―第42章― テニスの全国大会の為の隼人の「畏怖」
6月の地区大会を制し、勢いそのままに先月の関東大会も優勝を飾り、全国大会への切符を掴み取った。
3日後に控えている全国大会は俺にとって最大の試練であり、迫るその舞台に向けて心の準備を進めている。
去年の全国大会、惜しくも俺は準優勝で終わり、決勝戦はまさに自分の限界を痛感させられた。
対戦相手に全く相手にされず、どうにか繰り出したスマッシュも難なく拾われ、思考を駆使した技も全く通用しなかった。
俺の闘志は徐々に削がれていき、ラケットを最後の一点で放り投げてしまうほどの絶望感。
2セットの中で取った得点は僅か3点で、それすらも相手のサービスミスとスマッシュミスによるもの。
圧倒的な力の差を見せつけられた。
県大会や関東大会を勝ち抜いてきた中で、自分はある程度高みに届いていると思っていた。
が、同じ中学生相手に圧倒的差で負けた悔しさがずっと、身体の内側から内臓を食い破られるほどの圧倒的な力となって、身体を蝕んでいる。
今だって、去年より成長している実感はあるけれど、やはりその相手と戦うとなると怖くなる。
また何もできずに敗北するのではという不安で震えが止まらず、寝付けない夜もあった。
これまで練り上げてきた作戦もいざやってみたら、あの冷淡な表情のまま、簡単に突破されてしまうのではなんて想像して、自暴自棄にラケットを放り投げてなってしまいたくなる。
異常なほど、俺はそいつに囚われてしまっている。
どれだけ努力を重ねても、多分その恐怖は消えない。
それでも、悔いなくやり切れたと試合後、思えるように練習に取り組んでいくしかなかった。




