―第12章― 未来を得たことによる為の千夏の「興奮」
「千夏。ゴールデンウィークにやりたい事ってある?」
4日前のこの日、隼人に聞かれた。
死神との契約が無ければ私はとっくに死んでいた身。
もしかしたらなんて、未来に祈ることはあっても、どうせ無理って俯瞰して、やりたい事なんて考えてもみなかった。
私に、未来があるんだ。
その事実に現実味が押し寄せて、心が震えた。
叶わないと、考えないようにしていたやりたい事が堰を切ったように溢れ出す。
運動会のリレー、文化祭、京都の修学旅行、鎌倉の校外学習。
5人から聞いた学校行事の楽しそうな情景が脳内に広がっていく。
みんなでやりたい事。
「私、鎌倉の校外学習に6人で行きたい」
思考中の私の顔を覗き込む5人に、そう叫んだ。
「鎌倉か…」
隼人が小さく呟き、「楽しそうだな」と破顔する。
「どこに行きたい?」
カバンから取り出した地図帳が布団の上に広がった。
「まず、定番どころとして大仏と鶴岡八幡宮だろ」
飛鷹が地図を指さす。
「そうだな。そこは確定で良いんじゃない?」
隼人が私の表情を窺いながら、発言していく。
「で、主役の千夏は?」
必死に地図帳から情報を嗅ぎ取ろうとしている私に向かって、隼人がおどけた。
「うーん。長谷寺行ってみたいかな。竹林も季節に合いそうだし」
「じゃあ、それ確定な」
その場にあった処方箋の裏に書き込んでおく。
「日帰りだし、行けるスポットは大体5か所くらいだよな。だから、あと2つぐらい?どこか行きたいとこある?」
隼人の声に、沈黙が走った。




