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13/19

常先生が自殺

彩葉(いろは) … 気比(けひ) 彩葉(いろは) 三中2年1組

仁保(にほ) … 仁保(にほ) 吉継(よしつぐ) 三中2年1組 コンピュータ好き

千里(ちり) … 松原(まつばら) 千里(ちり) 三中2年1組

和歌(わか) … 野坂(のさか) 和歌子(わかこ) 三中2年1組

代田(よた)先生 … 代田(よた) 神楽(かぐら) 2年1組担任

常(つね)先生 … 常(つね) 永大(えいだい) 2年2組担任 バスケ部顧問

粟野(あわの)先生 … 粟野(あわの) 結城(ゆうき) 2年4組担任 理科教員

奥山(おくやま) … 奥山(おくやま) 呉羽(くれは) 三中2年3組 殺されてしまう

京(きょう) … 京(きょう) 東洋(とうよう) 三中2年4組 奥山の友達

夢美(ゆめみ) … 常宮(つねみや) 夢美(ゆめみ) 三中2年2組生徒 バスケ部


(13)眼光


 翌日、学校では大きなニュースが駆け巡っていた。

 常先生が部屋で首をくくって自殺したのだ。

「火事を起こし電気屋を殺したのは自分だ、申し訳ない」との遺書を遺して…。


「ねぇ聞いた、聞いた?!」

やはりトップは彩葉だ。

「聞いた、聞いた!」

今回は千里も早耳だ。

「私も聞いた~! 信じられな~い!」

和歌も既に聞いているようだ。

「オレも聞いたよ。まったく…。」

仁保も首を振りながら、話に加わる。

「常っちが怪しいって、仁保君言ってたよね~! なんで分かったの?」

彩葉が聞いてきた。

「いや、車を追跡したらそうなったってだけで…。」

「なんか、探偵さんみたい! カッコいい~!」

千里が冷やかす。

「ホント! でもなんで常っちが電気屋さんを…?」

和歌も聞いてきた。

「どうも常先生は誰かに脅されていたらしい…。」

「えっ、そうなんだ? そんな話は聞いたことないし…?」

「それなんだよ…。」


 いつもなら、この辺で代田先生が入って来るんだけど…。


 ガラガラ!

 来た?!

「みんな、聞いたか~い? 今から全校集会だよ~。」

 そっちか~い!


 全校集会では、常先生が自殺し、電気屋さんを火事に見せかけて殺してしまったことが、校長先生から伝えられた。既に話題となっていた生徒たちにとっては、それほど驚く内容ではなかった。

 オレは、さっきから考え込んでいた。

(常先生が火事を起こし、電気屋さんを焼死させたとすると、電気屋さんが殺人をしたというのも分からなくなった…。常先生は脅されてと言っていた…。それが信じられるかというと、それも…。しかし、あの時の常先生の様子は真実味があった…。でもそうなると、一体誰が…。)

「誰なんだ…。」

 オレは、思わず声に出してつぶやいていた。

「どうしたの?」

 隣に座っていた2年2組の女子が、ひそひそ声で聞いてきた。常宮 夢美だ。そういえばこの子もバスケ部だったな…。

「えっ、いや。バスケ部をみるのは誰なんだろうね?って。」

「そうよね~。私達、どうなるのかしら…。」

 見るからに深刻な様子だ。

「ホント。それに担任もな~。」

「うん。担任もね、どうなるのかな…。」

 常宮が、ひどく沈んで見えた。

(そりゃそうか。担任と顧問どっちもだしな…。)

「あっ、やべっ。」

 代田先生がこっちをにらんでいた。


 その時だった。

 ふと2年4組の方に顔を向けた…、その時…。


 また、あの暗く鋭い眼光だった!


 京だ。彼も体育座りで、少しうつむいているはずだった。しかし、目の光は鋭かった。そして暗い光を放っていた。

 口元は固く閉じているはずだった。しかし、その口は確かに笑っていた。笑っているようにしか見えなかった。

 その時、オレは気づいたのだった。

(ヤツだ。おそらくすべての黒幕は京だ! そして、すべてが思い通りに進んでいることに満足しているんだ…。くそっ。)

 しかし、どうやってヤツの仕業だと証明するのか? それが最大の難問だった。

 そこまで考えたところで、全校集会が終わった。


 その日、授業を受けていても、オレは上の空だった。

 ずっと考えていた。どうすればヤツの仕業を暴けるのか? 正面から攻めるか…? いや、ダメだ。おそらくヤツはすべてをすり抜けるだろう…。確たる証拠が必要だ。ヤツを逃がさない、動かぬ証拠がっ!

「おっ、仁保君。手が上がったね~。何だと思う? これ。」

 理科の授業だった。

 思いもせず右手を握りしめ、顔の横に上げていた。

 粟野先生、ちがうんですよ~。

「えっ? いやっ、ちがっ。」

しまった~。力、入ってた~。


「はい。え~。並列回路です。」

「あっ、残念。違うね~。直列回路だね~。」

 違ってた~。

(ふ~。聞いてなかったんだから、ま、しょうがない。落ち着け、落ち着け、オレ。)


 しかし、何をどう考えてもいい手は思い浮かばなかった。何の証拠も見当たらない。行き詰っているのだ。すべては京の策に振り回されている。

 一つずつ整理していこう。


 10月、奥山から京に不正の持ち掛けがあった。

 11月上旬、全国テストで不正を行って奥山がトップを取った。この時、不正を手伝ったのが京とその兄だ。

 12月中旬、奥山が教室で殺された。

 1月、電気屋さんが逮捕・起訴され、保釈された日に火事で亡くなった。

 1月下旬、常先生が自殺した。


 これで、奥山を殺したのは電気屋さん、電気屋さんを火事で殺したのが常先生となった。一連の事件は2人の殺人犯を突き止めたが、2人とも亡くなったことで解決となっている。

 京はテストの不正を働いたことで、学校から厳重に指導を受けたと聞いた。が、それだけといえばそれだけだ。

 なぜ、常先生が電気屋さんを殺さなければならなかったのか? そこが問題だった。常先生は脅されてと言っていた。電気屋さんを殺すことで、その脅しをかわす何かがあったから人殺しなどということをしたのだ。


 何だろう…。この違和感は…。


 常先生は、京に脅されたのではないのか? 何か弱みを握られていたのではないのか? それは一体何だったのだろう…?

 京が常先生を、何かの弱みに付け込んで脅し、電気屋さんを火事で自殺に見せかけて殺すよう仕向けたのではないか…?

(それは常先生の、教師という立場、新任で教師になったというその立場そのものを揺るがすような弱みだったのだろう…。そんな弱みって、何だろう…。くそっ、やはり分からない…。)

「…分からない…。」

「おっ、仁保君。何か分からないことでも?」


 今度は、勝手にしゃべってた~。ミスった~。粟野先生~。

「いえ。大丈夫です。直列回路、分かります…。」

「そっか~、分かってくれてよかったよ~。」


 落ち着け、オレ。


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