暴く
仁保 … 仁保 吉継 2年1組
代田先生 … 代田 神楽 2年1組担任
常先生 … 常 永大 2年2組担任
奥山 … 奥山 呉羽 2年3組 殺されてしまう
京 … 京 東洋 2年4組 奥山の友達
夢美 … 常宮 夢美 2年2組生徒
(18)暴く
3月になった。
敦賀の街にも、少しずつ春の便りが届き始めた。
三中殺人事件は、すっかり忘れ去られているようだった。
たった一人を除いては…。
それは、オレだ。
オレは、ついに京を呼び出した。
3月初めの夜。
気比の松原だ。
名勝 気比の松原。日本三大松原の一つ。長さ約1kmに渡り、約1万7千本の赤松・黒松が並ぶ白砂青松の観光地である。
3月の夜、さすがの松原にも人の姿はない。
「京、夜にわりいな。」
オレは、まずは低姿勢で言った。
「いや。いいさ。小学校以来かな。」
京も、久しぶりの小学校の同級生からの呼び出しに、怪訝な面持ちだ。
オレは、単刀直入に切り出した。
「京、お前がやったんだろ? 全部。」
京は、顔を伏せた。
「は? 何のことだ?」
オレは、すべてを解き明かした。
「京、オレはすべて分かったんだよ。お前がしでかしたすべてを…な。」
京は、少し顔を上げた。眼があの光を帯びた。
「だから、何をやったって?」
「京、お前が常先生を脅して、人殺しも火事もすべて操作してたんだろっ!?」
「はぁ? 何をバカなことを…。」
「お前のスマホの動画を見つけたんだよ…。悪かったよ、勝手に見てしまって…。だけど、京、お前はあれをネタに常先生を脅してたんだろっ?!」
京が黙り込んだ。
「常宮にも聞いたよ。常先生も自分も、お前に脅されたってな!」
京の表情が、翳りで覆われた。
「常宮か…。チッ。」
オレは順に解き明かしていった。
「京、お前は常先生と常宮の関係を偶然知ったんだろう。問題の場面を動画で撮影した。
それをネタに、まずは常先生を脅しにかかった。
テストの不正で電気屋とゴネていた奥山を、教室で殺させた。教室の動体センサーが働かなかったの
も、常先生が警備を解除していたからだ。ドライバーに電気屋の指紋があったのも、お前の指示だろ
う。」
京の表情が歪んでいく。
「おそらく常先生に、電気屋に忍び込ませるか、家電の修理とかで電気屋を家に呼び込んで、指紋付きの
ドライバーを確保させたのだろう。
そして、電気屋で火事を起こし、裁判を苦にした自殺と見せかけて電気屋さんも殺させた。」
京は動かない。
「しかし、常先生が自殺したことで状況が変わった。常先生が脅されていたことを、まさかどこかに書き
遺していたりしたら? お前は相当あせっただろう。
しかし、常先生は自身の罪を背負って自殺した。お前に疑いがかかることはなかった。
お前は安心したんじゃないのか?」
京が、手をポケットに入れた。
「オレ達は、奥山を殺したのは電気屋さんだと思わさせられたが、実は常先生だった。そして電気屋さんを殺したのも常先生だ。そして、常先生はすべてを背負って自殺した。
しかし、すべてを裏で操作していたのは、京、お前だっ!」
京の顔色が変わった。
「…っ! …の野郎っ!」
京がポケットから何かを取り出し、こちらに向かってきた。
その時だった。
松原の海岸が光に照らし出されたのだ!
松林の各所から、何本ものサーチライトがこちらを照らし出していた。警察だった。
「警察だっ! 動くなっ!」
「くっ!」
京の動きが止まった。
手にはナイフか何かだろうか、キラリと光る何かを持っていた。
オレを襲うつもりだったのか?
まさか殺そうと…?
「仁保君! 大丈夫?」
代田先生だった。時には頼りになる~。
先生が警察を呼んでくれていたのだ。
「…くそっ!」
京が駆けだした。砂浜を後ろへと。
その時だ。
「待てっ! 止まりなさいっ!」
怒声が鳴り響き、警察官が走り込んできた。
京は逃げようともがいていたようだが、警察に確保された。
代田先生~、ありがとう~。助かったよ~。
三中殺人事件は、こうしてすべてが解き明かされたのだった。




