八十二話 招きの物語
閻魔大王たちについて行きある部屋へと通された。
「では牛頭丸さん馬頭丸さん、私は彼と話がありますのでここでお待ち頂けますか?」
「御意。」
「人間、くれぐれも無礼のないように。」
「は、はい!」
扉が閉まり閻魔大王と二人きりになるとゆづるは余計に緊張が体に走った。それを感じとったのか閻魔大王は優しくゆづるに話しかける。
「馬頭丸さんたちは私を心配して言ってくれただけですので気になさることはありません。さ、席にお座り下さい。」
「ありがとうございます。」
ゆづるは恐る恐る座ると閻魔大王もゆっくり席につく。広い部屋にやはり気持ちは休まらず、口からもう心臓が飛び出そうと思った瞬間部屋にある別の扉が開く音がした。
「あら吉野さん、お客様がいらしてるの?」
現れたのはゆづると同じ歳ぐらいの少女だ。
「えぇ、彼と少しお話がしたくて連れてきました。」
「ならお茶は必要かしら?」
「では、頂けますか?」
「あの、僕は……」
「遠慮しないで!」
少女はルンルンで入ってきた扉を通り、急須とお茶っ葉、二つの湯のみを持って戻ってきた。
トクトクとお茶を淹れるとそれぞれの前に湯呑みを差し出しだす。
「お待たせ!どうぞ。」
「あ、ありがとうございます。」
「ありがとうございます。楓さん、私は彼と少し話があります。お茶を入れていただいてなんですが席を外していただいてもよろしいですか?」
「あら、ごめんなさい。じゃあ私は部屋に戻るわね。」
楓と呼ばれた少女は手を振るとスタスタと部屋を後にし、閻魔大王はゆづるの顔を見て口を開いた。
「その顔は何か聞きたそうな顔ですが、その前に私の話を聞いていただけますか?」
「…はい。」
「あなたは帰る手段はお持ちで?」
「はい、えっと…その…」
ゆづるは迷った。なぜなら半妖である鬼女のことを話しても大丈夫か不安になったからだ。しかしそれを見透かされたのか閻魔大王は「大丈夫ですよ。」と言った。
「半妖の妖怪のことは知っています。安心して話してください。」
「半妖の鬼女さんがいるんですが、彼女が僕を帰してくれる手段を持っています。本当はいつでも帰れたんですが、辻斬りの事があって犯人を見つけるために残りました。」
「なるほど、その件はあなたのおかげで助かりました。ありがとうございます。しかし、妖刀が人間が斬れなかったから良いもの、あの作戦はいささか良いとは思えませんね。」
「…ご、ごめんなさい。」
「ですが、それはあなたには信頼できる妖怪たちがいたからできた事です。良い友人を持ちましたね。」
「!ありがとうございます!」
ゆづるは嬉しくて少し声が大きくなってしまったのを恥ずかしくなりながら閻魔大王に今度は問いかけた。
「閻魔大王様、僕からもよろしいでしょうか?」
「はい、なんでしょう?」
「あの…楓さん?って人間ですよね。なぜここにいるんですか?それに吉野さんって…」
「ふふふっ。やはり気になりましたか、ではあなたにだけ教えましょう。楓さんと私の話を……」




