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―第36章― 自分の不適合さから逃げる為の理恵の「抵抗」

 模試の偏差値は67。

 可もなく不可もなくという感じ。

 偏差値の下に並ぶ高校名の羅列は何の感情も湧かずにただの文字として刻まれる。

 中3の夏休み目前なのに、私は志望校が全く決まっていなかった。

 調べようとしても、出てくる言葉は行事の多さや充実した生活、自主性。

 どう考えても私にはないものばかりで、私の存在が歓迎されないようで苦しくなる。

 私は、どうせ高校に馴染めない。

 行きたくないという気持ちが募って、開いたパソコンを閉じてしまう。

 意味のない抵抗。

 なんなら、そんな事をしたところで後々困るだけなのに、逃げ出してしまう。

 私はどうせどの高校に行ったとしても、孤立する。

 自分自身でそれはよく分かってる。

 仕方ないって、脳では割り切っているつもりなのに心が割り切ってくれなくて、ギュッと掴まれたように苦しくなる。

 選択なんかなくていい。

 どうせ苦しくなって、それを選択した自分が嫌になるだけだから。

 どこを選んでも苦しいのなら、選ばせなくていい。

 自分のせいじゃないから、仕方ないのままでいい。

 自分のせいで苦しいにはなりたくない。

 どこを選んでも私はきっと後悔する。


 息を吐いて、高校ごとのキャッチコピーを見つめた。

 綺麗事ばかり散りばめてある。

 進学も就職も何もしたくない。

 普通の中学生は高校に希望を抱くのだろうな。

 私はやはり不適合だ。

 人生に不向き。


 湿気と昼間の太陽に焼かれたベランダの匂い。

 壁の裏側に閉じ込められていたはずの淀んだ空気が生き物の呼吸のようにむさ苦しく室内に行き渡った。



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