第十四話 〜終わらない戦争の先〜
あれから何年経ったのだろう。
僕たちは魔王レインを倒し、世界の平和を勝ち取ったと思った。
平和な世界で、人々は分かり合えると考えていたんだ。
それなのに……
エレンはもういない。
イシュトは壊れてしまった。
紛争は無くならない。
800年……もう800年以上が過ぎたんだ。
何時も戦い続けた。
世界はそんなに甘くは無かった。
そして人の心も甘くは無かったんだ。
仮初の平和は貧富の差を生み出した。
貧しいものは裕福なものにより搾取され、裕福な者はその欲望を大きくしていく。
国も大きくなればより大きくしようと侵略が始まるんだ。
なぜ?
なぜ?人同士が争うのだ?
なぜ?
なぜ?搾取を繰り返すのだ?
なぜ?
なぜ?手を差し伸べない?
こんな、どうしょうもない人間たち。
どうしょうもないのに……救いたい。
放り出す事はできない。
僕は勇者なんだ。
正義の勇者ゼノスなんだから。
どうすれば救える?
どうすれば争わない?
なぜ、レインは魔王になったんだ?
なぜ勇者が……
そうだ、みんなが魔王を恐れていた。
戦争どころではなかった。
手を取り合わなければ生きられなかった。
敵を作ればいい!
共通の敵を!
人々が争わない為の共通で最強の敵!!
僕が魔王になれば救えるんだ!
あぁ、ルナ……もうすぐだよ。
もう直ぐ、君との約束が果たせる。
僕が平和な世界を作ってみせるよ!
「ハハ…ハハハ……ハハハハハハ!!」
ーーーーーー
最も発展した国をターゲットにした。
魔王として君臨し、人々に恐怖を与える為にはより大きな衝撃が必要だったのだ。
空中に浮かぶゼノス。
「——喰らえ」
黒き瘴気が、空を裂いた。
街を覆うように現れた“爪”が、音もなく、大地ごと抉り取る。
「ブラックファング•インフェルノ」
ゼノスが魔王レインから受け継いだ力。
巨大な瘴気の爪が街の三分の一を廃墟にする。
突然の襲撃に逃げ戸惑う人々。
「ハハ……ハーハッハッハッハ!!!」
嗤う。
——嗤うしかなかった。
「我は魔王!!魔王ゼノスである!!我が前に服従はない!!命の灯火を捧げよ!!」
高笑いをしながら2度、3度と放つ。
頬を伝うものがあった。
——涙だった。
ただ、 誰も気付くことはない。
いや……
気付いてはならない
守ろうとしていた人々を己の手で屠る。
世界のための犠牲。
自分でもわかっていた。
最善であっても最良ではない。
後戻りはできない。
……誰か止めてくれ
この地獄を
——この私を。
誰か………




