タイトル未定2026/02/25 14:00
「俺が言った事を覚えてるか?」
「あー覚えてるよ。確か『上の人間から見て冒険者は面倒なしがらみがなく使える都合のいい消耗品』だったよな?」
「その通りだ。よく覚えてたな」
「当たり前だ!師匠がそれ言ったせいで俺が冒険者になるのに元々反対だったシスターからさらに反対されたんだからな!」
「そんなこともあったな。」
「ったく…で?それが仲間選びにどう関係が?」
「冒険者に就く人間は大きく四種類にわけられる。『目立ちたがり屋』『訳あり』『戦闘狂』『ギルドの広報に騙された意識高い系』」
「ろくな奴居ねぇな」
「だからこそ仲間選びは慎重にやる必要があるんだよ。まず『目立ちたがり屋』だが。これは論外だ。何となく分かるだろ?」
「自分を目立たせるために輪を乱す上にすぐに仲間を切り捨てる」
「その通り。そのくせ何かあればすぐに人のせいにする阿呆だ。冒険者以前に人として関わらない方がいい。続いて『訳あり』だが、これは主に実家が貧乏で出稼ぎに来てたりまともな学がなく他の仕事に付けなかったり、人には言えない過去があったりする。たまに自分の借金を仲間に肩代わりさせてとんずらこくクソ野郎もいるから気をつけろ」
「了解」
「『戦闘狂』についてだがまぁそのままの意味で殺し合いに生きがいや喜びを感じるやべぇ人種だ。戦いのことしか考えてないから他にくらべればある意味信用出来るな」
「笑えねぇよそのジョーク…」
「最後に『ギルドの広報に騙された意識高い系』だ。これについては『君も冒険者になって村を守ろう!』とか書いてるポスターを見て使命感に駆られて冒険者になった真面目な人間だ。そんなやつ居たら絶滅危惧種のように丁重に扱え。そして絶対に逃すな」
「なるほど。俺が探さなきゃいけねぇのはその絶滅危惧種って訳だ」
「そういうことだ」
*
柄にもなく真剣な表情で、ギルドが運営する飲み屋内を観察していると入口の方から大声が聞こえてきた。
声のする方へ目をやると若い男女が言い争っており、その中でも男二人は、今にも殴り合いを始めそうなほどの気迫をぶつけ合っている。
「喧嘩か?」
「止めに行こうなんて考えるなよ。あの手の馬鹿共は━」
「ちょっと見てくる!!」
ミリアは忠告を無視して、まるで遊園地に来た子供のようにウキウキで行ってしまった。
「馬鹿が…」
もしミリアが、飲み屋で喧嘩して怪我を負ったなんて聞けばシスターに殺されてしまうだろう。
溜息をつきながらやれやれと腰を上げ後に続く。
喧嘩をしているパーティーの周りにはビールを片手にワイワイ騒ぐ野次馬が集まりお祭り騒ぎになっていた。
その野次馬で構成させた輪の隙間をかき分けて1番手前に入ると、その中にノリノリで溶け込んでいるミリアの姿を確認できた。
「後方支援である俺の取り分が少ないのはわかる!一番危険な前衛のゼインの取り分が多いのも納得してるつもりだ!でも追放はあんまりじゃないか!僕がどれだけパーティに尽くしてきたと思ってるんだ!」
「笑わせるなシワック!このパーティーに尽くしてきただと?安全な後方でしか動けないお前が何言ってるんだ?」
その会話を聞いたパーティーの女魔法使いと大柄の格闘家がバカにするように笑っている。
見慣れた光景だ。
最近流行りの後方支援の追放。主に裏方の大変さを知らないケツの青いガキ共がよくやる経費削減法だ。
その光景を見た周りの野次馬は「そう言うのいいからさっさと殴り合え!!」「女子供関係ねぇ!顔面いっちまえ!」「入口塞いでんじゃねぇ!店が迷惑してんだよ糞ガキ共!!」と野次を飛ばしている。
そろそろ乱闘が始まりそうだ。
巻き込まれる前にミリアを連れて立ち去ろうと手を伸ばしたが既に手遅れだった。
ミリアは俺の手を交わして新人パーティーの間に割って入ってしまった。
「なぁ!お前の名前はシワックでいいか?行く場所がねぇなら俺のとこに来いよ!」
厄介な事にミリアは喧嘩を仲裁する気などさらさらなく、こんな混沌とした場で仲間を見出そうとしていたのである。




