第9話 チチがデカかった。爆弾みたいだ。
そうそう。マドカちゃんは一年遅れで俺と同じ高校に入ってきたんだ。
中学の時はバスケ部のしきたりかなんかで短かった黒髪が肩まで伸びてて、すごく女の子らしく成長していて驚いた。俺があまり意識していなかったのか、成長したのかわからんが、マドカちゃんはチチがデカかった。
なんかもう、爆弾みたいだ。俺も股間に爆弾を抱えているわけだから、お揃いだな。
まあいい。
その頃、俺は初めての『射爆』から一年以上が経過していて、付かず離れずの女性との距離感に慣れていた。
そこにはもう、青春を謳歌する恋する一般男子は存在しない。女子たち『みんなのタカシ』に成り下がっていたんだ。
だが、偏差値60を超える常陸第一高校には、『みんなのタカシ』と楽しくおしゃべりする後輩を拉致するような輩はいない。
「よー! マドカちゃん! 入学おめでとう!」
「タカシ先輩。ありがとうございます。なんか久しぶりな感じしますね」
「なー! うちの高校、中学と違って上下関係とか緩いから、また昔みたいに仲良くやろうよ」
「あ、はい。そうできると嬉しいです!」
「タメ口でいいよタメ口で!」
「今更タメ口ってのも変な感じがしちゃって、照れくさいというかなんというか」
そう言って少し赤くなった顔を隠すマドカちゃん。
……可愛い。
「マドカちゃん、なんかめっちゃ可愛くなったね! いや、元々可愛かったけど、髪が伸びたからかな。すごい女性らしさが増したというか」
「ええ!? 何を言ってるんですか!?」
「あ、ごめん」
「いえ、別に」
なんて甘酸っぱい青春を過ごしていたわけだ。
俺は童貞だけど、『男たるもの紳士であれ』と育てられた童貞だ。
女性を褒めることくらいわけないさ。
嘘をついたり適当にヨイショしているわけじゃない。
真に美しいと感じた時、その思いをしまい込むことはないという、ただそれだけ話だ。
難しいことではない。
……。
まあいい。
マドカちゃんは一年生の中でもチチがデカくて可愛いってことで、学内では割と知られる子になっていったし、俺は後輩からも憧れの先輩としてよく愛のメッセージを受け取っていた。
そんな俺とマドカちゃんは、学校ではまぁ、普通に仲の良い先輩と後輩だったよ。
特別なことと言えばそうだな。俺たちが住む社宅から駅までは大体1.5km程度あるんだ。しかも強烈な山道。
これを毎日往復するのは大変だよな。
ってなわけで、マドカちゃんは毎日お母さんに車で駅まで送ってもらっていたんだ。だから、俺もその車に乗せてもらって、一緒に駅まで行っていた。
別に付き合っているわけじゃない。最寄駅に着いたら、別々の車両に乗る。お気に入りの車両が違うというか、まぁ、最寄駅から高校のある駅までは、中学時代の友達と一緒に向かうってのも、田舎あるあるだ。
東京みたいに乗車率200%なんてことは起こるはずもない。大体は50%だ。余裕がある。
マイハーレム No.2 横井 チアキ との出会いは、そんな田舎の電車の中だったんだが、その話はまた今度な。
今はマドカちゃんの話だ。集中して聞いてくれ。




