96/99
―第96章― 千夏が1月を生き永らえる為の死神の「欣喜」
冬の透き通った空気の下、体育祭の定番である表彰式のBGMが、どこか誇らしげに響き渡る。
「優勝、チーム12.鈴木隼人、飛鷹迅、遊馬想空、森田理恵、穂積鈴」
アナウンスと共に、優勝を果たした彼らは表彰台の上へ登った。
授与されたメダルを掲げて、子供のように無邪気な笑みを浮かべる奴。
どこかの金メダリストに触発されたのか、誇らしげにそのメダルを噛んでおどけて見せる奴。
それに呆れながらも、口元に隠しきれない笑みを浮かべて宥める奴。
そっと胸をなでおろし、ようやく訪れた安堵を噛み締める奴。
そして、これまでの全ての未練を振り切ったような、飛び切りに晴れやかな顔をしている奴。
千夏はその表彰台の目の前で、誇らしげな笑顔を浮かべていた。
飛鷹が表彰台を降りて、半ば無理矢理千夏を表彰台に乗せた。
肩を組み合って、抱きしめ合う。
「ほんと、心配させんなよな」
沸き立つ人だかりの隅で、俺は誰にも聞こえない声で小さく呟いた。
彼らの歓喜が、冷たい冬の空気を確かに熱く染めていた。




