―第53章― 好奇心旺盛を褒めてくれた為の想空の「得心」
僕は好奇心のままに行動するから、迷惑な奴だって敬遠される。
人に話しかけられても、無反応だったり、と思えば捲し立てるように話し出したり、その時によって反応が違いすぎて気味悪がられた。
「変な奴」って言葉を聞かされた時、僕は悲しく、寂しかった。
調べて観察して発見したことにみんなも興味を持ってくれると思っていた。
でも、変って言われるだけで済まされて、辛かった。
常人と自分との間に厚い壁が挟まれたような感覚。
みんなは未知があるのは当たり前で、それを理解したいとは思わないと知った。
だけど、僕にとって未知を理解することが一番の楽しみで、それを制限するのは苦しかった。
自分自身を否定されたようで、心にぽっかりと穴が開いたよう。
誰にもこの気持ちを理解してもらえないと知って、孤独に押し潰されそうだった。
人にもうこれ以上に避けられたくなくて、侮蔑の目を向けられたくなくて、どうにか好奇心を抑えようとしたが、僕はそれが上手くできずにいつも気持ち悪がられてしまう。
その努力は意味を持たず、人には避けられて、僕は教室の隅っこで縮こまる。
その苦しさは耐え難くて、ある日の休み時間、僕は見つからないだろうと校庭の端にいる虫を眺めていた。
草木の中から物音がして、声をかけられた。
「ねえ、なんでずっと虫を見つめてるの?」
また、変って言われるのだと思った。
下を向いて俯く。
僕の一番の楽しみは誰にも理解されることなく、散ってしまうのだと、もう僕は知っている。
分かっているから、もうそれを知らせに来なくていい。
だけど、千夏は僕の横に小さくしゃがみ込んで、笑い掛けた。
「その虫、なんていうの?」
「クサギカメムシ」
小さく答えたその言葉と反対に、千夏は大きく反応を見せ、「凄い」と笑ってくれた。
その後、僕が捲し立てるように話しても、煙たがることなく「うんうん」と丁寧にちゃんと聞いてくれた。
その瞬間はただただ楽しくて、嬉しかった。
今までの陰口による苦しみが一気に消え去るように、千夏の笑顔と優しい言葉が差し込めた。
まるで、冷たい冬の中に差し込む暖かな陽だまりのように、僕の心を満たしていく。
自分の興味や情熱が受け入れられることに対する喜びは、未知を理解した時の達成感を遥かに上回ると知った。
千夏に認めて貰えたことで、この好奇心は間違ってないと思えた。
未だに怖いと思う時はあるものの、大切にできるようになった。
千夏のあの言葉が本当だったら、僕の好奇心を理解している人はいなかったという事になってしまう。
それは物凄く、寂しいし、悲しい。
だけど、裏があろうとも、向けられた笑顔と言葉が嬉しかったのだから、千夏が好きって事に変わりはないし、それでも僕は千夏を助けたい。




