80話 『本来の目的』
しばらく呆然としていたが、いつもの事だと割り切る事にした。
「とりあえずこの灰、どうするか。」
肥料にする?いや、魔物の灰とか何か危ない気がする。
いやでも清めてあるからむしろ良いのか?
うん。とりあえず実験室送りだな。
危なっかしくて使えたものでは無い。
そして、全ての灰を回収した後に、結界を改良し、スライムだけは結界内の全エリアに通れる様にした。
とりあえずそれで様子見をしよう。
あの霧は恐らく魔力の濃度が上がると出るものなのだろう。
もしくはゾンビとか不浄の存在が居ると出るのかも知れない。
とりあえず結界間の空気は循環されていなかったのかも知れないのでとりあえず空気、もとい魔力の循環を出来るようにイメージして結界を改良した。
そして結界から出ようとして気付く。
結界内の空気が澄んでいると言うか。
え?何かそこら辺の木、仄かに光って無いか?
よく視てみる。すると木の一つ一つに聖属性?光属性?まぁ、そんな感じの物が付与されている事に気がついた。
えっと、この場合はどうなるんだ?
結界内に入って来た魔物が灰にされる?
もしくは弱体化する?
と言うかこの空気を循環させたら他のエリアにも影響が出るんだろうか?
あー。よし、分からない。
とりあえず放置しよう。
思考放棄をした俺は本来の目的である魔物の調達をする事にした。
とりあえず鳥系の魔物は必須だな。
他にも良さそうな肉が取れる魔物なら良いんだが、何だかんだ言ってもオークを越える肉は今の所無いんだよな。
とりあえず適当な魔物を20匹程狩った後に直ぐに血抜きを行い、亜空間にしまった。
「あー、何か疲れたな。」
まだ2時間くらいしか経って無いんだが。
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自宅に帰った俺は、エルの様子を見てから寝ている事を確認して、セアルにも声を掛けて見たのだが二日酔いでそれ所では無さそうだったので卵粥を作り、二日酔いの薬と一緒に差し入れて置いた。
それから1人で試食用に作ってからまだ食べ切れていなかった分のチャーハンを食べて休憩してから試作を作る事にした。
細かい分量を調整したり、米を温めた状態と冷えた状態のどちらが良いか確かめたり、卵を変えたりと試行錯誤をした。
そして、アレから約2時間。
「……よし。出来た。」
何とか納得のいくものが完成した。
試食し過ぎて舌が馬鹿になっているかもしれないが。
スキルのアシストを受けていなければ間違いなく出来なかっただろう。分量だったり塩の落とし方だったり鍋の振り方とかは素人の俺では無理だったからな。
さてと、後は2日後になるまで待つか。
*
地下室に来た俺は今朝作っておいた酒を試飲。
頭のメモ帳に記録を取り、美味しい物を保存。
それ以外の物は半分だけ熟成させて様子見をする。
残りの半分は他の物を加えてみたりして味を調整する。
派生が多過ぎて覚えていられるか不安になるな。
それが一通り終わった後、酒場よりも更に地下にある実験室と呼んでいる場所に行く。
ちなみに趣味部屋も地下2階にある。
そんな地下2階で何をするのかと言えば、今日手に入った聖なる灰、それを検証する。
実験室は真っ白でいかにも研究ラボです。
と言ったデザインの部屋になっている。
そこには大広間がいくつかの部屋と繋がっており、その中はそれぞれ特殊な空間になっている。
そして、その空間内でありとあらゆるシュミレーションをしている。
素材の検証用の部屋。時間や中の魔力量の操作。
重力や温度などの操作が出来る。擬似太陽もあり、太陽光の調整も出来る。
次は魔法研究兼俺のトレーニングルーム。
ここでは俺が創り出した魔物や生物との戦闘を行ったりする。安全の為に外部の空間と切り離している。
素材検証はあまりしない。
素材は大抵視ればその性質が分かるし、何よりも面倒くさいからだ。でもまぁ、今回みたいな食物に関しては検証をしない訳にもいかないだろう。毒物を食べさせたくは無いしな。
可食部位。毒の有無。そしてその致死量。効能。
どういう経緯、環境で育つのか。何に使えるのか。
そう言ったものならば分かる。
ちなみに今回の灰はこういうものだ。
名前 『聖なる灰』
効能 『浄化』
解説 聖なる力で清められた灰。
邪なるものを祓い。清める力がある。
これだけでは不十分と言うか分からない事がある。
どのくらいの効果があるのか。
農薬としての使用は出来るのか。
どうやって使うのか。直接浴びせかける?
水と混ぜて使っても問題ないのか?
そもそも邪以外の物にはどんな効果があるのか。
そういった事までは分からない。
まずは灰を使って野菜でも育ててみるとしようか。
*
検証の結果分かったことがある。
まずこの灰で作った食物は食べられる。
昼間に見たあの木のように仄かに発光していたが。
その味は非常に良かった。
だがこの食物は破邪の効果があるようだ。
魔物に喰わせてみようとしたがどの魔物も食べなかった。
スライムだけは食べたがそのスライムはナメクジの様に溶けて死んだ。
魔物=邪と言う認識らしい。
その他にも水と混ぜた灰を魔物にぶつけてみたら青い炎を出して焼けた。灰になることは無かったがその死骸は黒焦げになった。ちなみにAランクの魔物ならば耐えたが、半殺しくらいのダメージになっているようだ。
ちなみに聖の力を込めた水と混ぜて見ると効能が上がり、Aランクの魔物が焦げて死んだ。
灰を直接浴びせかけてみたらその魔物は青い炎を出して焼けた。水と混ぜたパターンより強い効果を発揮しているようでAランクの魔物が満身創痍になる程度のダメージを出した。
エルにも効果があっては怖いと思った俺は、竜を創ろうか迷った。
竜に知性があるのは分かっている。
それを創って検証の為に殺すのは良心が咎める。
散々悩んだ後、ふと俺は思い出した。
「そうだ。エルの龍鱗があるじゃないか。」
かつてのエルの寝床にあった龍鱗、そのいくつか回収して居た事に気付く。
早速試してみた。
まずはエルの龍鱗に果物の果汁を数滴掛ける。すると。
「……無反応だな。」
しばらく経っても燃える様子は無い。
とりあえず果汁の量を増やして試す。
……変化は無い。
とりあえずその龍鱗は果汁に漬けて放置した。
次の実験に移る。
エルの龍鱗に水と混ぜた灰を数滴落とす。
変化無し。
段階を飛ばして直接漬けてみる。
変化無し。
次に灰を直接振りかける。
変化は…無い。
灰の中に埋めて見る。
空間内の時間を24時間先に進めてからもう一度龍鱗を見てみた。
果汁の龍鱗は変化無し。
多分これくらいならエルでも食べれる……のか?
次に水と混ぜた灰。
少し龍鱗が色褪せたような気がする。
汚れかと思って布で拭いてみた。
あ、ただの沈殿した灰が付着していただけのようだ。
最後に灰に直接埋めた龍鱗。
とりあえず拭いてから見てみたが。
変化は見られない。
と言うか寧ろこれは龍鱗が輝いていると言うか。
艶が出たような?
とりあえず視てみた。
名前『火竜の聖龍鱗』
効能 『破邪』
火竜の龍鱗に聖なる力で清められた物。
火と聖なるものに耐性がある。非常に硬度の高い龍鱗。
へぇ、こうなるのか。
やっぱり竜には破邪の効果が効かないんだな。
って事は竜ってやっぱり魔物とは別枠の存在何だろうか?
なのに魔力の塊から産まれる生物とは一体?
魔力の質が魔物のそれとは違う?
天使や悪魔も特殊な魔力で産まれるらしいしそんな感じか?
……いや、考えても分からないな。
自然発生する瞬間の周囲の魔力を視る事が出来たら分かるのかも知れないが、そんな所は見たことは無い。
それに、だ。
エルが魔物だろうと何であろうと関係無い。
エルに灰が効かないのであればそれ以上の事は無いな。
あーもうこの話はやめだやめ。
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