―第30章― 千夏が6月を生き永らえる為の飛鷹達の「探索」
理恵と隼人を船に残して、3人で行方不明者の探索を改めて開始した。
想空を必死で追いかけていたせいで見えていなかったものが、ゆっくり歩くと見えてきてしまう。
うじゃうじゃとそこら中にいる虫。
脛にまとわりつく草花。
一つ一つに興奮して、解説を延々と聞かせる。
その行為自体がイラつくし、うるさい。
でも、その知恵が隼人を救ったのも事実で、でもその好奇心のせいで怪我をしたのも事実で、そんなサイクルが頭の中でぐるぐると回り、こんがらがっていく。
行方不明者が見つけるまでは怒りをぶつけない。
隼人にそう言われたものの、反射的に怒鳴ってしまいそうになる。
想空は辺りに広がっている未知に夢中になっていて、鈴は恐る恐るその後をついてきて、空気は重たい。
「あの、これ、もしかしたらその男性の物とかじゃないかな」
鈴が泥だらけの手袋を手にしていた。
確かにこの島に人はほぼ入らないと言っていたし、きっとそうだ。
鈴はその手袋を指先で摘まんだまま、ジャングルの中を進んでいく。
進むその先に、さっきの手袋の反対側が落ちていた。
ハンカチ、綱、マッチ棒、使用済みの割り箸。
進む先に沢山の遺留品が落ちている。
小石やパンの切れ端を道に落としていく、幼い頃に読んだヘンデルとグレーテルの物語。
その道筋を辿って歩いていくと、砂漠地帯のような場所が現れて、その正面に男の人が倒れていた。
「おい。しっかりしろ」
肩を揺さぶってみるが、応答はない。
1ヶ月以上帰ってきていないと聞いたから、生きている可能性は低い。
それでも、ほんの少しの可能性に懸けて動く。
「よし、船まで運ぶぞ」




