第84話 M37:森の恩恵(その3)I benefizi dalla foresta:terzo
燃え盛る木々の間から、太い幹と茂った枝を振り回しながら、かなり大きなモンスターが現われる。
中ボスと思われる樹 人だ。
第一段階の最後と思われる敵と対峙する。
「さーて、ちゃちゃっとやっつけよう!」
「承知、俊敏の歌!」
ジョルジュ、新技かぃ!
「前衛、頑張るのじゃ、火の加護!」
竪琴の音に乗せて、はるっちの防御魔法が発動する。
「こいつ意外に動き速いな。エド! 挑発しながら、動きを抑えるようにして!」
「分かったわ~ 挑発!」
「時間がかかりそうやな、炎の絨毯!」
樹 人の動く場所にサブの火魔法が飛ぶ。
しかし、敵もしぶとい。
炎に包まれながらも葉の付いた枝を振り回し、小枝を投げ付けて来る。
エドは右手の斧と左手の丸盾を巧みに操って、躱して行く。
レベル上がってるなぁ。前衛がこれだけ頑張ってくれると後衛はやりやすい。
「連 断!」
斧で脚というか根っ子を切り裂く。敵の移動が遅くなる。
「集中攻撃だ!」
「戦いの歌!」
「炎の波!」
みんなの声に合わせて、こちらも切札を投入!
「地獄の業火!」
火魔法攻撃の連続で、敵がよろめく。
「おっしゃ、大技いくで~~炎の 蛇!」
炎を纏った蛇が、うねるように現れる。
「こっちよ!」
サブの幻影が蛇を導く。
「腕輪はん、頼んだで!」
おぃ、そんなことができるんかぃ!
蛇は、空中を舞う幻影に誘われ、樹 人に巻き付き、絞り上げる。
樹皮が焦がれ落ち、辺材まで燃えて行く。
「とどめよ~! 多 連断!」
エドの激しい連続攻撃で心材まで切り裂かれ、敵は倒れる。
炎に巻かれ、炭になった樹皮が零れ落ち、次第に消えて行く。
「どうやら終わった。お疲れ!」
「「「おつかれさま~~」」」
みんなの声が重なったとき、生命の腕輪の仮想画面に文字が浮かび上がる。
“第一段階クリア:緑群„
「どうやら終わりみたいだね。次に行く前に回復しよう」
「了解ですな。回復の歌」
ジョルジュの歌を危機ながら、次の戦いに備えて、しばらく休憩する。
「あそこが次への入口のようじゃな」
第二段階の入口と思える扉は、蔓と葉で閉じられていて、左右は何処までも緑の壁が続く。
おそらく他に入口はないのだろう。
時刻はどうなっているか分からない。時の流れはフィールドとは異なる。
休憩後、装備を整え直し、アイテムなども確認する。
思ったほど消耗していない。十分次に進めると判断して、扉の前に進む。
「扉が開いてないということは、こじ開けろということやな」
「サブやん、気を付けるです。先はこことかなり違う」
サブの幻影は、ずっと彼の肩に乗っている。やっぱり、その行動は異常だ。
「いくで~、炎の槍!」
サブの火魔法で葉と蔦の扉は燃え落ちる。
次への道が開く。
「よし、進もう!」
扉をくぐり抜けて第二段階へと進む。
どこまでも続く湿地帯に苔が繁茂している。
苔の中に、一人がやっと通れるほどの細い道が続く。
湿気が強い。
靄が漂い見通しが悪く、空も霞んで見える。
「今度は、水属性のようだね」
「なかなかのおもてなしぶりじゃな」
「なぁ、ワイは毒水のような気がするんやが」
確かに水は緑がかって濁っている。
「ちょっと触ってみるわ~」
エドは水の中に手を入れて確かめる。
「ピリピリするわね。強くはないけど毒気はあるわ」
第二段階は厄介そうだ。
「憩いの歌!」
ジョルジュが新しい歌を歌う。
「状態異常対策のバフです。毒にもある程度効果があります」
ジョルジュ、準備良過ぎ。
「中央の道は細い。左右の水場に落ちないように注意して進もう。毒に侵されたら迷わず解 毒剤を使うこと。大丈夫こんなこともあろうかとかなりの数持って来てるから」
「では、あたしが先ね!」
エドを先頭に、サブ、はるっち、ジョルジュ、わたしの順で進む。
さぁ、何が待ち受けているだろう。全く楽しませてくれる依頼だ。




