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担任の愛が重い。〜過保護な担任と最強お祖母ちゃんに、今日も溺愛されています〜  作者: 久茉莉himari


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【2】担任が私を見ると後ろ向きに跳ねるんですが、病気でしょうか?〜完璧美少女、担任の挙動を観察中〜

そうして、莉緒はお客様出入り口まで菊乃を送ると、教室に向かった。


もうホームルームは始まっているだろうが、莉緒はマイペースを崩さない。


そう、莉緒は見た目は完璧な美少女だが、中身は外見から想像するような"美少女"では無いのだ。


そうして普通に新しい教室、2年A組に入ると、新しいクラスメイトの目が一斉に莉緒に向いた。


新しいクラスメイトと言っても、殆ど幼稚園からの顔見知り。


莉緒は教卓の後ろ側に立つ男性教師を見て、

(あー……今年の担任って"はやみん"なんだ……!)と思った。


その教師は、速水(みなと)


国語教師で、26歳。


ルックスも良く、背も185センチと高く、陸上部の顧問をしていて運動神経抜群。


しかも授業も面白いし、冗談も通じる。


だが、生徒が指示を守らず勝手な真似をして危険な目に遭いそうになると、鬼の如く叱るのだ。


その為、先生や生徒たち、保護者たちにも一目置かれている。


特に生徒たちには「はやみんは怒らせるとマズい!」と、その一点だけは恐れられている。


しかし、莉緒が中学1年生の時、速水先生は中学3年生の担任だったので、莉緒とは接点が無く、噂でしか知らなかった。


莉緒がペコリと速水先生に向かって頭を下げる。


「遅れてすみません」


すると――

速水先生はピョンピョンピョンと、お猿さんの様にベランダに向かって後ろ向きに跳ねた。


唖然とする莉緒。


一拍置いて、爆笑の渦に包まれる教室。


こうして、新学期は始まった。




昼休み。


莉緒は、生まれた時からの幼馴染、藤宮(つむぎ)とお弁当を食べていた。


紬の家は莉緒の家の真向かいにあるのだ。


そして紬は学校の情報通で、『桜ノ葉学院の紬砲つむぎほう』という二つ名を持つ。


紬が情報メッセージを放つと、学校中に衝撃が響くのだ。


紬がポットの冷茶を飲みながら、ニヤッと笑う。


まるで小動物のような可憐な見た目が台無しだ。


「お祖母ちゃん、来てたね!」


莉緒はお弁当のおかずを飲み込むと、「うん」と答える。


「察するに……新任の教頭!

当たり!?」


「うん。

髪の毛を結ぶか問題」


「ハイハイ……」と言いながら、紬がププッと吹き出す。


「それより、ヒッシー……可哀想だった〜!」


紬がクルッとスマホ画面を莉緒に見せる。


そこには――

教頭先生の後ろで真っ青になっている菱田先生が映っていた。


莉緒が白く細い人差し指をビシッと立てる。


「勝手に撮っちゃダメ!」


即、言い返す紬。


「莉緒にしか見せんし!」


「それでもダメ!

お祖母ちゃんに言うよ?

春のお茶会に紬が行きたいって言ってるって!」


紬が肩を竦める。


「ハイ! ごめーん!

削除!

これで良い?」


「よろしい!」


莉緒が満足そうに、にこりと微笑む。


すると――

紬が一転、深刻そうな顔になった。


「どうしたの?」と莉緒が小首を傾げる。


さらりと艶やかな黒髪が揺れる。


紬が小さな声で話し出す。


「はやみん……どっか悪いんじゃない!?

朝、後ろ向きに飛んでたじゃん!?

陸上部の春休み合宿でどっか痛めたとか……」


莉緒はアッサリと答える。


「知らない。

陸上部なんて練習も見たこと無いし。

それに怪我とかしていて、あんな風に飛べるの?」


紬がうーんと教室の天井を見た。




そうしてホームルームは無事に終わったが……。


担任の速水先生は――

やはり挙動不審だった。


クラスメイトたちが「ごきげんよう」「さようなら」と挨拶を交わしながら教室を出て行く。


莉緒も紬と並んで教室を出ていこうとして、先生とすれ違いそうになり、莉緒が「先生、また明日。ごきげんよう」と言った瞬間――

またも後ろ向きにピョンピョンピョンと、お猿さんの様に後ろ向きに跳ねたのだ。


莉緒は思った。


(家に帰ったら、こういう症状の病気が無いか調べよう!)


そう、病弱な美少女は調べものが好きだったりする――




そして靴箱で革靴に履き替え、莉緒と紬が並んで校門を出ると、「綾小路さん……ッ!」と叫び声がした。


莉緒が振り向く。


そこには、速水先生がいた。


紬がさっと校門の影に隠れる。


速水先生は走って来たのか、少し頬が赤かった。


二人の間に春のそよ風が吹き抜ける。


速水先生は真剣な顔をして言った。


「これ……! 読んで下さい……!!」


そして90度の角度でお辞儀をした。


差し出されたのは、革張りの本。


莉緒が一歩、速水先生に近づく。


それは、ジェフリー・チョーサーの『カンタベリー物語』


莉緒がゆっくりと口を開く。


「とても読みたいけど、革の本は重たくて持って帰れません」


速水先生がガバッと顔を上げる。


「あ……! そっか! そうだね! ごめんね!

気をつけて帰って!」


その顔は何故か嬉しそうで、莉緒は(はやみんって、本当に面白いんだ……)と思ってしまった。


莉緒が真っ直ぐに速水先生を見て応える。


「はい。

ありがとうございます。

さようなら」


莉緒がくるりと速水先生に背を向ける。


その時、『紬砲』がクラスのグループメッセージに放たれた。


『担任の朝夕の猿飛び、莉緒が理由らしい。

今も直角にお辞儀してて笑う。』と。


だが、そんな『紬砲』も霞むような"激突"が、今夜起こるとは、紬も、もちろん莉緒も分かっていなかった。

ここまでお読み下さり、ありがとうございます(^^)

明日も20時更新です。

(第3話以降は、火曜・金曜20時更新になります)


Xはこちら→ https://x.com/himari61290

自作のキービジュアルやキャラクターカード貼ってます♪

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