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担任の愛が重い。〜過保護な担任と最強お祖母ちゃんに、今日も溺愛されています〜  作者: 久茉莉himari


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【1】教頭室に最強お祖母ちゃんを召喚してしまいました。〜髪を結ぶか、戦争か。優雅な圧で決まる朝〜

新作の現代ラブコメです。


虚弱体質のお嬢様中学生・綾小路莉緒と、

少し過保護な担任・速水先生、

そして最強のお祖母ちゃんが織りなす、

ほのぼの溺愛ストーリーになります。


安心して読める、やさしい空気感の作品です。

くすっと笑いながら楽しんでいただけたら嬉しいです。


火曜・金曜に更新予定です。

よろしくお願いいたします。

私、綾小路 莉緒りお)、中学生二年生の春――

教頭室で修羅場にいます。




莉緒は、二年生になったら教頭先生が変わることは知っていた。


でも、まさか教室でもなく、校庭に入る前にこんなことになろうとは、想像もしていなかった。




新学期。


莉緒がいつものように、幼稚園から通っている私立校の中等部の校門をくぐろうとした時だった。


見知らぬ先生に呼び止められた。


先生は柔らかい声音だが、有無を言わせぬ口調で言った。


「髪の毛は肩まで!

それ以上長い場合は縛ること!

校則違反だよ?」


莉緒は幼なさの残る美しい微笑みを浮かべ、静かに答える。


「でも、髪を縛ると、頭痛がするんです」


「頭痛?」


先生が首を傾げる。


「はい」


莉緒の返事に怪訝な顔になるその先生に、見覚えのある先生が駆け寄って来る。


一年生の時の数学担当、菱田ひしだ)先生だ。


「教頭先生!

綾小路さんは、そのままで!

前教頭も認めていましたので!」


早口で捲し立てる菱田先生に、転任して来た教頭先生はピシャリと言った。


「つまり、この綾小路さんは特別扱いされていて、前の教頭先生はそれを認めていたんですか?

髪を縛ると頭痛がするから、と?

あのね……菱田先生……。

私は、生徒は平等でなくてはならないと考えています。

おかしいですか?」


菱田先生が即座に答える。


「おかしくはありません。

正しいです。

ですが、綾小路さんは虚弱体質で、学校に診断書も出していて、体育も免除されているんです。

ですから……」


うんうんと頷く教頭先生。


「綾小路さんが虚弱体質なのは理解しました。

でもね、こんな腰まである髪の毛をそのままというのは……。

他の生徒に示しがつきませんよ?

ご家族はどう思っているのですか?」


その瞬間――

菱田先生は、真っ青になった。




そうして莉緒は――

心底面倒くさくなって、教頭先生に「保護者と話して下さい」と言って許可を貰うと、スマホで"家"に電話を掛けた。


迷惑電話対策の為に留守番電話になっているが、"絶対に来る人"がいる。


教頭先生の部屋で待つこと、15分。


黒塗りの自家用車が、桜葉学院の正門に停まる。


恭しく運転手が後部座席のドアを開け、そこから出て来た人こそ――


白い髪をきっちりと結い上げ、一部の隙もない装いの和服姿が眩いほど美しい、莉緒の最強の"保護者"であり、莉緒の留守電一つで"絶対に来る人"――

綾小路菊乃。

莉緒の祖母である。




教頭の扉が静かに開く。


「ごめんくださいまし」


その声は穏やかで、品格に満ちている。


だが、教頭先生は顔を上げた瞬間、固まった。


その全身から放たれるオーラ。


それは一般人の"祖母"の枠を越えている。


いや、一般人の枠を越えていた。


正に"貴婦人"という名が相応しい佇まい。


そして、美しい微笑みを浮かべているのに、教頭先生を見る目の眼光の鋭さに――

バードウォッチングが趣味の教頭先生の頭に、獲物を狙う鷹が浮かんだ程だ。


莉緒がソファからひらりと立ち上がり、「お祖母ちゃん! 来てくれたんだ!」と笑顔で言う。


すると――

鷹の目は、突然カルガモの親になった。


「あら❤️

莉緒ちゃん、お祖母ちゃんが来ないと思ったの?」


莉緒がにこりと微笑む。


「来てくれると思ったよ〜!」


「でしょう?」


ホホホ、とひとしきり笑った菊乃が、教頭先生を見る。


その完璧な形のアーモンドアイは――

またもや猛禽類の目に。


教頭先生の額に油汗が浮かぶ。


菊乃は口元に優雅な笑みを浮かべると言った。


「教頭先生……うちの莉緒が何か問題でも?」




そうして突然始まった三者面談。


教頭先生は必死に訴える。


「綾小路さんは、うちの学校の幼稚園からの持ち上がりですよね?

校則はご存知の筈!

髪の毛を結ぶと頭痛がするというから、結ばないでは、他の生徒に示しが付かないんです」


菊乃が静かに応える。


「では先生は、生徒が頭痛持ちでも、それを耐えて学校に来いとおっしゃってます?

それって時代にそぐわない考え方ではありませんこと?」


その圧。


今まで教師としてエリートコースを走り、この名門私立校、桜ノ葉学院の教頭に抜擢された教頭先生が初めて知った、モンスターペアレントでは絶対に無い、まるで酸素が薄くなるような圧。


だが、教頭先生も必死だ。


(ここで引くわけにはいかない……!!)


そして教師生活で身に着けた理論で返す。


「頭痛がするなら、こんなに長く髪の毛を伸ばす必要は無いんじゃないですか?

校則通り、肩までに切るなど、対処法はあります」


その刹那――

菊乃の目が金色に燃え上がった。


本当に燃えているのでは無いと、教頭先生も理性では分かっている。


だが、確かに、そして静かに燃えている。

――怒りで。


菊乃が柔らかな声音で語り出す。


「教頭先生はつまり、頭痛がするなら髪を断てとおっしゃってる?

頭痛持ちの子は髪の毛を伸ばす自由はないと。

そう言うことでよろしゅうございます?」


「……か、髪を断て……!?」


思わぬワードに声が裏返る教頭先生。


「……いえっ!!

断てとかではなく、校則の範囲内で切る選択肢もあると、私は言っております……!!

それに病気の子の自由を制限する気など、毛頭ございませんッ!!」


まるで不祥事の謝罪記者会見のような言葉になってしまう教頭先生に――

菊乃が、目を細めホホホと笑う。


「あら❤️

でしたら、莉緒の髪の毛の問題は片付きましたわね?

莉緒は虚弱体質で学校に通うのも精一杯……。

生きがいを絶たれなくて良かったですわ❤️」


――生きがいを絶たれる……!?

私は生徒の髪の毛を断つどころか、生徒の生きがいを絶つところだったのか……!?


教頭先生の目の前が真っ暗になった瞬間、授業開始10分前の鐘が鳴った。


莉緒は、まだ知らない。


自分が誕生した時から溺愛し続けている最強の祖母に立ち向かう、若き担当教師が教室にいることを――

ここまでお読み下さり、ありがとうございます(^^)

明日も20時更新です。

(第3話以降は、火曜・金曜20時更新になります)


Xはこちら→ https://x.com/himari61290

自作のキービジュアルやキャラクターカード貼ってます♪

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