防犯カメラの映像には…
仁保… 仁保 吉継 三中2年1組 コンピュータ好き 特技はネット上のパスワードを破ること
京 … 京 東洋 三中2年4組
8)映像
パソコンの立ち上がりを待つのももどかしく、仁保は自室で画面をにらんでいた。
仁保は、パソコンに次々とパスワードを入力していく。
インターネット上で、市内の警備会社のホームページを探し出す。ホームページの管理者画面へ飛ぶ。そこは、パスワードで守られた画面のはずだった。しかし、仁保に言わせれば、「この程度のセキュリティでは、中学生のオレにも破られてしまいますよ」だそうだ。
(…よし、ここだ。)
仁保の前のモニタには、警備会社のメインサーバーが表れた。管理者からの指示を待っている。
(…これが、防犯カメラかな…。)
仁保がマウスをクリックすると、警備会社が所有する防犯カメラのマップが表れた。
(…え~っと、電気屋の左に数軒行ったところ…。これかな…?)
「敦賀市中央3丁目××―× 第12号カメラ」と表示されている。仁保が動画の再生操作を行うと、パソコン画面にモノクロの映像が流れた。
(…おっ、これっぽいな。日付は…。)
「20××年1月20日(木)22時03分」
(…やっぱり。きっとすべて映像で残ってるはず…。じゃぁ、早戻しして…と。今22時だから…。)
画面上の白い時間表示が繰り上がっていく。21時…、20時…、19時…。
(…よし。この辺だ。今日の16時だったか…。)
時刻表示を見つめながら、16時に近づけていく。
(…ここだ! いた! こいつだ! オレをなぐったヤツだ!)
画面上には、電気店を左斜め上からとらえた映像が映っている。電気店の焼け跡には、仁保がうつむきながら動いている様子が分かる。仁保の前の焼け残った壁ぎわに、ネコの姿も小さくとらえている。そして、その逆側の壁ぎわには、一人の人物が映っていた。
(…ちくしょう! この距離では誰だか分からない!)
その映像は、モノクロ画像だった。しかも、距離は数十メートルもあろうか、広角の画像でもあり、映っているのが人間だと分かる程度であった。
(…オレと比べて、大人だということが分かるぐらいか…。)
そう思いながら、動画をながめていた仁保は、あっと息を呑んだ。人物が仁保を殴る場面だった。
(…くそっ…。)
倒れた仁保のポケットから何かを探る人物。そして、停めてあった車にその人物が乗り込む場面へと移る。
(…一時停止。そして、拡大して…。そう、これだ! 車のナンバー!)
画面上には、人物が乗り込んだ車のナンバープレートが拡大され、モノクロの陰影はかすかだが、その数字が見えている。
(…2・8・0…1…かな? 2・6・0…4かな? まぁ、どっちも調べてやる!)
さらに、仁保は、前日、火事の起こった1月19日へと探っていった。
(…19日の夕方、16時ごろか…。ここだ!)
画面上には焼け落ちる前の電気店が姿を現している。隣の家との間から、人物の姿が小さく見えた。
(…おっ、来た! やっぱり、京はここに来ていたんだ。)
しかし、細い路地から出てきた京は、電気店の前を通り過ぎていっただけだった。その少し後に現れた人物は…。
(…オレだ…。)
画面上に現れた仁保は、電気店の周りを二度ほどうろつき、再び自転車に乗って画面上から消えていった。家に帰ったのだ。画面上には、動く物はなくなった。
その時だった。仁保が去っていってから約10分後、一人の人物が現れた。やはり画面上では、顔までは分からない。しかし、大人だろうことは想像できる。
ゆったりとした足取り。モノクロ画面では、その服装までは分からない。仁保をなぐった人物と同一かどうか…。
(…オレをなぐったヤツなのか? いや、この映像だけでは分からない…。ちくしょう…。)
その人物は、横の路地から裏手へと回っていったようだ。しばらくは動きがない。
それから約5分後、人物は路地から表へと現れた。そして姿を消した。人物が去った後、数分して電気店は火に包まれていった。
人物は歩いて去ったが、その後車に乗ったのかどうかは、分からない。
(これでは、火事を起こした犯人が誰かも、そしてオレを殴ったのがこいつなのかも、分からないな…。)
さあ、どうする、仁保君。




