第二話 〜正義の勇者〜
「勇者ゼノスよ」
「はっ!!」
国王の言葉に跪いたゼノスは顔を上げる。
「今、この世界は衰退の一途を辿っておる。魔王によって放たれた魔族や魔物が世界を蹂躙しておる。勇者の存在が見事魔王を打ち取り、世界を救う光となる。」
「このゼノス、身命を賭して魔王討伐を承ります!」
聖剣を携え力強くゼノスは応えた。
ーーーーーー
「勇者の神託が降りました。勇者は、蒼と翠の瞳を持つ者。王宮騎士団副団長ゼノス」
神託の巫女エレンの言葉に聖堂内はザワついた。
聖剣の光が強くなった事で、神託が降ると王家、貴族、騎士団が大聖堂に集ったのだ。
「ゼノスだと?」
「なんであんなスラム出身の騎士が?」
「同じスラムでも騎士団長ならば……」
そんな貴族たちの言葉の他にも
「ゼノスさんが…やっぱりすごい!」
「実力は騎士団一だからな」
「剣技はイシュトさんだけど、騎士なのに魔法まで使えるんだから当然だ」
(あぁ、やっぱり騎士団のみんなは祝福してくれる。いい色だ。貴族の人たちも根は悪くない。あれは、不安からくる色だ)
ゼノスは立ち上がり、聖剣の前まで歩み出た。
(そうだ、僕は分かっていたよ。
エレン、君の心も見えていた。
あんな事を言いながらも、君はイシュトに勇者になんかなって欲しくなかった。
愛した人が戦地に赴くのは嫌だよね。
だからってそんな悲しい顔をするなよ。
イシュト、何をそんなに苦しんでいるんだい?
僕なら大丈夫さ。
きっと魔王を倒して帰ってくるよ。
僕が帰る場所は君たちの所だから。
勇者は犠牲じゃない。
みんなの希望だから)
祭壇へ登り、聖剣へ手を伸ばす。
柄を握るとより強く宝珠が発光し、聖堂内を光で満たした。
音もなく抜けた聖剣は不思議なほどによく手に馴染んだ。
(これは…希望?絶望?哀しみと怒り…微かに喜び?聖剣、君は何を思う……何故そんな色をしているんだい)
「大丈夫、僕は見捨てない。
約束しよう。
僕が必ず世界を平和にするよ」




