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これって所謂?

徐々に体が治ってきたらしく、光や色の識別が付くようになってきた。

それから周囲でしゃべられている言葉が私の知っているものと違うことにも気が付いた。

脳にダメージが大きすぎたのだろうか、と思ったが、これだけ考えられるなら回復できるかもしれないと希望も持った。


だが、目が見えるようになるほど、耳が聞こえるようになるほど、私の考えていた世界とは別のものが見え始める。


白い病室とか、花とか、友人が折った千羽鶴とか、両親とか祖父母とか兄さんとか、医者とか看護師とか。

そういうものが目を開けたら見えるはずだったのだけれど。

どれだけ色々なものが見えるようになっても私の視界には、煌びやかな部屋と、いい服を着たおばあさんと、外国人の女の人しか映らない。

たまに、他の小さな男の子とか、いつも見る人と違う女の人だとか。


聞こえるものもそうだ。

日本語じゃない。

英語でもないと思う。

中国語でもない、とにかく聞いたことのない言語が飛び交っている。

知っている言葉を探したけれど、一つも見当たらない。


身体が治るほど、動けるようになるほど、私は思い知らされた。

私が私でないみたいだと。


いやいやそんなおとぎ話みたいなことあるはずないと思った。

けれどあの時死ぬんだ、と感じた忘れられない感覚がその否定を邪魔した。

受け入れられないのと、受け入れざる得ないのは話が違う。


私は死んだのだと、そこまで受け入れて。

その後転生したのだと受け入れるにはまだかかった。


ものすらうまくつかめない手が麻痺ではなく小さいだけで。

うまく言葉を発せない口はまだ未発達で。

つかめるようになるほどあまりに明確な感覚で。

言葉を発するほどそれは自分の体で。


抱き上げられて、何度も鏡を見せられるうちにもはや見慣れていく自分の見た目。


色もしっかり見分けられるようになった目でブロンドの髪と淡いダークブルーの瞳を見飽きるほど見た。


これって所謂異世界転生?

なんて現実逃避を試みたがその通りらしく笑えなかった。

笑ったけれど。

おおよそ半年以上が過ぎたらしく自身の首もすわり。

そうなればもはや受け入れざる得なかった。

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