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―第38章― 千夏が7月を生き永らえる為の隼人の「懇願」

 夏祭りの準備は町中が活気づく中で着々と進み、その日時も近づいていく。

 屋台の設営やゲームの準備、提灯や飾りつけなど細部にわたる準備が整い、街はお祭りムードに染まっていく。

 自作のチラシも配布するたびにすぐ無くなり、何度も増刷を重ねている。

 俺はお祭りのプログラムの確認や流れの修正作業、理恵と想空はお店の配置やゲーム内容の工夫を凝らし、鈴は近所の子どもたちと一緒に提灯や山車の飾りつけを進め、飛鷹は体力馬鹿として機材の運搬に駆り出されていた。

「よぉ。準備はちゃんと進んでるか」

 フォーマルなスーツ姿の死神が祭りの準備の様子を観覧していた。

 僅かながらに眉間に皺が寄っていて、疲れを感じる。

 お神輿を持ち上げたままの飛鷹が「見ての通り、進んでるぜ」と、明るく空気を跳ね上げるような声を出した。

「そうか。頼むな」

 俺はその去り際の死神の腕を捕らえた。

 死神は振り返って、鋭い眼差しでこちらを見つめる。

「死神さん。一つ、お願いがあります」

 その瞬間、祭りの喧騒の中で一瞬だけ時間が止まったように感じた。

 死神の冷たい手が俺の腕を掴み、その力強さに息を呑む。

「何だ。言ってみろ」

「________。お願いできますか」


 いよいよ、明日が夏祭り本番。

 期待と緊張が混じり合う中、町は活気づいている。


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