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第七話 〜崩壊〜

「はぁ!はぁ!はぁ!」


馬の蹄の音と共に荒い息遣いが聞こえる。


「もうすぐだ!」


勇者ゼノス一行がセレディア王国に向かって馬を走らせていた。


街が見えてきた。


黒い煙と街を燃やす赤い炎が見える。


「間に合ってくれ!!」


馬にムチを入れて速度を上げる。


「よぉ!遅かったなぁ」


下卑た笑みを浮かべるバルギアスがそこにいた。


ゼノスたちが旅に出た後、騎士団長を任せたアゼルの首を締め上げながら。


ゴキィ


鈍い音がして、アゼルが事切れた。


「アゼル!!!」


イシュトの声が響いた。


「ヒャーハハハハハ!!」


バルギアスは羽を広げて空へ飛び上がる。


「これはおまけだぁ〜!!」


掌に王宮を飲み込む程の濃縮された火球が作られる。


弾ければ国全てが炎に包まれる。


「やめ…!!」


ゼノスの制止も届かず、火球は放たれ、傍若無人な炎はセレディア王国を飲み込んだ。


「ヒャーーハハハハハ!!!」


高笑いをしながらバルギアスは北の空へ消えていくのだった。


ーーーーーー


「一週間だ!一週間後にこの国は俺に滅ぼされる!!」


宣戦布告。


バルギアスはカナート山脈でゼノス達と戦った後、セレディア王国へ宣戦布告したのだった。


「カナート山脈でお前らの勇者にも伝えてきたぜぇ」


カナート山脈からセレディア王国へは、馬を走らせて一週間程の距離だった。


「逃げて国が滅ぶもよし、勇者の戻りを待ってもいい!」


下卑た笑みを浮かべ…


「滅亡する未来は変わらねぇけどなぁ!!ヒャーーハハハハハハ!」


ーーーーーー


「避難を優先すべきではないか?」


「しかし、国を終わらせる訳には行かぬ」


「王よ!騎士団は堅強です!それを率いるはバナード家のこのアゼルであります!」


「そうじゃ、勇者が戻るまで持ちこたえられれば…」


「グヌヌ……スラム育ちの元団長、副団長など居らずとも、この国を守って見せましょう!!」


ーーーーーー


「くっ!!火の回りが早い!!誰か生きている人はいないのか!?」


ゼノスたちは炎に包まれるセレディア王国内を、生き残りを探して走っていた。


そして、スラム街があった場所までやってきた。


そこで見つけたのは、瓦礫の下敷きになっているルナだった。


「ルナ!!!」


必死に瓦礫を退かした先にあったのは、上半身だけの息絶えたルナの姿だった。


「ああ!!あぁ!!ああぁぁぁあぁぁ!!!!」


ゼノスの叫びは、荒れ狂う業火の音に飲み込まれていった。


「…ゴメン……ゴメンよ……ルナ………」


しばらく、ルナの遺体を抱きしめていたゼノスはゆっくりと立ち上がった。


「…約束するよ……ルナ……こんな悲劇が二度と起こらないように、僕が魔王を倒すよ……必ず!」


ーーーーーー


生存者を探すため、進むとそこにはエレンがいた。


かつて、パン屋であったそこはエレンの生家だった。

既に跡形もなく燃やし尽くされていた。


座り込んだエレンが口を開く。


「ゼノス…私ね、人の心が見えるの」


「え?」


「小さい頃は、みんなそうなんだと思ってた。…でも違くて、必死に隠してた」


「………あぁ、僕も見えるよ」


「うん、ゼノスはそうなんじゃないかと思ってた。ゼノスはいつも私の気持ちを分かってくれてたから……」


「僕は、その人の心が色で見えるんだ。悲しい色、怒りの色、寂しい色、怖い色………嬉しい色を見ると、僕も嬉しいんだ。だから勇者になって、嬉しい色をを世界に広げたかった」


「…私は…見ようとすれば、その人の心まで見えるの。どんな事を思ってるのかまで見えてしまう。」


「エレン…」


「これを見てください。魔王隷属のすすめの12ページです」


私に嘘は通じません。

サファイアとエメラルドの瞳持つ私にはすべてを見通す事ができます。

特にエメラルドの瞳には心が映し出されます。


「これは…」


「そうです。ゼノスの片目も私の両目もエメラルドの瞳です。この瞳には心が映るんです」


膝を強く抱えてエレン。


「なぜ?……なぜ、人の心が見えるのに、悲しみを増やしてしまうの?……なぜ……」


「……僕達で止めよう。悲しみの連鎖を断ち切るんだ」


「……えぇ……」


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