真犯人を捜し出す仁保君に…
仁保… 仁保 吉継 三中2年1組 コンピュータ好き
奥山… 奥山 呉羽 三中2年3組 殺されてしまう
和歌… 野坂 和歌子 三中2年1組
千里… 松原 千里 三中2年1組
彩葉… 気比 彩葉 三中2年1組
(6)焼け跡
翌日、敦賀三中では、電気屋の火事の話で持ちきりだった。
「自殺だって?」
「うん、そうらしいよ。」
「裁判を苦にして…。」
「だって、殺人犯で裁判だよ。」
「うん、耐えられない!」
「しかも中学生を殺したんだろ!」
「そうだよ。無期だね、無期。」
「いや、死刑かも!」
「そりゃ~、苦にするよな。」
そんな同級生のうわさ話を聞きながら、仁保は考えていた。
(そうか…、これが、真犯人のねらいなのか…。電気屋さんが、裁判を苦にして自殺という図式は、確かに納得がいく。そして、これで事件が終わっていく…。真犯人には、捜査の手は伸びてこない…。
だめだ! そんなこと、させてはだめだ。奥山を殺した真犯人を捜し出すんだ。)
「だめだ!」
仁保は思わず、口走っていた。
「キャッ!」
「仁保にばれた。」
「まじっ。」
和歌、千里、彩葉の3人は、ボンボンシールの交換がばれたと思ったらしい。
「あ、ごめん。こっちのこと。」
「なんだ~。」
「大きな独り言ね。」
「も~う、ビックリした!」
「ま、ボンボンシールを持って来ちゃ、だめだけどね。」
「わ、ばれてた~。」
仁保は、決めた。もう一度、火事が起こった電気屋へ行くことを。
(何か、残されているはずだ。真犯人が、電気屋さんまで殺してしまった証拠を見つけるんだ。)
仁保は、その日の放課後、再び電気店に向かった。
そこは火災現場であり、まだ昨日の消防の水に濡れたままだった。黄色に黒文字の、立ち入り禁止の表示が張り巡らされている。仁保は、その規制線のテープをくぐって現場に足を踏み入れた。
まだ、火災の跡の焦げ臭いにおいが立ちこめている。電気店の店構えのほとんどすべてが焼け落ちている。
(家族は無事だったとは聞いたが、これほどとは…。これでは、何もかも焼けてしまっているかな…。何も残っていないかもしれないな…。)
そう思ったときだった。
ガタッ!
焼け残った壁の後ろで、何かが動いた。
「何っ? 誰っ?」
(誰かがいた。オレが来る前から、そこにいた。誰だ? そして何をしている?)
ニャ~。
「何だ、ネコか~。」
(こいつ、驚かせやがって。こっち来い。)
仁保は、ネコに近づいた。
足下でキラリと光る物が目に入った。手に取ってみた。
ホイッスルだった。ススで真っ黒になっていたが、確かにホイッスルだ。金属製の少し上等な代物だ…。そう、体育教師が持っているような…。
その瞬間。
仁保はものすごい衝撃を腹部に受けた。
ドズッ!
「ぐぅっ!」
焼け跡に崩れ落ちる、その一瞬、仁保は敵の姿を目にした。仁保を殴ったヤツの姿をとらえた…。
はずだった。しかし、夕闇が、ヤツのすべてを覆い隠していた。
仁保に見えたのは、細身の大人の男だということだけだった。
(大人だ! じゃあ、京は…。)
仁保は気を失った。




