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▼ハルは何処へ(アレン視点)

 日は西へと傾き、夕闇が辺りを包み始める。町中を探索して得たいくつかの情報を持って、ラックはアレンとハルの元へと向かっていた。

 今朝到着した港へと戻ったラックは道行く人に尋ねて回った。そしてようやく、大通りに面した酒場で酒を片手に満面の笑みを浮かべるアレン姿を発見したのだった。


「船長、こんな所で何してんの?」

「おぉ!ラック!今ちょうど、このチェックさんと意気投合したところなんだ!」


 ご機嫌なアレンとは対照的に呆れ気味に尋ねたラック。そんなラックに対し、アレンは隣の席に腰掛けた褐色の肌に筋肉質な身体。アレン同様に酒瓶を片手に豪快な笑顔を浮かべるチェックという男を紹介した。


「へぇー、そう」


 だが、ラックはそんな事には全く興味を示さず、軽く受け流したのちハルの姿を探す。ハルは確かアレンと共に行動していた筈だった。しかし、店内どこを見回してみてもどこにもハルの姿はない。


「それよりも船長、ハルはどうしたの?」

「ハル?ハルならすぐ隣に……あれ?」


 ラックに問われ、アレンは気付く。

 さっきまですぐ隣にいた筈のハルの姿がない事に。その様子からおおよそを察したラックはアレンを厳しく問いただした。


「まさか船長、ハルをほっぽってずっとお酒飲んでた訳じゃないよね!?」

「違う違うっ俺はただちょっとこの土地の名物とかいう酒の味見をしていただけであってだな……っ」


 慌てた様子をみせるアレンはもうほとんど出来上がっている。言い訳を述べる口からはきついアルコール臭が漂っていた。


「ハルを探して来る!」


 アレンにそう言い残し、ラックはそのまま店の外へと出て行った。

 ラックとちょうど入れ違いざま、今度はレイズとフォクセルの2人が店内へと入って来る。


「どこへ行ったかと思えば……アンタ、こんな所で何やってんだよ?」

「レイズにフォクセルか。何か情報は得られたか?」

「とりあえずはな。だが、信憑性は微妙な所だ」


 アレンの問いにそう答えたレイズ。

 今度はレイズがアレンに対して問い掛けた。


「そんな事よりも、ラックが慌てて出てったみたいだが……何かあったのか?」

「ハルが居なくなった」

「はぁ?アンタと一緒に行動してた筈だろ?」

「そうなんだが、ちょっと目を離した隙にどこかに行ってしまったみたいでな」

「今まで気付かなかったのかよ!?」

「そんな事言ったって仕方ないだろ」


 そう答えたアレンの頬はほんのりと赤く、テーブルには酒瓶が数本、グラスが数個置かれている。

 この様子から察するに、おそらくは酒を飲むのに夢中になり、ハルが居なくなった事に今まで気付かなかったのだろう。そして、そんなアレンに怒ったラックが今まさに入れ違いで店から飛び出して行ったに違いない。


「…ったく、本っ当にどうしようもない奴だなっアンタはっ」


 そんな不甲斐ないアレンの様子を目の当たりにしたレイズは呆れ混じりそう吐き捨てた。


「それで?当然、探しに行くんだろ?」

「ああ、まあな」


 レイズに対して頷いたアレン。

 しかし、その言葉とは裏腹にアレンは手にした瓶から酒をグラスに注いでいく。


「……て、言ってるそばから酒を飲もうとしてんじゃねぇよっ」


 予想外のその行動にレイズは堪らず声を荒げた。


「大袈裟だな。そんなに慌てなくても大丈夫だろ?」


 目を吊り上げて怒鳴るレイズに対してアレンはいつもの調子で切り返す。


「ハルだって子供じゃないんだ。道にでも迷わない限り1人でも帰って来られるさ」

「道に迷ってたらどうするんだよ?」

「その時はその時だ」

「ほんとに無責任極まりねぇなっ」


 レイズは再び吐き捨てた。

 それとほぼ同時に店内奥から突然怒号が響き渡った。


「なんだ!?」


 その声に背後を振り返れば、2人の男が互いに拳を繰り出し、相手の顔面を殴打していた。

 突然、お決まりにして、もはやお約束。酔った客達による愉快痛快な殴り合いが始まったのだった。

 点火した火種は留まることを知らず、次々に他のテーブルへと飛び火していく。2人の男達による喧嘩からから始まった殴り合いは、瞬く間に店内全体を巻き込んだ大乱闘へと拡大していった。


 何故、突然こんな事に?

 アレンの頭に疑問符が浮かぶ。


 こんな事は酒場では良くある事とはいえ、つい先程まで店内は陽気な良い雰囲気だったのに。


 日が落ちて輩が集まって来たせいだろうか。

 なんだか訳もなく物凄く嫌な予感を感じた。次の瞬間、その予感は見事的中する事となる。


「全員その場を動くな!」


 外へと続く扉が勢い良く開かれる。

 ヒートアップしていく店内に響き渡ったのは、聞き覚えのある声だった。


「ようやく見付けたぞ、アレン・ヴァンドール!!」

「げっ……あんたは……っ」


 その声に視線を戻したアレンは驚愕した。

 怒号と共に現れたのは、クワッズ共和国にて見事アレンの策略にハマった銀髪にダークブラウンの瞳。白い海軍服を纏ったその人物、アンダー・ザガン中佐だった。


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