八十七話 お別れまでの物語
ゆづるはある妖怪に向かって走り出した。
「金魚さん!!」
「ゆづる君、ただいま。」
「金魚さん、もう大丈夫なの?」
「傷は?」
ゆづるに続くように一つ目と蟒蛇も近づく。あまりの心配する姿に金魚はふふっと笑みを浮かべた。
「ありがとうございます。もうすっかり傷は無くなって元気になりましたよ。ほら、」
傷があった場所を見ると綺麗に治っていた。
「それにしても皆大活躍だったみたいですね。すごいです。」
「うん!皆のおかげで夜行をやっつけたんだ!」
「そうそう!」
「ヒヤヒヤもしたけどな!」
金魚はゆづるたちを見渡すとある視線に気づく。カマイタチだ。
「金魚さん、おかえりなさい。」
「ただいま、カマイタチくん。カマイタチくんも活躍したと聞きましたよ?」
「俺は何も・・・コイツらが頑張ったんです。でもよかった元気になられて。」
「ご心配をおかけしました。」
何やら雰囲気が変わったのを感じた、ゆづるたちは気づかれないようにその場から離れようとしたが、金魚はふと何が気づいたかのようにゆづるたちに話しかける。
「そうだ、ゆづるくん。事件も解決しましたが・・・帰っちゃうんですか?」
「えっと・・・はい。鬼女さんにお願いして今日から3日後に帰ることになりました。」
「寂しくなるな。ゆづる。」
「残りの時間、たくさん楽しんでくださいね。」
「うん!」
金魚とカマイタチはゆづるに笑みを見せると店の準備のため互いに手を振りながらその場を後にした。
「なぁ、ゆづる!人間の世界ってどんなんなんだ?」
「あ!僕も知りたい!」
「えっとね・・・」
一つ目たちの問にゆづるはゆっくりと答えていく。
「まずハイテクな物が沢山あったり、高い建物もあるし、車って言う乗り物もあるんだ!」
「へぇー!凄いな!ハイテクな物か・・・じゃあ、便利な世界って事か!?」
「確かに便利だけど使い方を間違えると恐ろしいものになるから気をつけないといけないんだ。」
「そ、そうなんだ。ちょっと怖いかも」
「大丈夫!正しく使えば怖くないよ!」
ゆづるは少し怖がてしまった蟒蛇に話しかけると、ふとあることが思い浮かんだ。
「でも、鬼ごっこや缶蹴りはあまりとかやったこと無かったな・・・」
「?いつもやってるじゃん。」
「あ、あと!ダルマさんが転んだもしたよね!」
「うん、でも人間の世界ではしたこと無かったんだ。」
「えぇー!なんでだよ!」
「楽しいのに!」
「僕、友達があまりいないから・・・」
ゆづるのシュンとなる姿を見て一つ目たちはゆづるの背中をバン!と叩いた。
「みっともないぞ!夜行をやっつけた奴が!それに!」
「僕たちは友達でしょ?それにゆづるは良い人間だよ!きっとこれから友達が沢山できるよ!」
「一つ目、蟒蛇・・・ありがとう!僕、頑張るよ!」
「よし!その意気だ!」
一つ目はバシバシゆづるの背中を叩くと「痛いよ!」と三人は笑いあった。




