↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
104/123

第103話 ボマーに気を付けろ

 紅いコアちゃんが、目の前にいる。


「出たな……」


『これは驚いたのう……』


 頭の中で、コアちゃんが驚嘆の声を漏らす。


『ここまではっきりと姿を取れるほど、強大な因子とは……』


「それって、さっきの水で例えたら?」


『バケツいっぱいぶんじゃ』


「…………」


 待て。


「ちなみに、人間をどのくらいの水として例えてるんだ?」


『そのままの体積じゃよ』


「…………」


 ぞっとした。

 それ……とんでもない量のダンジョン因子が、七築の身体に入り込んでないか?


 だが目の前の紅いコアちゃんは、何もしてこない。

 ただ……こちらを見ている。


「…………」


 背中を、チリチリとした感覚が走る。

 産毛が逆立った。


「……なあ」


『なんじゃ』


「こいつ、本人なのか?」


『いや』


 即答だった。


『姿こそ同じじゃが、違う』


「じゃあ、なんなんだよ」


『ダンジョン因子の塊。妾が探しておったものじゃ。じゃが——』


 一拍置いて。


『こちらを排除する。そう命令が刻まれておる』


「え?」


 次の瞬間。


 紅いコアちゃんの髪が、一斉に伸びた。

 

 触手のようにうねりながら、こちらへ殺到する。


「うおあわああ!?」


 反射的にバックステップ。

 大きく後ろへ飛び退く。


 だが髪の毛は止まらない。

 凄まじい速度で、こちらを追いかけてくる。


「待て待て待て!」


 身体をひねり。

 避けて。

 さらに後ろへ逃げる。


『こら、逃げるでない! また探し直しになるぞ!』


「そんなこと言われても!」


 俺は戦闘の達人ではないのだ。


 というか。

 当たったら死ぬだろ、あんなの!


『主よ! お主の身体の性質を思い出せ!』


「性質!?」


 なんだっけ?

 そう迷いが生じた、その瞬間。

 避け損ねた一本が、俺の右腕へ直撃した。


 ——ガキン。


「…………え?」


 貫かれた。

 そう思った。


 だが——右腕には、傷ひとつない。


「あ」


 そういうことか。

 

 俺は、コアちゃんの中にいる限り、驚異的な頑丈さを誇る。

 拳銃の弾丸すら跳ね返すほどに。

 厳密には七築の中だが、この空間はコアちゃんと俺の右腕を通して組み直されている。

 だから、性質としてはコアちゃんの中に近い。


 そして、この紅いコアの因子による攻撃は——拳銃ほどの威力もない。


 なら——気をつけるべきは、拘束だけだ。

 迫ってくる髪を腕で払いながら、距離を詰めていく。


 ——ガキン。


 ——ガキン。


 相変わらず、痛くも痒くもない。


「そういえば、攻撃は——」


『魔法を使えばよいじゃろ』


「…………」


 それはそうだな。

 手の中で魔力を回す。


 火か?

 いや。

 火花でいけるか?

 ……あれ、そんな攻撃力あったっけ?


『主よ。大丈夫じゃ。もっと魔力を回すのじゃ』


「もっとって……」


 そんなに俺に魔力はない。

 

 はずなのだが。


 言われるまま、これまで使ったことがないほどの魔力を注ぎ込んでいく。


「…………ん?」


 違和感。


 あれ?

 俺、こんなに魔力あったっけ?


 いくら回しても。

 いくら注ぎ込んでも。

 

 魔力が足りなくなるぞ、という感覚がまるでない。


『もっとじゃ』


「まだ!?」


『まだまだ』


「いや、絶対おかしいだろこれ!」


 それでも、魔力は膨れ上がり続ける。

 

 手の中に生まれた魔力が凝縮され。

 圧縮され。

 どんどん、熱を帯びていく。


「お、おい……」


 なんか。

 俺の知ってる火花じゃなくなってない?


 だが。

 もう、紅いコアちゃんはすぐそこまで迫っていた。


 手を伸ばせば届く距離。


「こなくそぉ!」


 右手を突き出す。

 集めた魔力を、一気に解き放った。

 使った魔法は——《火花》。

 

 バチン、と音を立てて閃光を放つ。

 爆竹のような、小さな爆発を起こす。


 ——はずだった。


「…………え?」


 次の瞬間。


 視界が、真っ白になった。


 ——ドォン!!


 ハリウッドのアクション映画でしか見たことがないような、派手な爆発。


 それが。

 俺の右手から、真正面へ解き放たれた。


「…………」


『…………』


「…………火花?」


『火花じゃな』


「嘘つけ!」


 こんなの、俺の知っている魔法じゃない。

 いったい、何が起きた?


「…………」


 まさか。


 俺。

 また、知らないうちに何かされてないよな?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。