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―第35章― 部活動終了の為の鈴の「虚勢」

 引退が決まる大会は予想よりも低い順位であっさりと終わりを告げた。

 シングルスで残っていた2人も、応援席へ戻ってくると3回戦で敗れていた。

「いやー。負けちゃったわ」

 乾いた笑みを浮かべて、応援席に美奈は戻ってくる。

 美奈にとっては、どうせこの敗北も数日後には遠い過去となって忘れ去られていくのだろう。

「いや、でも私にしてはいい方じゃない。相手の強打、一回取れたし、自分も決められたしさ」

 早口で捲し立てる美奈は心の揺れがばれないよう取り繕っていた。

 私だって、負けたのに。

 それなのに、美奈のその感情が分かってしまうくらいに酷く冷静だった。

 負けたら泣くのかな、なんて想定していた涙は一ミリも零れず、感情の爆発もない。

 感情が揺れた美奈を羨ましいとすら、感じてしまう。

「私も負けちゃったよ」

 美奈に笑いかけた。

 その声が耳の奥に響くと、心にズンと重い感情がのしかかってきた。

 泣くと思っていた涙も出ずに、ただ寂しさだけが心にこびりついている。

 ぼちぼち取り組んでいたつもりだった。

 でも、それは卓球をじゃなかった。

 部活動らしい雰囲気を、だった。

 大馬鹿だ。


 帰りの電車、みんなが疲れ切って寝ている状況を眺めていた途端、感情の波がやってくる。

 試合中の記憶が戻ってきて、悔しさが込み上げてくる。

 ちゃんとやって来なかったんだから仕方ないとか、自業自得だってことは全部分かっている。

 ただそれでも、嫌だった。


 翌日、いつも通り学校に着くと、「うちの部活、県大行ったよ」やら、「負けたわ~」など、昨日の大会についての会話が聞こえてきた。

 私の斜め前の席に座って、微笑みを浮かべる隼人はあっさりと白星を並べて、県大会出場を遂げている。

 私なんかとは大違いで、正面からちゃんと向き合って結果を残してる。



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