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第83話 M36:森の恩恵(その2)I benefizi dalla foresta:secondo

 ここは? そう依頼(ricerca) “森の恩恵„ の開始地点

 周囲は全くの緑色、植物ばかりだ。動物はいないのだろう。 

 仲間はみんな揃っている。いきなり襲われることはなさそうだ。

「みんな準備はオーケーよ!」

「分かった。支援よろ~」

「まかせぃ! (protezione)(da)加護(fuoco)!」

 はるっちが応える。

小拙(しょうせつ)の得意とするところ、防御(canzone)(di)(difesa)!」

 ジョルジュの竪琴(arpa)が響き渡る。


 予定通り、まずは防御を固める。

 前へ踏み出すと生命の腕輪の効果(effetto)(sonoro)が響く。

 淡い緑の光の中、文字が浮かび上がる。

 “ワイド・インスタンス:森の恩恵„


 軽いBGMが流れ、微かに声が聞こえて来る。


  来ないで、来ないで

  こっちに、来ないで

  ここは妖精(ninfa)の森

  人は来てはいけない 触ってはいけない

  森を汚さないで


「散々な言われようじゃのぅ」

「気にしないでいいわよ~」

下刈(したがり)蔓切(つるきり)除伐(じょばつ)枝打(えだうち)とか森林保守には必要なことは沢山あるんや。何を勘違いしとるんやろ?」

 みんな落ち着いてるなぁ。

 しかし、サブ! なんでそんなに詳しい?


 緑の樹々を背景に淡く煌めく光がふわふわと近付いて来る。

 どうやら、お出迎えが来たらしい。

 光は三メートル程の高さに停止し、ふわっと割れて中から妖精(ninfa)たちが現れる。

 キラキラと空中に光を放ちつつ、一人の妖精が、こちらを睨み付けて言い放つ。

「そこな者たち、何をしに来た」

 態度が大きいなぁ。招待客のはずなんだけど

 二三歩進み出て応える。

「森の恩恵を受けに来た」

「ほほぅ。森の恩恵とな」

 妖精(ninfa)は嘲笑うように語る。

「ならば、突破せよ。実力(ちから)を見せよ。さすれば、得られるやもしれぬ」

 周囲の緑木が騒めき始める。

 戦闘開始だ。

「予定通りのフォーメーション(formazione)で!」

 わたしの声に、エドが悠然と前方に出る。

 中央にジョルジュ、左にはるっち、右にサブ

 指揮は最後方のわたしが執る。


 植物が葉擦れの音を立てながら近付いて来る。

「さぁいらっしゃぃ、あたしが相手よ! (provoca)(zione)!」

戦い(canzone)(di)(guerra)!」

 エドの挑発に、ジョルジュの歌が高らかに応える。

「まずは小手調べ。(freccia)(di)(fiamma)!」

 魔法で産み出された炎を纏った矢が、竪琴の支援で強化され、襲い掛かる樹々を襲う。

 其処此処で燃え上がり、崩れ落ちる。

「予想通り、地属性。左右を火で防御!」

「了解や!」

「予定通りじゃ!」

「「(muro)(di)(fiamma)!」」

 はるっちとサブの声に応えて、左右に炎が展開される。

「前方の敵から片付ける。集中して! (indossare)纏い(fuoco)!」

「武器に火属性、ありがたいわ~~。百人力よ!」

「了解じゃ! (tappeto)(di)絨毯(fiamma)!」

「任せい! (lancia)(di)(fiamma)!」

 火の連続攻撃に押し寄せる樹々の勢いが止まって来る。

「よし、エド! ゆっくり前に進んで。無理しないように」

「分かったわ~」

(lato)は、移動に合わせて壁を展開して!」

「あいよ~」

「了解じゃ!」

 左右の敵を屠りながら前に進む。

「ジョルジュ、回復!」

「承知! 回復(canzone)(di)(guarigione)!」

 ここまでは予定通り。

「初めて見るモンスターばかりだけど、あまり強くない。消耗を抑える方向で! 回復(guarente)(disintossi)(cante)は躊躇しないで!」

 植物群を火で燃やしながら少しずつ進む。

 多分これは第一(prima)段階(fase)第二(seconda)段階(fase)への入口があるはず――と判断して奥へ向かう。


「何かあるで~」

 サブの指す方に、確かにある。枝と蔦が絡み合った扉らしきもの

 周囲を守るかのように植物が集まっている。

「一気に潰すよ。エドは近付いたやつだけを狙って!」

「分かったわ~! 任せといて」

「いよいよ決戦ですな。戦い(cazone)(di)(guerra)!」

 ジョルジュの支援で魔法の攻撃力もアップする。

「火魔法の集中! (ballo)(di)舞踏(fiamma)!」

「了解じゃ! (onde)(di)(fiamma)!」

「おっしゃぁ! 火花(scintilla)!」

「きゃー、サブやん、素敵ですぅ~」

 応援付きかぃ。


 燃え上がる植物群、次々と炭になりながら崩れ落ちる。

 これで、第一(prima)段階(fase)は終わりかな。と思った時、炎の中から太い幹を持った樹が現れる。

(persona )(albero)じゃな。これが中ボスと言うことか」

 はるっちの冷静な声に、みんな頷く。

「面白いわ~、こうでなくっちゃ」

「このくらいないと、おもろないで!」

「盛り上がって来ましたな」ポロロン♪

 みんなやる気十分!

「楽しませてもらいましょ。行くよ!」

「「「おっしゃぁ!」」」

 みんなの声が重なる。


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