↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/17

第一話 〜ゼノス〜

プロローグ

こんな筈では無かった。

魔王を倒せば世界は救われると思っていた。


世界は甘くは無い。

そして人の心も甘くは無い。


仮初の平和は貧富の差を生み出す。

貧しいものは裕福なものにより搾取され、裕福な者はその欲望を大きくしていく。


国も大きくなればより大きくしようと侵略が始まるのだ。

なぜ?

なぜ?人同士が争うのだ?

なぜ?

なぜ?搾取を繰り返すのだ?

なぜ?

なぜ?手を差し伸べない?


こんな、どうしょうもない人間たち。

どうしょうもないのに……救いたい。


放り出す事はできない。


私は勇者なんだ。

正義の勇者ゼノスなんだから。


第一話 〜ゼノス〜

「こら待て!!クソガキども!!」


棍棒を持った店主が少年二人を追いかけていた。

その手にはパンを抱えていた。


「へへっ捕まるかよ!」

「イシュト!お前はあっちだ」

「ゼノスいつもの所で合流だ」


黒い髪に蒼い瞳と翠の瞳の虹彩異色の少年ゼノス。

銀髪にブラウンの瞳のイシュト

この街では少し有名な悪ガキの二人組だった。


日々の生活も苦しいスラム街では食べ物を盗んで食べる事は当たり前だった。


ふた手に別れたゼノスとイシュトはその俊足でパン屋の店長を振り切ったのだった。


「やったぜ!」


スラム街の外れで肩を寄せ合いハイタッチをするゼノスとイシュト。


「僕はこんな所で終わらないよ」

「あぁ!俺もこんなとこで終わらない!ゼノス剣の練習をしないか?」

「剣の?」

「そうさ。剣技を高めて、王宮騎士団に入るんだ。そしたらこんな生活ともオサラバだろ?」

「いいね!王宮騎士団か…ねぇ、イシュト早速やろうよ」


ゼノスは足元に転がる棒切れを拾い、正眼に構える。


この棒切れからゼノスたちの物語は始まった。


‒‒9年後

「イシュトよ王宮騎士団団長を任ずる」

「はっ!謹んでお受け致します」


イシュトは王宮騎士団団長になるほどに剣技を修めていた。

ゼノスはイシュトと共に王宮騎士団に所属していた。


「もう僕じゃ軽口も言えないね」

「そんな事言うんじゃないよ。俺とお前の関係はこんな事で変わんないよ」


そんな事を笑いながら語り合っていた。


「ところで、いつ告白するんだい?エレンが王家付の巫女でも、騎士団長なら対等以上でしょ」


「な、何を言い出すんだゼノス!?」


「イシュトがエレンに惚れているのは騎士団全員が知ってるよ」


「な、な、な!?」


顔を赤くしながら後ずさるイシュト。


「なんの話をしているんですか?」


そんな話をしていると背後から澄んだ声が聞こえた。

銀色の髪が先端に向かって金色に輝いている。

優しさに満ちた緑色の瞳が美しかった。


「あぁ、エレン。イシュトの騎士団長就任を祝っていたんですよ」


「すごい出世ですよね!おめでとうございます。これでツケも無くなりますね」


「そうだね。僕も騎士団に入れたし、イシュトはその団長。まさかパン屋の娘が王家付の巫女になるとは思いもしなかったけどね」


「ホントですね。あの時スラムで子供だった私達が王宮にいるのは不思議な感じです」


風に吹かれて髪が靡く。髪を掻き上げる姿を真剣な目で見るイシュト。


「そ、そういえば、聖剣が輝き出したそうだな」


「そうなんです。もうすぐ、勇者の神託が降るかもしれません。でも、イシュトみたいな人が勇者になるかもしれませんね!」


幼馴染の笑顔が眩しいと感じた。


ーーーーーー


「勇者の神託が降りました。勇者は、蒼と翠の瞳を持つ者。王宮騎士団ゼノス」


運命が今、廻りだす。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
サクサク読めるのでいいですね。 面白かった
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。