67話 『邂逅』
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【主人公視点】
森の結界内に人間の反応があったから見てみたらアイツだった。と言うかこれで2回目何だが...
でもまぁ、何となくいつかこいつが来る気はしていた。
むしろこいつが来た事に納得した。だってこいつ昔から運がないからな。結構致命的に。街に数年ぶりに熊が出たってニュースになった事があったんだが、こいつ、その熊に襲われて追いかけ回されたらしい。たまたま警察が徘徊していたから良かったって言う出来事が結構ある。それに女運も悪くて、惚れた女は大抵性格が悪い。
めちゃくちゃ悪い。まぁ、その辺は俺も人の事とやかく言え...あ、いや、今は言えるか。
まぁ、そんなことはいいのだが...寄りにもよってこの場所に来るか?
普通こんな辺鄙で危険な所なんか来ないだろ。
もしかして、この辺には俺の知り合いを引き寄せる磁場でも発生してるのか?
はぁ。まぁ、そんなことを思っても仕方ないので勇者っぽいコスプレ姿の大馬鹿野郎に話しかけてみるか。
「よう、コスプレ野郎。こんな所で何やってんだ?」
「何してるってのはこっちのセリフだ!何だってこんな所にいやがる!」
「ん?何でって言われてもなぁ。そりゃあまぁ、ここに住んでるからだな。」
「はぁ!?こんな危険地帯に住んでる!?」
「ああ。」
「えっ!じゃあお前!まさか最近地震とか起こしたか!?」
「...あー、まぁ、あれは不慮の事故と言うか...」
「やったんだな!?」
「あー、まぁ、やった。」
「マジかよ...お前、王都じゃあ魔王扱いされてるぞ...?」
「そっか。それでお前がここに来たってことはやっぱりあの件でこと場所も外の連中にバレたのか。まぁ、それはそれで不可侵領域になりそうだからいいんだが...」
それにしても魔王...魔王かぁ...別に王国の連中にそう思われても大して実害無さそうだな。そもそもこの森を突破出来る奴とか少ないだろうし。仮に居たとしても負ける気がしないんだが...うーむ。これは些か自惚れが過ぎるか?
いやでも事実だからな...
「おいおい。相手は国だぞ?軍隊で来るかもしれねぇぞ?」
「ここに軍隊が来て生き残れると思うのか?」
「.........いや、無理だな。良くて半壊、悪くて全滅だろうな。」
「そもそも軍隊で来て勝てるなら最初からそうするだろ。えーと、多分お前って勇者なんだろ?」
こんな勇者っぽい格好でここに来るってことはまぁ、そうだろう。まぁ、趣味の可能性も否定出来なかったが...
「まぁな。」
「そもそも勇者1人に魔王討伐させるとか馬鹿じゃねぇの?魔王が単体とは限らないんだぞ?」
「...よく考えたらそうだな...って事は。え、俺何でここに来させられたの?」
「知らん。特攻させれば勝てるとか思ったんじゃないか?それに、俺は魔王じゃないぞ?角なんか付いてないし見た目もただの人間だろ。」
「えぇ...じゃあ俺がここに来た意味って...」
「無い。全くの無駄足だな。」
「嘘だろぉ!俺結構死にかけたんだぞ!?」
「あ、そうだ。全く無駄足って訳でも無かったな。」
「ん?どゆこと?」
「おめでとう勇者。元の世界に帰れるぞ」
「えぇ...エンドロールに出てくるセリフみたいな事言われてもなぁ。どういう事よ?」
「えーと、めんどくさいから詳細は省くが、まぁ、俺は空間魔法が使えるから元の世界に送れるぞって話だ。しかも送る時間も選べるぞ?」
道を創ってから時間と空間を変化させてものを送れるのか試したところ。成功した。もちろん生物でも可能なのかも試してある。
「え、じゃあ帰るわ。」
「随分と決断が早いな。」
「え?だってここに残る理由とかあるのか?」
「あー、ほら。大切な人が居るとか」
「居ねぇよ。」
「想いを伝えてない相手が居るとか」
「居ねぇ。」
「世話になった礼とか...」
「あるか!そもそもよく分からないまま勇者にされた上に1人でこんな所に特攻させられてしかも魔王は居ませんでしたってふざけんな!そんなもん返す恩も守る義理もねぇじゃねぇか!」
「あー、でもほら。王都は魔王が居ないことは知らないみたいだし、一応伝えた方がいいんじゃないか?」
「知るか。人を勝手に勇者にして特攻させた連中なんて魔王に怯えてりゃあいいだろ。」
こいつってもっと陽気なやつだったんだが...こっちに来てから何かあったのか?
「あー、酒でも飲むか?」
「ああ...飲む。」
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聞いた話に寄れば、何やらこいつの扱いが結構酷かったらしい。普通の社会人にはめちゃくちゃキツい訓練を週6でこなし。ある日の訓練終わりに兵士達と一緒にストレス発散の為に街に夜の遊びをしに行こうとしたらお姫様に止められて許可なく城から出られなくなったり、魔王討伐が決まってその為のパーティーを募集したら女子2人が志望してくれたので一緒に森に行こうとしたらまたお姫様に止められて何か知らないうちにパーティーを解消されてしまったらしい。
しかも新しく募集を掛けようとしたらそれを止められ、1人でこの森に行くように命令された泣く泣く行くになったとか。
だが、夜にはよくお姫様と話していて嫌われている訳では無かったらしいのだが...
きっとお姫様が自分に惚れてるんだろうと思って聞いてみたら姫さん所か使用人からも無視されたり。
最後の見送りには誰も来なかったとか...
それを聞いた俺は。
「えぇ...」
としか言えなかった。
普通、いくら惚れた男が女の子と一緒に冒険させるのが嫌だからって1人で向かわせたら死ぬだろ何考えてんだそのお姫様、頭沸いてるのか?
「普段はそんなクレイジーなこと言わない優しい子なんだけどなぁ...」
と遠い目で語っていた。
「そもそも何で惚れられてんだ?」
「え?あれって惚れてんの?てっきり嫌われてると思ってたんだけど。」
「......多分、惚れてんじゃないか?」
惚れた相手を1人で魔王に特攻させる...いや、待て待て俺も分からなくなってきたぞ。
「そうかぁ...でも仮にあの子が俺に惚れてるとしてもなぁ。ちょっと俺も嫌かなぁ。見た目も性格も良いんだけど、ちょっと頭が時々クレイジーになるのがキツイかな...」
何でも、1人で100体の魔物の群れと戦わされそうになったり、明らかに1人では勝てないサイズの大蛇と戦わされそうになったりとしたらしい...
「もしかして勇者に幻想を持ってるんじゃないか?」
「あー、言われて見ればそうかもな、伝説の勇者とやらの本を読んで見たけど随分とまぁご立派な奴だったよ。魔物相手に無双してたり人を助けたり、まぁ、なんて言うの?ほら、あれ、清廉潔白って言うの?そんな感じの奴だったよ。」
「あーなるほどな。」
「まぁ、大方盛られた話だろうけどな」
「はっ、違いない。」
仮に、そんな奴が現実に居たとしたら人の皮をかぶった機械だろうな。
「にしてもこのワインうめぇな。どこ産?」
「ああ、それはここで自作したものだ。」
「おいおい。酒税法って知ってるか?」
「ああ、知ってるけどここは異世界だぞ?そんなもん関係ないな。」
「あー、それもそうだな。」
「そう言えば聞きたかったんだが、こっちに法と呼べるものってあるのか?」
「んー、あっちで言う十戒みたいなものはあるな。あとは税金みたいなのもある。」
「へぇ。具体的にはどういうのだ?」
「国王への信仰。殺人、盗み、姦淫の禁止。年長者を敬え。安息日を守る。王の名前をみだりに唱えるな。偽証をするな。人の財産をむさぼるな。って感じだな。」
「ほー。何かちょっといじった十戒って感じだな。税金は?」
「住民じゃない奴が街に入る時の入門税。関税。あとは所得税かな。他にもあるのかも知れないが、少なくとも俺は知らんわ。」
「んー。所得税ね。それは金か?物か?」
「んーと、確か農民のおっさんが小麦の入ってる袋を渡してたから多分物でもいいって感じだと思うぜ」
「へぇー、何かよく分からんが、めんどくさい税金は無いんだな。ほら、消費税とか車税とか。」
「そんなものいちいち納税出来ないだろ。それに車はねぇしな。」
「馬車があるだろ?」
「あー、そう言われればそうか...でも税金はあるのか分からんわ。」
「まぁ、そうだよな。」
「これでお前が聞きたいことは聞いたか?」
「ああ」
「じゃあ次は俺の番だ。お前。今まで何してたんだ?と言うかあの日お前に何があった?」
「ああ、それは...」
それから俺は1から順番に今まであったことを話した。
こちらの世界に迷い込んだこと、自分が住みやすい理想郷を作ることにしたこと、竜にあったこと、住民を作ったり呼んだりした事など。まぁ、色々と話した。
そして全てを聴き終わったあと、こいつは...
「マジかよ。俺より待遇良すぎね?」
などとほざきやがった。
「いや、1人で訳の分からん森に急に来させられたんだぞ?しかもこの森ってこの世界でも結構なレベルでヤバイ場所だろ?」
「あー、と言うか今の所世界で一番ヤバイんじゃ無いか?」
「じゃあお前1からこの森で街作れるか?」
「無理、死ぬ。」
「まぁ、俺はたまたまおかしいスキル持ってたから何とかなったんだが、普通ならチート貰おうが何しようが死ぬんじゃないか?」
あっちの世界で達人級の実力があったなら別か?
いや、実戦経験がないとダメか。軍人とかじゃないとダメか?
「ん?スキルってなんだ?」
「は?スキルはスキルだ。ほらRPGでよくあるやつだろ?体術スキルだとか」
「え?初耳何だけど...」
「はぁ?お前それはねぇだろ。じゃあどうやってそいつの技量だとか強さとか判断するんだ?」
「えーと、感だけど。」
「えーと、まさか、レベルって概念も知らないのか?」
「知らん。」
「じゃあ、お前。魔物を殺すと強くなってる感じはしなかったか?」
「あー、それはした。」
「じゃあそれについての説明はされたのか?」
「まぁ。そりゃあな。確か魔物を倒すとその魔力だか魂だか不明だが、何かのエネルギーを吸収して強くなるって言われたな。」
「まぁ、それに関しては俺もあんまり理解してないから分からんけど、多分正解に近いんじゃないか?俺は経験値的なものだと認識してるけどな」
「なぁ、って事はだぞ?俺にもレベルってあるのか?って言うかそれを知る方法があるのか?」
「ああ、簡単だ。鑑定スキルかそれの上位、もしくは類似したスキルがあれば見れる。と言うか自分ステータスくらいだったら意識したら見られるものじゃないのか?」
「え...そんなんやった事すら無いわ...とりあえずまぁ、それで俺の事を視てくれよ。」
おかしいな、こいつって結構なレベルのゲーム好きだったし、こんな世界に来たらハイテンションになってステータス!とかって叫びそうなもの何だが。
「ああ。」
俺は少し違和感を覚えたが、こいつが歳をとってゲームをしなくなったせいだろうと思うことにして、ステータスを視た。
お仕事で覚える事いっぱい過ぎて頭が追いつかない...
買ったゲームをやるための熱が冷めてしまって積みゲー状態...これが社会人の辛さなんですね...




