―第80章― 自分の実力だけがついて行かない為の鈴の「恐懼」
「テニスは俺で、サッカーが俺と飛鷹、理恵と鈴が卓球だと、想空がバドミントン、リレーの走順は後で決める感じで申請しちゃっていいよな?」
広場の申し込みポストの前で、隼人が用紙に名前を記入していく。
隼人の声は、やる気と自信に満ち溢れていた。
用紙を投函すると、私達はそのまま運動場へ向かった。
運動場にはすでに多くのチームが熱気に包まれた中、練習を行っていた。
各チームの練習は白熱していて、競技への期待が高まっていくのが分かる。
しかし、そんな熱気に当てられた心は次第にやつれる。
人々の情熱の熱さに触れるたびに、自分の心が疲弊していくのを感じた。
理恵は一切の力みなく、フォアで無回転サーブを出した。
その球は美しい弧を描き、私のコートに静かにバウンドする。
だが、半年ぶりに触れた私のラケットはぎこちなく、思うように弧を描けない。
ラリーはなかなか繋がらず、得意のフォアも跳ね返されるように弾かれてしまう。
こんな調子でうまくいくはずがない。
勝てる訳が無いと心の中で何度も悔し涙を呑む。
球が思うように打てないたび、焦燥感が耳の奥に一滴一滴、注がれていく。
何度も何度も、上手くいかない自分に苛立ちが募り、胸の内がざわついて収まらない。
自分の無力さに打ちひしがれて、どうしても前に進めないもどかしさが心を締め付けた。




