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―第24章― 千夏が5月を生き永らえる為の鈴の「劣等」

 千夏のバックアップの影響もあるだろうけど、理恵が自分から発言したことには驚いた。

 上手く自分の意見を言えない人間同士、なんとなくの親近感を抱いていたが、理恵の意見は素直に言うと、このまま闇雲に動くよりもいいと思った。

 ただ、その反面、嫉妬の気持ちも湧き上がっている。

 無意識に私は理恵を自分よりも下だと認識していた。

 学力ではもちろん確実に理恵の方が上だが、それ以外の人間力というか人望というか、そういうもので無意識のうちに勝っていると思っていた。

 だから、自分の意見を言えないままの私と自分の意見を千夏にバックアップされながらでも伝えた理恵を比較して、自己嫌悪に陥っている。

 私は理恵には自分より下でいて欲しかった。

 下とか上とか明確な指標はないし、6人の誰も活躍度を気にしていないことは分かっている。

 けれど、自分の中だけでいいから、私の方が上であると思っていたかった。

 浅く他人事のように劣等感が体内に響いてくる。


 自分が一番下は疎外感のような怖さを感じてしまう。

 せめて2番目がよかったのに、2番目は安泰だと思っていたのに。

 理恵が発言しているスマホの画面を見つめて、理恵に負けた劣等感とこんなことを考える自分への罪悪感が湧き上がる。

 何の強い意志もないから人に言われて簡単に譲るから優しいなんてよく言われるけれど、そんな私はこんな汚い感情ばかり拗らせている。

 嫌な感情を消し去る為に吐いた息も灰色に曇り、気分は落ちていく。


 この感情もどうせ明日には風化して割り切る。

 笑顔を向けてそんな感情を抱いたことは嘘だったかのように振る舞って。

 私のこの感情は世界に何の影響も残せずに消えていく。



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