―第61章― 千夏が10月を生き永らえる為の隼人達の「聴取」
図書室で受験勉強に悶え苦しむ飛鷹を連れて、俺達は再び死者の都に向かった。
西川さんへ容疑者を3人に絞ったという内容の状況報告をした後、順番に3人を訪ねていく。
まずは町田さん。
町田さんの自宅兼職場である貸本屋を訪ね、昨日理恵が訊いておくべきだと挙げた質問をしていった。
事件当時、勤務中で店から出たタイミングはなく、その様子もお客さんが見ていて、アリバイはあり。
洗った可能性もあるが、ハイキングシューズに泥のような汚れはついていなかった。
次に山本さん。
今日の仕事は休みだと言っていたため、直接自宅に訪ね、町田さん同様の質問を繰り返した。
事件当時は、仕事をしていたそうで同僚の証言も得られ、アリバイあり。
ハイキングシューズには泥とは少し違い、仕事中に使った跡だという砂っぽい粒が付いていた。
最後の小森さんは、カフェで待ち合わせをして、同じ質問をした。
運動不足で太ったから痩せたくてハイキングシューズを買ったと言い、事件当時は出勤途中で、その時間帯にスーツを着て、道を歩いているのを見たという人がいたので、この人もアリバイあり。
ハイキングシューズについても、洗った可能性はあるが、箱に入ったまま綺麗に保管されていて泥の跡はなかった。
より詳細な質問を行ったが、誰もボロを出すことはなく、しっかりと辻褄が合う答えだった。
つまり、アリバイがない人間はいない。
この事件は3人に実現不可能。
ならば、他の靴で同じような足跡のものがあったのだろうか。
様々な可能性を検討していくが、どの可能性でも俺達は振り出しに戻ってしまう。
犯人の手がかりは依然として掴めず、ただ時間だけが無情に過ぎていき、何か行動しなければ、だが、何をしたらいいという悪循環が渦巻いていった。




