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有力な手掛かり

 窓から差し込む光に照らされて、ゆっくりと目を覚ます。

 視界に飛び込んで来たのは見慣れない木張りの天井だった。


「うーん……」


 片手を付き軋むベッドからゆっくりと身体を起こす。

 それなりに睡眠は取った筈なのにどうにも疲れが抜け切れていないようで。酷い筋肉痛と怠さが全身にまとわりついて来る。


 昨夜、アレンの即席の思い付き、所謂『誘導作戦』を決行した後、私達はそのままリンプインの街外れへと移動した。そこから更に隣町へと移動し、そこでようやく宿屋を見つけた時には既に東の空がうっすらと白んでいた。

 それから倒れるようにベットへと身体を預け、起きた現在は日がやや西へと傾いた正午過ぎ。


「ふぁあ~…」


 口から出た大欠伸と共に伸びをしつつ、身体をほぐしながら一階へと続く階段をゆっくりと降りていく。

 誰に叩き起こされる事もなく、昼過ぎまで休息を取れた様子を見ると、ひとまずはなんとかザガン中佐率いる海軍の追跡から逃れるが出来たようで。それはすなわち、誘導作戦の成功を意味していると思われた。

 けれども、リンプインの街から離れた私には、その後ストリーク達がどうなったのか、もはや知るすべなどない。どうか無事で居てくれれば良いのだが。


 とはいえ、人の心配ばかりもしてはいられない。

 とりあえずはなんとかザガン中佐達を撒いたとはいえ、それは所詮、一時凌ぎにしかってならない。彼らの目的がアレンの持つホープ・ブルーと地図である以上、彼らはどこまでも追って来るだろう。つまり、生き延びたければ早急にこの国を発つ必要がある。


 しかし、地図が示した『ホープ・ブルーが本来在るべき場所』

 それがこの国のどこかにあるという以上は、アレンはその場所を見つけるまでは意地でもこの国を離れる事はないだろう。そういえば、色々あり過ぎてすっかり忘れてしまっていたが、“例の場所”に関する情報の方は結局どうなったのだろうか?


「あ、はるはるー!」

「よっス、ハルちゃん!」


 一階の食堂へと降りると、そこにはアレンをはじめとしたいつもの面子と、そして更に凸凹とした2人組の姿があった。


「オッズさん!アウツさん!」


 そこにいたのは海賊船クロート号の乗組員。細身で長身のオッズと豊満で小柄なアウツ。元気な凸凹コンビの2人だった。


「お疲れっス、ハルちゃん」

「起きるの遅いよ~はるはる~」


 私に気付いた彼らはこちらに向かって笑顔を向ける。


「2人共、どうしてここに?」

「ラックさんが情報を回してくれて。それで俺らここまで走って来たんスよ」

「ここまでかなり遠かった……もうくたくただよ~」


 オッズとアウツの2人はそれぞれそう言葉を返した。

 誘導作戦の決行に伴い、役回りを与えられなかったラックは他の乗組員達に集合場所の変更とザガン中佐達海軍への注意を伝えると言って、一人リンプインの街へと消えた。オッズとアウツが隣町にあるこの宿屋へと辿り着いた所を見ると、どうやらその情報は乗組員達に無事に行き渡っているようだ。


「2人の話だと、どうやらあの後、例の建物内にリンプインの海軍とザガン中佐達が突入して、一時は戦闘になったもののそれも無事に鎮圧。あの場に居た男達は拘束され、捕らわれた人達も無事に救出されたみたいだよ」

「本当に!」

「ああ」

 

 聞き返した私に対しラックはコクリと頷いてみせる。


「良かった~」


 思わず安堵の息が溢れた。

 あの後結局、ストリーク達がどうなったのか。気掛かりではいたものの、その結果を知るすべはないと思っていたが、どうやら決死の誘導作戦は見事に功を成したようで。届けられた思わぬ朗報に私はほっと胸を撫で下ろしたのだった。


「それで船長。俺らの仕入れた情報、どうっスか?」


 明るい茶髪を揺らしながら落ち着かない様子でオッズが尋ねた。

 オッズのその視線の先には神妙な面持ちで腕組みをするアレンの姿が。


「うむ!かなり有力な情報だと思われる!」

「ほんとっスか!」


 アレンのその言葉を聞いて、2人の顔にぱっと笑顔の花が咲く。


「オッズ、アウツ。ご苦労だった。お前達はもう休んでいいぞ」

「ういっス!」

「アイアイ、船長ー!」


 アレンはオッズとアウツの2人に労いの言葉を掛けた。

 それを聞いた2人は嬉しそうに笑顔を浮かべ元気よく返事を返す。そんな彼らの姿を見て、私はアレンに対し尋ねてみた。


「何か進展があったんですか?」

「ああ、それもかなりのな。この2人がかなり有力な情報を持って来てくれたんだ」

「有力な情報?」


 私の問いに頷いて。アレンはこう言葉を続ける。


「地図が示した場所が見付かった!」


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