど、こちらこそ改めてよろしくです」


「あと、今後からその敬語禁止ね!」


「えぇ……」


「じゃ! 私行くね!」


「あ、はい。ではまた」


「うん! また明日!」


そう言い、ドタバタと部屋を飛び出していった。


「まったく…飽きない人だこって……」


いい意味の方で、そう思った。


—―――――――――――


出陣当日の朝。伊賀国周辺にて。


「さぁ! 行くわよ!!」


「「おぉ!!」」


愉遊開会軍。


璃奈の掛け声に応える、現代人37名を含む総勢2000の兵が集合していた。


「この計画の懸念点って、人数不足だったような気がするんだけど。気のせい?」


「まぁ、なんだっていいじゃない!」


「いや、そうなんだけど。みんな、そんな気強い感じじゃなさそうだったし……」


「そう? みんな心強い人たちだけど」


すると、男が1人こちらに来て、意気揚々と言い放った。


「女性も行く戦に、男が行かなくてどうする!」


「そうだ! そうだ!」


その他34名の男たちも、それに同意する。


「あはは……なるほど」


今回の異様な参加率の謎が解けた気がした。

ちなみに璃奈は胸を張って、自慢げに「ふふーん」と鼻を鳴らしている。

多分、彼らの下心には気づいていないのだろう。

それはともかく、まだ鶴賀たちの報告が来ていないので、少し動きづらさがある。


「一旦、報告待ちかな」


そう思っていると、


「猫影殿ぉ!」


偵察隊が合流してきた。


「お、いいところに」


「どんな感じ?」


「予想通り、いえ、予想以上にガラガラですな」


「なるほど……」


「前のように……」


「考えないでおこう。まだここにスパイがいるとは思いたくない」


「ですな……」


何かと前回の状況と似ている今回。


前回のようなことにはなりたくはないが、スパイがいても気づかないだろう。

だから、いないと思いたいところである。


「よし、行こう」


こうして猫影らは、岸和田へ向かうのであった。


—―――――――――――――


あれから約5時間が経過した。

猫影らは、すでに岸和田領内に入り込んでいた。


「こんだけ順調なの、すごく怖い」


「右に同意ですな」


「左? に疑問!」


「その疑問に疑問。なんでそんなにずっとテンションが高いの?」


「うーん。私にもわからない」


「あんまりはしゃぎすぎないでよ? 手に負えなさそうだから」


「むぅ! お姉ちゃんに向かってなんて言い方!」


「いや、だから……」


「おぉい。そこの旅行気分のみなさん」


また兄弟関係を否定しようとすると、真鱈さんが城内偵察から帰ってきた。


「なぜワシまで旅行気分になってると……」


「いや、一緒にいたからよ」


「ごほん。で、どうでした?」


「んぁ? あぁ……うまくできたか知らねぇけど、見た感じ、中に人はあまりいなかったな」


「城内マップもわかったり……」


「おらぁ、そこまで器用じゃないし、プロでもないんだなぁ。これが」


「ですよねぇ」


「まぁ、中の状況はなんとなく理解できましたわい。2000も居ればいけるかと」


「だな。よし! 一気にいくか」


「おぉう!」


璃奈だけが相槌をし、その声だけが響き渡った。


—――――――――――――――


1時間後。


「「うおぉ!!」」


兵たちの雄叫びが岸和田城中に響き渡っていた。


「このペースなら、あと30分でいけるだろ」


「ですな」


猫影と鶴賀は戦場の様子を見ながら、勝ちを確信していた。


そして、


「よし、俺らは本丸向かうぞ」


「りょーかいでする」


2人で、さらに手薄であろう本丸へ向かうことにした。


「お、大将さんか?」


あっさり岸和田城の本丸に着いた猫影と鶴賀。


あまりの手薄さに違和感を感じてやまないが、とりあえず無視している。


本丸に着いて敵大将・三好長慶を探して、はや5分。

少し太った大将っぽい風格で、顔全体を隠した男を見つけた。


「今回の三好さんは、そういう感じなのね」


信長といい、長慶といい、どうやら大名の姿にはバリエーションがあるらしい。


そんなことはまだしも、まだ相手から返答が来ない。


さては――


「死んでるんすかぁ?」


そう確認しようとすると、


「まった」


鶴賀に止められた。


一体、なんだというのだろうか。


「ふ、ふふふふ……」


不意に、目の前の男が笑いだす。


「おーっほっほっほ!!」


どこかで聞き覚えのある、上品げな感じの高笑い。


「流石は、鶴賀さん。勘が衰えてないようで何より……」


「チッ」


猫影も聞き覚えのある声に、鶴賀は舌打ちをする。


「猫影さん。お久しぶりですなぁ……随分と大きくなられたようで……」


目の前の男の正体に気づいた瞬間、動揺が止まらない。

過去の自分を知っている相手。

聞き覚えのある声と、笑い方。

まさかと思った。


だが、次の瞬間――確信に変わった。


「覚えてますか? 私ですよ」


そう言いながら、男は顔に纏ったものを取り、素顔をあらわにした。


「原口さん……」


「正解です♪」


原口(ひらぐち) 王魔(おうま)。


前回の事件において、猫影が最も頼りにしていた1人。

そして岸和田攻めの中で、突如として猫影を裏切った、その張本人。

前回度々起こった、猫影の思う最悪な出来事の数々。

その諸悪の根源とも言える、その人だ。


「なぜ、ここに……なんて思ってます?」


「……!」


図星だ。

まさか、また居るとは思わなかった。


「それは、私もですねぇ。何せ、死んだと聞いたものでね?」


声のトーンを変え、こちらを挑発してくる。

ただ、これには乗っては――


「原口! キサマァ!!」


次の瞬間、隣で火縄銃の発砲音が響いた。

怒りの形相の鶴賀が放った弾丸だった。


「ほっ!」


体型には見合わない素早い動きで、鶴賀の放った弾丸を避ける。


口惜しいかな。


彼は強い。

到底、この2人では勝てない。


「クソっ!」


「抑えろ鶴賀!!」


「くっ……」


「あれれ? やめてしまうのですかぁ?」


「場が悪いもんでね」


「おーっほっほっほ! 賢くなられたものですなぁ!」


「そうだよ。俺も成長――」


軽口を返そうとすると、遮られた。


「だが、残念」


その一言に、猫影は嫌な予感を覚えた。


「私は、心優しいので教えてあげましょう。ここに三好家はいません。すでに全兵を石山に向かわせているのです!」


「な、!?」


想定外の情報が出てきた。

石山となると、炎楽がいるところだ。


マズい。

マズいマズいマズい。


「汗が出てますが、冷や汗ですかねぇ?」


「チッ!」


「おーほっほっほ! うーん、あなたはやはりまだまだですねぇ……」


原口は笑いながら、猫影を見つめる。


「あなたは――『また何も守れない』」


その言葉が、猫影の逆鱗に触れた。


「死ねぇ!!!」


考えるより先に、刀を相手へ振り下ろす。


「おほほ! 当たらない、当たらない」


悔しい。

もっとちゃんと運動しておけばよかった。


「ではでは、私はこれにて。またお会いしましょう? 猫影殿。おーほっほっほっ!!」


そう言い、原口は近くの窓から笑いながら出ていった。


「っ! こんなことしてる場合じゃねぇ!! 真鱈を呼んでくれ!!」


「うむ!」


「今度は守ってみせるんだよ。何もかも! アイツとの約束も!」


そう心に誓い、決意を固めた。


その後、猫影は先ほど原口の言っていたことを炎楽にも伝えるよう、真鱈さんを伝言係に指名した。


「鶴賀と一緒に行ってくれ」


「わかったが、いいのか?」


「? ……なにがです?」


「そんな簡単に敵の言ったことを信じて」


確かにそうだ。


だが、これが本当なら犠牲者は後を絶たない。

たとえ嘘でも、このことを伝えるのが吉と見た。


「大丈夫、だと思いたい」


「ワシも同意見ですな」


「そうかい。まぁ俺はどっちでもいいんだがな。んじゃ、行ってくるわ」


「頼んだ。あ、それと鶴賀」


「む?」


「俺らも後でそっちに合流する。ちょいと遅れるだろうがな」


「御意」


伝言を任された2人は、早々に馬を走らせ、炎楽の元へ向かっていった。


「大丈夫かな」


すると、璃奈が近寄って心配の声をかけた。


「大丈夫だろ。鶴賀もいるし」


「頼りにしてるんだね」


「まぁな」


横を見ると、まっすぐ離れていく彼らを見る彼女がいた。


—―――――――――――


その数時間後。


岸和田城に槍真倉さんらがやって来て、自分らも炎楽の方へ向かうこと。

そして、そこで三門合同会議を行うことを伝えられた。


そして、その次の日。


猫影らは今回の戦闘で受けた傷の確認や、死者の数、死体の処理などを終わらせ、愉遊開会は炎楽の元へ向かうことにするのであった。

話の在庫にまだかなりの余裕がありそうですので、今週から投稿頻度を週二から週三へ変更します

毎週 火 土

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毎週 月 木 土

次の投稿は木曜です。

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