―第89章― 見えない勝負の行方の為の死神の「迷走」
「マジかよ。ちゃんと勝ってくれよ」
会場の喧騒の中、途中結果のアナウンスを聞いて軽くぼやく。
はあ。
しかし、想空のバドミントンは中盤に崩れてきたとはいえ、もうちょい勝ち進んでくれてもよかっただろ。
まあ、隼人のテニスと隼人と飛鷹のサッカーは文句なしの優勝だったけど、リレーは飛鷹があれだけ追い抜かしたのに、あの小さな差で準優勝か。
というか、ほぼ2チームの競り合いじゃねえか。
もうちょい実力が散らばってくれてれば、この結果でも軽々優勝になってただろうに。
再度、小さく溜め息が零れた。
理恵と鈴、か。
鈴のメンタルの落ち込みが治っていればいいけど、治ってたとしても、応援する身としては言うもんじゃないが、練習の様子から見て、優勝はさすがに厳しいよな。
ああ。
ドーム状の会場を抜けて、漆黒が満たす天を仰いだ。
もし、これで5人が優勝を取れなかったら俺はどうするんだろうな。
今回は仕方ないから見逃す、なんて言ってまた寿命を延ばすのか。
それとも、約束通り延命を止めてしまうのか。
ネクロポリスの死神にバレた時点で、残酷に接する理由はもうない。
どうせ、俺はもう死神としての掟を破った身。
今頃止めたところで、罪状に変わりはない。
でも、今やめれば見逃してくれたりしないかな。
いや、しないか。
ああ。
これはどっちを選択しても後悔しそうだ。
ああ、もう勝ってくれ。
ミッションを達成しちゃったから仕方ないという言い訳を、俺にくれ。




