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タイトル未定2026/02/21 22:34

 順調に成長していったミリアは一人前の冒険者になるべく、ライセンス習得のための試験を受ける事になった。


「初仕事になるが心配事や質問事項はないか?」

「今されねぇよ」

「よしなら俺から質問だ」


 地図を広げ現在地と特徴のある地形や池の位置を説明した後、目的を示す。


「今回の仕事は巣穴に潜むゴブリンの駆除だ。連中は小柄で一見非力に見えるが、それを補うだけの高い知能と団結力を持っている。下手な高ランクの魔物よりも厄介な連中だ。そこで質問だが、どう攻める?」


 答えは即答だった。


「水攻め!」

「あ?」


 一文字で間違えを伝えるとすぐにそれに気づいたミリアは訂正した。


「…と言いたいところだが、村人や商人が連れされているかもしれない。」

「つまり?」

「潜入して情報収集を行う必要がある」

「という事は?」

「全身偽装して暗闇に目を慣らす必要がある」

「良し」


 全身にどろを塗りたくって偽装し、目隠しを付ける。瞳孔が開いて暗闇に慣れたらいよいよ潜入だ。

 あくまでもこれはミリアの試験であるため俺は安全係件、サポーターとして後方から続いて進む。

 ゴブリンの巣穴はアリの巣のように通路が枝分かれしており、広い空間が所々に作られていた。

 数週間でできた巣穴にしてはまあまあ広く感じる。


「他から移り住んできた群れのようだな」

「数が多そうで面倒だ…ん?」


 しばらく進むと一際広い空間に出た。

 松明で照らされており眩しく感じながらも低い姿勢で身を隠しながら様子を伺う。

 その中央にゴブリンが何かを囲うように群がっていた。

 その中央には、小さな少女とその母親と思われる女性を確認できた。

 母親は娘を庇うように前に出ているが、それを面白がるようにヨダレを垂らし、笑うゴブリンが二人を引き離そうとしている。


「あ?ここは産み部屋ってやつか?」

「いや。人間とゴブリンとじゃ遺伝子が全く違う。ゴブリンが女をさらうのは性処理のためか、柔らかい肉を確保するためだ。」

「胸糞悪いな。さっさとぶち殺すとするか!」


 あらかじめ用意しておいた水が入ったボウル型の容器を松明に投げつけて、火を消化し、暗闇を作るごとに成功した。

 そこからは確実に1匹ずつ背後から口を塞いで首を切り裂く静かで単調な作業が始まった。

 決して深く入り込むことなく背中は必ず壁に向けて、囲まれぬように立ち回っていたが半分まで数を減らしたところでミリアの悪い癖が出た。

 ミリアは、もう一本の大型のナイフを引き抜くと「シャラくせぇ!!お前らまとめてかかって来やがれ!!!」とわざと大声を上げて自己位置を敵に明かしたのである。

 案の定巣穴にいるゴブリンが一斉にミリアに襲いかかった。


「あー…やっぱこうなるよなぁ…」


 何となく察していたリインカはとりあえず親子がとばっちりを喰らわないように端っこの方へ誘導してミリアの暴れっぷりを見守ことにした。


「…冒険者の方ですよね?」

「そうですよ。我々が安全な場所まで護衛するので安心してください」

「ありがとうございます!本当にもうダメかと思いました……ところで先程から聞こえるこの音は?」

「あーそれはですねぇ…」


 恐らくミリアがゴブリンを切り裂く音のことだろう。

 普通に暮らしていれば耳にすることのない惨たらしく、生々しいその音だ。

 母親はともかく子供には刺激が強すぎる。


「…それに足元に水たまりができているのですが浸水しているんですか?それにこの鉄臭い匂いは?」

「…浸水の心配はありません。雨や地下水にしては偉く生暖かいでしょう?これがなんなのか知らない方がいいかと思います。お子さんが知ったら号泣しちゃいますから」

「…あーそういう…」


 遠回しな言い方をしてしまったが伝えたいことは伝わったようだ。

 その代わりに気まずい空気が流れる。


「あと少しで俺の仲間が魔物を駆逐するので、すみませんけど、それまで我慢してください」


 ミリアにはみっちりと近接戦闘術を叩き込んである。その上高い身体能力があるのだ。ゴブリンごときに遅れをとることはないだろう。

 暗闇ではっきり見えないが、一方的にゴブリンを殺しているのは間違いない。

 数分後、物音がしなくなっため親子には目を瞑っているように伝えてから、松明に火をつけ周囲を確認すると想像通り、血が滴る緑色の死体の山が築かれていて、その頂上にミリアが立っていた。


「終わったぜ!」


 誇らしげに胸を張り、笑顔を見せる愛弟子にこれから説教しなければならないと思うと胸が痛くなった。



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