常宮って、どう?
彩葉 … 気比 彩葉 2年1組 バスケ部
仁保 … 仁保 吉継 2年1組 コンピュータ好き
千里 … 松原 千里 2年1組
和歌 … 野坂 和歌子 2年1組
常先生 … 常 永大 2年2組担任 バスケ部顧問
京 … 京 東洋 2年4組
夢美 … 常宮 夢美 2年2組生徒 バスケ部
(16)関係
「なあ、常宮って、どう?」
オレは彩葉に問いかけた。
「えっ、何、仁保君…。どうって…。え~っ?!」
勘違いをしているようだ。
「…そうなの? いよいよ仁保君にも、始まったの?」
完全におかしい方向に行きそうだ。
「…でも、夢美は、仁保君のタイプじゃないと思うけど…。」
「そうじゃなくて。常宮に最近何か気になったことってなかったかってこと!」
「え~、何だ~。そっち?」
「何、何? 仁保君、夢美ちゃんがどうしたの?」
千里も来た。ということは…。
「えっ、何、何? 私にできることなら何でも言って~。」
和歌も来た。
(ダメだ…。この人達、頭の中がお花畑だ…。)
「えっ、お花畑? お花、大好きっ!」
(やべっ、聞こえてたのか?)
「仁保君、心の声がだいたい全部出てるのよ。」
ミスった~。またしゃべってた~。
「とにかく、常宮の最近の様子。どう? 何かなかった?」
「そうね~、彼氏はいなかったと思うわ。ねぇ?」
「そうね。あんまり同世代には興味ないっぽい感じかな。」
「バスケ一筋かな。でも確かに最近、何か悩んでる感じはあったかな…。」
「そうなんだ。ねぇ、仁保君、何かあったの?」
「いや、ちょっとね…。」
全校集会での、常宮の沈んだ様子を思い出していた…。
「あっ、やっぱり。仁保君にも恋の季節が来たか~。」
「来たか~。」
「来たのね~。」
「いや、そうじゃないし。」
オレはこの人達の情報網に賭けることにした。
「あのね。実はお願いがあって。常宮について、3人で調べてほしいんだけど…。」
「えっ、調べるって?」
「何を?」
「好きな人とか?」
「まあ、それもある。実は、いろいろ追跡してたら、どうも常宮も今回のことに関係してる感じなんだよ。」
「えっ、そうなの?」
「どう関係してるの?」
「いや、詳しくはまだ言えないんだけど…。」
「なんだ~。気になる~。」
「付き合ってる人とか、人間関係に悩んでるとか、その辺をさ。」
「ふ~ん。それが今回のことにつながるのね? 分かった。2組の人に聞いてみるわ。」
「私はバスケ部の人に聞いてみる。」
「私は小学校が同じだった人に聞いてみようかな。」
「あの~、くれぐれも内密でね。隠密行動で頼むよ。」
「分かってるって!」
「探偵でしょ? 大丈夫!」
「私達に任せて!」
(あ~、すごく心配だ…。)
あっ、まずい。また声に出てたか?
「出てるわよ。」
出てた~。
翌日、3人から報告が上がってきた。
まず彩葉。
「バスケ部のみんなに聞いてみた。私も感じてたけど、やっぱり最近調子よくなかったって。夏過ぎから、動きがあんまりよくなくて、常っちによく呼び出されてたって。」
次は千里。
「2組の人に聞いてきた。やっぱり、最近、夢美ちゃん、悩んでたらしい。あの殺人事件の後ぐらいから、クラスでも特に暗い顔を見ることが多かったって。」
最後は和歌。
「小学校からの友達に聞いてみた。同じだった。この何カ月か、沈んでる様子を見るようになったって。どうしたんだろうって、みんな心配してた。」
「やっぱり…、そうか…。」
千里がさらに情報をもたらした。
「それと、ホントかどうかだけど…。夢美ちゃん、常っちと付き合ってたんじゃないかって…。」
彩葉が付け加える。
「バスケ部でも、うわさになってた…。夢美ちゃんばっかり呼び出されてたって。やばいんじゃないかって…。」
あの映像を思い出す。
「やっぱしか~。」
和歌は別の情報を。
「私が聞いた人が言ってたんだけど…。夢美ちゃん、最近、京君と一緒にいるところを見かけたって…。ぜんぜんタイプじゃないのにって。」
千里もだった。
「そうそう、私も聞いた。しかも、あんまり楽しそうじゃない感じでいたって…。」
オレも見た。
「そうなんだよ。オレも実はその二人が一緒にいるのを見たんだよね…。」
彩葉が興味深げに聞く。
「どうだったの? 付き合ってる感じ?」
「いや。全然違う。なんかイヤな感じだったな…。」
「そうなんだ~。」
常宮は常先生と付き合っていた、しかも最近は京とも一緒にいた…。常先生とは、動画からは男女の関係だと思える。そして京とは脅されている感じに思えた…。
結論は、常宮に直接聞いてみるしかないのか…。しかし、本人が、そんなことに答えてくれるのか?
常宮に会ってみよう…。




