タイトル未定2026/02/26 10:59
「確かここだよな?」
ミリアとリインカが住んでいるという孤児院の入口で立ち止まり住所を再確認する。
間違いないことを確認した後、道中買ってきた菓子折が崩れていないのを確認してから戸を叩いた。
「ごめんください」
扉を開け出てきたのは美しい金髪のシスターだった。一瞬見とれてしまったが、「どうしましたか?」と声をかけられたことでわれにかえる。
「自分は冒険者シワックという者です!ミリアさんにようがあってきました」
「シワックさん!お待ちしておりましたよ!」
シスターは娘の彼氏と対面した母親のようにシワックを迎え入れて、リビングのテーブルに向かい合って座ると嬉しそうに微笑みながらカップに紅茶を注いでくれた。
「あの子、職場ではどんな感じですか?」
「失礼なことはしていないですか?」
「ご迷惑はかけてないでしょうか?」
まるで転校先で上手くやっているのか不安になっている母親のような内容の質問攻めをされた。
質問される度にミリアは愛されてるんだなと感じる。
しばらくシスターと話をしていると奥の扉が開き孤児院の子供達が顔を覗かしてきた。
「お腹すいた!!」
シスターは「はっ」と時計を見て椅子から腰を上げた。
「いけない!私としたことが!!」
話をするのに夢中で時間がたつのを忘れていたようだ。
「ごめんなさい!すぐ戻ります!」
時計は12時を指している。
シスターは慌てた様子で席を外したかと思えば、ピクニックバスケットを持って戻ってきた。
「すみません!これを2人の元に届けてください!」
「え!?あっはい!!了解です!!」
*
言われるがままにピクニックバスケットを受け取り、教会を後にする。
シスターから聞いた通り教会の裏山へ向かうとすぐに二人を発見した。
だが様子がおかしい。
ボロボロでふらつきながらやっと立っているミリアに容赦なくリインカは蹴りを入れている。
顔を歪ませながら向かい側の樹木に叩きつけられ呻き声をあげるミリア。
師匠は心配するどころか「早く立て」と足を振り上げ勢いよく振り下ろして追い打ちをかけた。
これが特訓だと?どう見てもただの虐待じゃないか!!
「やめろ!!」
咄嗟に声を上げたがリインカは俺に見向きもせずミリアを蹴り続ける。
ミリアはただ悲鳴をあげ続けるだけで、どう見ても反撃できる状態では無い。
「もうとっくに勝負はついてるはずだ!!」
口で止められないならとリインカの胸ぐらを掴んで止める。するとリインカは一瞬驚いた表情を浮かべた後に「馬鹿野郎!!」と鬼の形相で胸ぐらをつかみ返してシワック諸共草むらに飛び込んだ。その瞬間先程まで立っていた場所に無数のナイフが飛びかい、辺り一面の樹木や地面に突き刺さった。
もしあのままあの場に居れば蜂の巣になっていただろうと思うと鳥肌が立つ。
「ちっ……外したか」と草むらに身を潜めていたミリアが不機嫌そうに出てきた。
「え?ミリアが二人?は?」
「俺は一人しかいねぇよ」
「でもさっきまでいたのは?」
「あーあれか!待ってろ見せてやる。」
ミリアはその場に手をついてボソボソと小声で詠唱を唱えて魔法陣を展開した。すると地面から土が盛り上がって人のシルエットになり、さらに細かく変化していって最終的にはミリアの姿へ変化した。
かなりリアルで、パッと見ただけでは本物と見分けがつかないほどの完成度だ。
「魔術で分身を作ったの?!すごい!器用だね!」
「そうだろ!もっと褒めろ!」と調子に乗るミリアにリインカは「まだ甘い。練度不足だ」と釘を刺した。
まだまだ荒削りなようだが、この二人なら本当にゼインに勝てるかも知れない。




