第十話 〜平和な世界〜
世界は幸せに包まれていた。
魔王の恐怖がなくなったのだ。
魔王の弾圧がなくなり、本当の意味で自由となった。
人が人として生きていける世界になったのだった。
リンゴーン、リンゴーン
教会の鐘が鳴り響く。
「聖騎士イシュト、貴方は隣にいるエレンを妻とし、健やかなる時も、病める時もこの者を愛し、支えることを誓いますか?」
「はい!」
「神託の巫女エレン、貴方は隣にいるイシュトを夫とし、健やかなる時も、病める時もこの者を愛し、支えることを誓いますか?」
「はい…誓います」
「ここに二人を夫婦と認め、女神ルミナスの加護があらんことを」
パチパチパチ!!
「おめでとう!!」
魔王レインを倒してから2年がたった。
世界は概ね平和であった。
国内外で小さな揉め事はあったが、ゼノスの介入で大きな被害も出ず収まっている。
そして今日、奥手だったイシュトとエレンが結婚する事となった。
その一報を聞いたときは自分の事のようにゼノスもセイリンも喜んだ。
花嫁のブーケが投げられ、綺麗な放物線を描き、セイリンの腕に収まったのだった。
「わわっ!?アタシ?」
花嫁のブーケを受け取った人は次の花嫁になる。そんな言い伝えがある。
「こ、これは………ゼノス!アタシ達結婚するしかないよ!」
その時のセイリンの目は本気だった。
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ゼノスは世界の旅を続けていた。
丘の上から眺める広大な土地。
人が居ない、動物の世界。
弱肉強食の中に種族を超えて助け合う姿がある。
すべての生命が生きる為に協力しあっていた。
「素晴らしい世界だ」
人間は奴隷を売買し、貧富の差が激しい。
使う者と使われる者がいる。
ゼノスは世直し旅を続けていた。
最近は奴隷商人や売買を止める為に旅をしている。
この5年で100組織は潰してきた。
イシュトたちは幸せらしい。
最近は貧困の街を救うため、エレンと引っ越しをしたらしい。
子どもももうすぐ三歳だ。
セイリンとは偶に会っていた。
前に会ったときは酒を一緒に飲んだ。
すごく酒癖が悪かった。
丘の上でフッと笑みがこぼれた。
世界は今、概ね平和だった。




